国会発言                                       2023.9.22
 
1.1997年4月における衆議院運輸委員会での桜井の意見陳述原稿
2.1998年10月における参議院運輸委員会での桜井の意見陳述要旨
3.2001年5月における衆議院国土交通委員会での桜井の意見陳述原稿
4..2023年4月18日における参議院国土交通委員会での発言

1.1997年4月における衆議院運輸委員会での桜井の意見陳述原稿


桜井は、1997年4月9日、衆議院運輸委員会で、「全国新幹線鉄道整備法の一部 を改正する法律案」と「日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るため に平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案」に関して、参考人として意見陳述をおこないました。以下は、その折りに用意した原稿であり、 実際に述べた内容と、一部の語句を除いては、同一です。質疑を含む詳細は、『 第百四十回国会衆議院運輸委員会議録第八号』を参照。

 なお、桜井以外の参考人は、三菱総合研究所相談役牧野 昇氏、東京大学名 誉教授・創価大学教授、岡野行秀氏、全国知事副会長・富山県知事中沖 豊氏で した。

配布した参考資料



日本大学 桜井 徹
ただいまご紹介いただきました日本大学の桜井 徹です。公企業論の立場から 国鉄の分割・民営化問題を研究してきました。とくに最近では、民営化の国際比 較という視点からドイツの鉄道改革問題を研究しております。
今回提出されました「全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案」と「日 本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急 に講ずべき特別措置に関する法律案」は、一方は新幹線鉄道の建設、他方は、国 鉄清算事業団の債務処理に関わる問題を扱っております。この二つの法案に関す る意見を述べる前に、国鉄の分割・民営化の基本的枠組みについて簡単に触れて おきたいと思います。というのは、新幹線鉄道の建設と債務処理問題は、国鉄分 割・民営化の基本的枠組みに関わる問題だからです。
国鉄分割・民営化の基本的枠組みは、第一に、交通市場は自由競争にゆだねら れるべきで、「破綻に瀕している国鉄を交通市場の中での激しい競争に耐えうる 事業体に変革する」ことが重要であるという認識が採用されたことです。換言す れば、自動車や、航空、船舶などの交通機関を調整する交通政策の中で鉄道事業 を再生するという方向が採用されませんでした。
第二に、鉄道事業の自立的経営、個別企業内での収支均衡の達成が重視され、JR 各社の前提として、特定地方交通線の分離や人員削減などの措置と並んで長期 債務の減免措置が執られたことです。

   第三に、線路や駅舎などの鉄道基礎施設=インフラストクチャの建設を 含めて、自立的   経営が強調されたことです。新幹線鉄道の場合をのぞいて 、在来線は鉄道敷設法の廃    止に見られるように、鉄道建設には国家は責 任を負わなくてよくなりました。ただし、   新幹線鉄道、具体的には整備新 幹線計画でありますが、82年7月の臨調基本答申を受け   てその建設の凍結 が閣議決定されていましたが、分割・民営化時には、その取り扱いが   曖昧 であったため、国鉄改革法案成立後の87年1月に、凍結解除が閣議決定され、89 年   8月から整備新幹線の着工が一部実施され、今日に至っているという状 況であります。

