つぶつぶ…
彼岸花
毎日の通勤時(私はバイク通勤)、巴川にかかる小さい橋を渡るのだが、このあいだ、何気なく土手を見てみると“彼岸花”が咲いていた。
子供の頃から「すげー形の変わった花だなぁ。 ちっと、怖い」と気になってはいたけれど、特に何もなく、時が流れていった。
この花が、自分の記憶の1ページに刻まれたのは、10数年前になる。
その頃所属していた「ガイ氏即興人形劇場」という人形劇団の上演作品の一つに「ごんぎつね」があった。
そのラストシーンは 「ごん、おまえだったのか、いつも栗を持ってきてくれたのは…」という兵十の台詞にあわせて、舞台いっぱいに“彼岸花”が咲く演出。故水田外史のやさしさあふれる人形操作と重なって、とてもせつなく、感動的であるシーンなのだ。
ん? 舞台いっぱいの彼岸花?
100本を超える花を咲かせるのは(持ち運び時、花は閉じた状態)なかなか手間のかかる作業だった。
しかし、そんな事よりこの花、1本1本はもちろん、花びら1枚1枚から赤い和紙を使った手作りで、その数は…
なのに“彼岸花”は、本当にラストの20秒くらいしか出てこない。
“手間いらず”がもてはやされる今の世の中だからこそ、手間をかけ、丁寧なものを… “彼岸花”を見る度「自分はどうだろう?」と。
ps:「ガイ氏即興人形劇場」(東京都豊島区) 現在、主宰は中島咲枝。「ごんぎつね」は、芸術祭賞を受賞している。