しゅぎょー

小道具

舞台の上で、一番「あなどれないなぁ、こいつ」と思う存在かもしれない。

「あの役者、道具に使われちゃってるよ。」という言葉を聞いたことはないだろうか。そんな時その役者を見てみると、どうも動きがぎこちない。何でかな? よく見ると、手に「たばこ」を持っている。火をつけるのか…つけない。くわえるのか…くわえない。手に持ったまんまぶらぶら。
あの「たばこ」のせいか…納得。
最近の芝居は豪華になって、「衣装総額1億円」なんてのまである。すごい!(ちっと分けてくれ…) それに比例して、大道具、小道具もいっぱい出てくる。ま、その「豪華さ」を見たいお客様だっているわけなのだから、それ自体には問題ない。ようは、使う側の問題。

何故、この小道具が必要なのか? 「それ持ってた方が、○○っぽいよね」「うん、○○って雰囲気」
じゃ、その○○は、何でそれを持ってるのか?
やろうとしている役の持っている物と、役者の小道具の決定的な違いは、その目的にある。
役の持っている物には、その目的がはっきりとあり、それも、その人を決定付けるもの。それに対して、役者の小道具は、使うことよりも、役に近づくためや、遊ぶための場合が多い。これじゃ、持ってる意味がない。

だったら、役と同じように使ってしまおう。別に、舞台の上でそれを使って何かをするということじゃなくて、普段で。そうしたら、きっと、役が何でもってたのかとか、どう使ってたのかが、すこしはわかるかもしれない。そして、その小道具自体、本当に必要なのかどうかも…

無対象になると、もっと大変だ。意識が離れた瞬間に、「役者の中では(劇団や仲間の中でも)、無くなっている筈の物」が、「お客様の意識の中では、完全に存在している」場合がある。そうなると、お客様は、その「見えない小道具」のとりこになって、芝居どころではなくなってしまう。最後の感想に「あれは、どこいったんでしょうか?」…

お客様に「芝居」を見てもらう為に、“小道具と仲良くなるまで使う努力”ぐらいはするべきじゃないかな。


「毎日を大切に生きる」これが、芝居をする人の最も重要な修行じゃないか