以上のことを前提に、二つの法案についての意見を述べます。
「全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案」については、新幹線鉄道の 建設の是非と、建設の場合の費用負担原則と財源の問題を指摘いたします。
法案は、新幹線鉄道整備の目的として、「国民経済の発展」、「国民生活領域 の拡大」というこれまでの二つの目的に加えて、「地域の振興」を新たに規定し ようとしていますが、新幹線鉄道の建設・整備は、東京一極集中を加速させる危 険性があり、果たして「地域の振興」に役立つといえるかどうか疑問です。むし ろ、在来線を活性化させる方が先決なのではないでしょうか。ましてや、並行在 来線の分離ないしは廃止を前提とした新幹線鉄道の建設は、「地域の振興」の上 からも弊害が大きいと考えます。
在来線を活性化しつつ、新幹線鉄道を建設する場合には、国土全体の交通体系 の中に、すなわち、高速道路や航空をふまえた総合交通体系の中でそれを位置づ けられるべきであり、その検討なしに、整備を進めることは、国民経済的に見て 浪費を招くことになります。なお、ヨーロッパでは、交通事故・騒音・大気汚染 などの交通の社会的費用を考慮して、自動車交通よりも鉄道交通を重視する考え 方が強くなっていることを申し添えておきます。
新幹線鉄道の費用負担に関しては、法案では、「営業主体から支払いを受ける 貸付料その他の日本鉄道建設公団に係る収入をもって充てるものとして算定され る額に相当する部分を」除いて、「国および都道府県が負担すること」とすると され、鉄道建設に関する公費負担原則を明記しており、その限りにおいて評価で きます。問題は、第一に、本当に公費負担になっているのかどうかであります。 国の負担分については、本法案の基礎となっている財源の基本スキームでは、そ の大部分が既設新幹線の譲渡収入によるものであって、公共事業関係費費は少な いので、公費負担というにはほど遠いものとなっています。既設新幹線譲渡収入 は、本来は国鉄清算事業団の債務返済に充てられるべきものです。
第二に、都道府県=地方公共団体の負担割合は、現行の財源の基本スキームに 比較して15%から30%に増加し、これについては、地方交付税で配慮するとされて いますが、建設費用の増額に伴って、地方の負担が増える危険があります。
第三は、今、公費負担原則といいましたが、営業主体、具体的にはJRですが、JR の貸付料の内容をを明確にすべきです。
いずれにしても、建設費が今後膨張することになりますと、公共事業関係費が 増額されないとしますと、財源の基本スキームは、破綻することになります。交 通体系の中で新幹線鉄道がどうしても必要であるならば、道路財源などを含めた 総合交通特別会計を創設して、財源を見いだしていくべきではないでしょうか。
いずれにしても、鉄道建設の公費負担原則の導入は、自立的経営を図るという 国鉄分割・民営化の基本的枠組みの修正です。国鉄分割・民営化以降、鉄道建設 が進捗していないことは、それに基本的に賛成の態度をとる論者であっても、分 割・民営化の問題点として認識されるようになっていると思います。
次に、「日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度 において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案」について意見を述べます。
国鉄清算事業団の債務等の残高は、1997年度首では28.3兆円になると推定され 、国鉄分割・民営化時に承継されたされた25.5兆円に比べて、約3兆円の増加に なっております。この国鉄清算事業団の債務累積問題に関して、この法案では、 単に本年度における金利支払い部分の増加をくい止めるということのみを目的と したものであり、それを根本的に解決しようとしたものでないことです。速やか に、根本的解決を図らなければ、国鉄清算事業団の資産価値が減少することなど を考慮したとき、その債務は増加する可能性があります。
一体、今日の国鉄清算事業団の債務はなぜ累積してしまったのか。その原因は どこにあるか。まず、第一に、国鉄清算事業団の債務償還計画がバブル経済によ る土地価格と株価の高騰に依拠しようとしたからです。第二に、国鉄清算事業団 へ財政措置として、財政投融資資金に依存し、政府助成がきわめて低い水準にと どめられたからです。国鉄分割・民営化時に国民負担分」とされた13.8兆円を30 年間で償還するには毎年1.3兆円の政府助成額が必要とされたのですが、実際 の政府助成額は、きわめて低水準であります。それでも、1987年度から90年度ま では、1668億円、1953億円、6100億円と増加しましたが、90年度には、1510億円 、91 年度1000億円、92年度から1000億円を割り込んで94年度は、762億円、96年 度の予算額では、536億円です。
こうした事情から債務が累積したのですが、根本的には、国鉄分割・民営化の 基本的枠組み組に問題があったのではないかと考えております。というのは、冒 頭でも申し上げましたように、国鉄分割・民営化は、個別企業内での収支均衡を 図ることにその基本的枠組みがあり、その際に、国鉄の長期債務だけでなく、鉄 道建設公団や本四架橋公団に関わる債務を含めて処理すべき債務額を膨張させ、 その債務発生の責任主体を明確にせずに、債務の多くを国鉄清算事業団に押しつ けたところにあります。
今日、国鉄清算事業団の債務処理のために、JRに対する鉄道利用税の創設や揮 発油税などの道路財源の転用などの案もでていますが、それらは、むしろ、国鉄 分割・民営化の基本的枠組みを変更する必要があることを物語っているように思 われるのです。この点を強く申し上げたいと思います。
以上に指摘しました問題を考える場合、1994年1月1日に実施されましたドイツ の鉄道改革、国鉄民営化が重要な示唆を与えていますので、最後にこの点につい て簡単に申し上げておきます。第一は、自動車との競争条件を平等化するという 意味を含む上下分離、すなわち、鉄道インフラの保有・管理と鉄道輸送の経営の 分離が実施され、幹線鉄道の建設費用については連邦が責任を持つことが規定さ れたことです。なお、その前提として作成された連邦通路計画では、連邦道路へ の投資総額よりも鉄道網への投資総額が多くなっていることも併せて述べておき ます。
第二に、鉄道改革においても、我が国と同様、ー正確には我が国を半ば見習っ て、債務処理を行う機関として連邦鉄道財産が設立され、二つの国有鉄道の債務 のすべてを引き継ぎましたが、債務は連邦の債務であると明確にされたと同時に 、債務返済の財源の一つとして、鉱油税(1lにつき、ガソリン16Pf、ディーゼル7Pf) が引き上げられたことです。総じて、交通政策を念頭においた鉄道改革が行わ れたのです。

