轆轤(ろくろ)と呼ぶ特殊工具を使用して、椀・盆など円形のくりもの木地を作る
 工人。
  轆轤師、轆轤ひき、木地ひき、ひきもの師などとも言う。
  轆轤は陶器制作や金属加工などにも用いられるが、ろくろひき、ろくろ師の名は
 木工に限られている。

  轆轤工の称はすでに正倉院文書や延喜式にもみえるが、特殊職人として古く
 から分化していた。
  轆轤は、回転軸に革ひもを巻いて手で引く形から、後に足踏み式に変わり、更に
 近年は水力や電力を用いて回転するに至ったが、木地師は主に旧式の手法
 に依存する特殊職人を指す。
  木地師の一部には、近年以降都市に定住する者もあったが、大部分は良材を
 求めつつ深山に入って隔絶した集落生活を送り、良材が尽きると他に転住した。
  そして、こうした渡り職人として木地師は極めて特異な職業団を構成していた。                   
  ウルシ科の落葉・広葉樹で、高さ6〜9メートル。
  樹皮に傷を付けて生漆(きうるし)をとり、これに着色剤や、乾燥剤を加えて塗料
 とする。
  漆は、最高の塗料でこれほど強く長持ちする塗料は世界でも例を見ない。
  このため、漆の歴史は長く、縄文時代にはすでに使われていたと言われる。
  したがって漆芸の歴史もまた古いが、その制作方法は、生地作り、塗り、絵付け
 など、今なお分業が行われている。
  私の場合は、一貫制作を志し今日に至っています。
  塗りに使う漆は、大きく分けて生漆と、黒め漆の二種。
  生漆は主に下地に、黒め漆は上塗りに使うが、拭漆(ふきうるし)は、この生漆
 だけで塗り上塗りはしない手法のことである。
  何度も塗ってその度に拭いたり、こすったりするので拭漆と呼ばれる。
  一見簡単な塗りのようだが、下塗りだけで仕上げる訳なので、実際には大変な
 手間と時間がかかる。一番簡単な茶托でも十回以上も塗りを重ねて 色出しをす
 る。そうするうちに、木目がくっきりと現れ、使い込むうちに 美しさと深みが増して
 くる。
  したがって、拭漆は原始的な手法であるとともに、天然の素材が持つ美しさを
 フルに発揮させる塗りと言える。

◎木地師(きじし)

◎漆(うるし)

◎拭漆(ふきうるし)


木地師・漆