配付した参考資料 (3枚のうち他の2枚は掲載準備中)

    連邦交通路計画1992

2.1998年10月における参議院運輸委員会での桜井の意見陳述要旨

参議院日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会における参考人意見陳述発言要旨(当日の発言は若干の変更があるかもしれません)

 
                        日本大学商学部教授   桜井 徹
 
1 提出された法案のうち、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案と一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案を中心に、公企業論を研究し、特に近年では、国鉄改革の日本とドイツの比較を研究してきた立場から、意見を述べる。
2 国鉄清算事業団の債務を国の一般会計に承継することについては評価できる。
3 しかし、債務が承継されたことによって生じる一般会計の負担増を、郵便貯金特別会計からの繰入金やたばこ特別税の創設を財源として対処されようとしていることに関して、第一に、論理的必然性がないこと、第二に、処理財源としてはきわめて限定的であり、その他の財源については言及されていないこと、などの問題点が指摘できる。
4 処理財源については、国鉄の債務発生の責任の所在、国鉄分割・民営化時における債務の配分方法の問題及び、国鉄清算事業団の承継債務累積の過程に即して考える必要がある。この点からすると、第一に総合交通行政を前提とした揮発油税などの自動車関係税の転用、都市における床面積一定規模以上の事業所への課税、第二にJR負担、第三に、既設新幹線売却益の充用などの方策が必要である。
5 とくに、揮発油税などの自動車関係税を鉄道投資等の公共交通の整備に充当することは、アメリカ合衆国、フランスやドイツ、あるいはスウェーデンなど多くの国々で実施されているし、社会的費用の負担の適正化という観点から、正当化されてきている。

3.2001年5月における衆議院国土交通委員会での桜井の意見陳述原稿

桜井は、2001年5月23日、衆議院国土交通委員会で、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第73号)の参考人として意見陳述を行った。桜井に対して、山田正彦議員(自由党)、瀬古由起子議員(日本共産党)、日森文尋議員(社会民主党)、菅 義偉議員(自由民主党)から、地方線維持におけるドイツの事例、JR本州三社が完全民営化が行われた場合における地方線廃止促進の危惧、JR三島会社の経営再建方法、および、JR本州三社の完全民営化の是非などに関して質問がおこなわれた。
 なお、意見陳述を行った参考人は、桜井の他は、東日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長 大塚陸毅氏、日本貨物鉄道株式会社代表取締役社長 伊藤直彦氏、社団法人日本民営鉄道協会理事長 野崎敦夫氏、島根県知事 澄田信義氏、慶応義塾大学名誉教授 藤井彌太郎氏であった。
 当日における桜井の意見陳述および質問に対する回答を含め、参考人質疑の詳細については、『第百五十一回国会衆議院国土交通委員会議録 第十三号』(2001年5月23日)を参照されたい。

以下は、桜井の意見陳述のために用意した原稿である。

日本大学商学部の桜井 徹です。専門は、企業形態論や公企業論を専攻しています。ここ10年間は、民営化の国際比較をテーマとして、とくに鉄道事業の民営化における日本とドイツの比較の研究に携わってきました。
 そうした立場から、提出されています法律案「旅客鉄道株式会社および日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」案についての意見を述べさせて頂きます。
 この法律案は、結論的に言えば、矛盾ないしは対立する二つの側面を持っているのではないかと言うことです。JR本州三社の企業性ないしは営利性を促進する側面とその公共性を確保しようとする側面です。
 第一の企業性・営利性を促進する面は、本法律案の本文に規定されていますように、JR東日本、JR西日本、JR東海のいわゆるJR本州3社を、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」、JR会社法の適用除外とする、ということに現れています。この適用除外によって、JR本州3社は、政府規制をうける特殊会社という地位から、日本鉄道建設公団国鉄清算事業団本部保有株が完全に売却され、他の民鉄会社と同じように鉄道事業法のみの規制をうける純民間会社なります。完全民営化が実現するということです。
 ここで民営化の形態について言いますと、民営化には、法律形態のみを変更する形式的民営化と、所有形態をも変更する実質的民営化に大別されます。また、実質的民営化は、所有を完全に民間に移転するという意味の完全民営化と、所有の一部を民間に移転するという部分民営化があります。JRについていえば、1987年4月1日に公共企業体である国鉄から特殊会社であるJRに移行したことが形式的民営化にあたり、93年10月と99年8月の2回にJR東日本の株式が、96年10月にJR西日本の株式が、97年10月にJR東海の株式が売却されたことが部分民営化にあたります。そして、今回の完全民営化ということになります。
 この完全民営化に関して二つの問題を述べます。
 第一は、世界の鉄道事業の民営化の中で、完全民営化の事例は数が少なく、慎重に行う必要があるということです。鉄道事業の民営化は、わが国の国鉄改革以降、ドイツ、イギリス、イタリア、スウェーデンなどでも、実施されていますが、しかし、イギリスを除いては、形式的民営化や部分民営化にとどまっている事例が多いと言うことです。それは、鉄道事業の公共性を担保しようと考えているからであります。そのイギリスでは、わが国と分割のあり方が違うのですが、JR東海社長葛西敬之(たかゆき)氏の近著『未完の「国鉄改革」』でもふれられているように、「イギリスでは分割民営化による鉄道輸送サービスの劣化が大問題となり、分割民営方式の再点検、集成が大きな関心事項となって」(東洋経済新報社、2001年、327ページ)います
 第二は、完全民営化は、たしかに企業の営利性を高めることでありますが、それだけに鉄道の公共性を阻害しかねない側面をもつているということであります。完全民営化によって、安全性が低下し、地方線の廃止が進行するという危惧が生まれているのです。とくにJRの場合は、民鉄とはことなり、規模も大きく、全国鉄道網を形成しており、鉄道事業の公共性が高いということを認識しておかなければなりません。
 だからこそ、本法律案でも、付則第2条から第4条で、国土交通大臣は、「当分の間」利用者の利便の確保、適切な利用条件の維持、地域の経済及び社会の健全な発展の基盤の確保を目的に、会社間(7JR会社)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の連携・協力の確保、営業路線の適切な維持、駅などの整備に当たっての利用者の利便の確保および地元中小起業者への配慮の三つの次項に関して、指針を公表し、必要に応じて、指導・助言を行い、場合によっては勧告・命令を行うことができると規定されています。この規定は、冒頭で指摘しました本法律案のもう一つの側面ですが、それは、鉄道事業法で規制される民鉄以上にJRに対して規制することを意味しており、明らかに、第一の側面である完全民営化と対立します。
 完全民営化によって生じるかもしれない鉄道の公共性、JRの公共性が低下することを事前に防ごうとしたのかもしれません。問題は、国土交通大臣の指針の公表、指導・助言、勧告・命令がどれだけの権限があるのかは明確でないので、この付則の実効性がどれだけあるか疑問であります。
 なお、本法律案付則で、地方税法の改正や自衛隊法の改正に見られるように、JR本州三社、民鉄とは異なりJR三島会社やJR貨物と同一の地位にとどまることになっていることを申し添えておきます。
最後に、言うまでもないことですが、本法律案は、JR三島会社やJR貨物が経営する鉄道事業については全くなにものべていません。たしかに、JR本州3社は、93年をピークに営業利益の減少が見られますが、それでも、三社合計で、営業利益は7000億円以上、経常利益は200億円以上に達しています。だが、JR三島会社は93年以降、低金利による経営安定基金からの収入源もあり営業利益だけでなく経常利益もマイナスを示すようになり、96年1月の運賃値上げもあって、99年度現在かろうじて、経常利益はプラスに転じています。JR貨物に至っては、94年度から99年度に至るまで営業利益、経常利益ともマイナスを示しており、完全民営化の見通しはもちろんのこと、鉄道事業の縮小・合理化しか残されていないのではないかと思われます。、地球温暖化防止や大気汚染防止のため、二酸化炭素や窒素酸化物の排出量の削減のためにも、モーダルシフトを図ることが求められていますが、貨物鉄道事業の再生は、そうした地球環境問題の観点からも重要な課題となっています。
 JR三島会社についていえば、JR北海道とJR東日本との連携などのJRグループ間の再編成といった政策をとることが一つの選択肢として重要でありますし、JR貨物の場合には、社会的費用を内部化し、スウェーデンで実施されているような上下分離を前提とした自動車と鉄道との競争条件の平等化のための政策が 必要不可欠なのです。
 JR三島会社やJR貨物については何ら展望をしめさないまま、JR本州三社の完全民営化をおこなうことは問題があると考えます。
 私は、国鉄分割・民営化の問題点は、企業経営上の収支を自立化することに重点があり、交通政策、とりわけ陸・海・空の各輸送を調整することを含む総合交通体系に位置づけなかったところにあると考えています。いまこそ、上で述べたような問題を内包しているJR本州3社の完全民営化を拙速に行うのではなく、JRが経営する鉄道事業を、わが国の交通政策の中に位置づけていく必要があるのではないでしょうか。