この頃、とみに感じるのは、人と人との出会い の素晴らしさです。
長男の掌にできた手掌腫瘍。
このときも、人との出会い、によって助けられました。
出会いを大切に、一日一日を大切に生きて生きたい、と心から思います。

 医療過誤ーセカンドオピニオンー


さて、あっという間に年の暮れ。この1年を振り返ってみたい。
今年前半の大事件は、やはり、長男が経験した医療過誤だ。

長男の右手掌中央左にできた3cm大の腫瘤。
それに、私が気が付いたのは、昨年の12月初旬だった。
私は、この種瘤にただならぬものを感じ、翌日、仕事を休んで、近くの大きな総合病院の労○病院に連れて行った。

しかし、何科に係っていいかがピンと来ない。場所が四肢だから整形外科?、神経細かい所だから形成外科?でも、メールで相談したお友達の内科の医者は、皮膚科と言うし・・総合受付で聞くと、形成外科がいいのではないか、と言われる。外科、と名がつくわけだから、これは、将来的には摘出手術?と、一抹の不安。

診察した医者からは、おそらく軟部腫瘍だろうと言われる。
「良性か、悪性かは、最終的には、摘出したあとの病理検査次第ですね。これから、超音波・MRIをして、どうするか考えましょう、ただ、年末で予約が入らないので、最終診断できるのは、年明けでしょう。」と。
一応、検査予約を入れて帰ってきたが、ますます不安が募る。

「あ、そうだ!とにかく、MRIをとればいいんだ。」
と、思い立ち、その翌日には、近所の整形外科へ!ここは、読○巨○軍の選手御用達の整形外科。
やはり、ここの先生にも、軟部腫瘍だと言われる。MRIの予約は、すんなり入る。1週間後にきてください、と。
とりあえず一安心して帰宅したが、今度は、この待つ1週間が辛い。知り合いに相談したり、ネットで調べたり、本屋さんで医学書を手に取る度、不安は増幅される・・

この時期に心の支えになってくれたのは、旧友の麻酔医と、カウンセラーをしている義妹。
この女医である友達からは、掌はNo man's landと言って安易に手術をする場所じゃないということ、解像度の高いMRI機器を所有し、MRIに関する最新の英文学術誌を日頃から読んでいる手の専門医に係るといい、というアドバイスをもらった。
高度なMRIの読影力を備え、且つ、掌の腫瘍手術経験豊富な、専門医か・・。 そんな人いるのだろうか・・
掌・軟部腫瘍・良性・悪性・手の外科・学会・横浜・東京・・・
様々な言葉を入れて、パソコンで検索してみたり、今だ現役の病院勤務のお友達に聞いたり、と、より専門的な情報収集を始めた。

意外な所から、情報は入った。
なんと、すぐ近くの済○会病院の副医院長が、手の外科学会の評議員。お友達のお父さんの整形外科医に、すぐさま、紹介状を書いていただき、その病院に行く。
丁寧な触診・レントゲン等の診察の後、やはり、同じ言葉・・
「軟部腫瘍でしょう。MRIを年内に撮影しましょう。」
この言葉を聞き、近くの整形外科のMRIの予約は、キャンセルした。

悪い方に最悪の事態も考えるようになったこの頃。闘病している若者たちのHP。長男と年の頃は同じだ。涙なしでは読めない。
長男自身の心も不安定に。カウンセラーをしている義妹に相談。黙って、私の心中を聞いてくれる。なぜか、それだけで癒される・・

検査まで1週間待ち、MRIの結果を聞く日は、忘れもしない病院の年内最終日。先生の診断は、「境界がはっきりしているので、おそらく、良性の腫瘍。小指の腱から発生しています。中は、水でしょう。袋ごと摘出して、病理検査をします。手術は、顕微鏡下手術で行なうので、全身麻酔になります。手術の所要時間は、約2時間でしょう。」
ここで、私は食い下がる。「中身が液体であれば、ガングリオンってことはないですか?」先生は、「ガングリオンでは、ありません。もしそうなら、学会に発表できるぐらいです。」と。
何はともあれ、一応、良性の可能性が高い、というだけで、これでお正月を迎えられる、と大きな安堵と共に帰宅。
手術は、春休みの予定。久しぶりにぐっすりと眠れた夜だった・・

掌の手術。一つ間違えば、利き手が不自由になってしまう。この場合は、小指の腱をいじるわけだから、小指が屈折位で固定されることもある。
約半年は、掌に違和感。せっかく、一安心したのに、また、不安がムクムクと・・
万が一の場合だが、病理検査次第では、再手術、そして切断、2〜3年の化学療法、そして再発?!

いろいろ考えて、仕事はやめようと決意。理由を上司にメールした。すぐさま、癌○○会附属病院に連れてくるようにとの連絡。
重たい心と共に、病院に行く。待合室には、より専門的な治療を必要とする患者さんばかり。特に、整形外科には、全国から集まった思春期の子供達とその母親が目に付く。

副病院長も兼ねた部長先生は、どっしりとして、人目見るなり、安心感が広がる。不思議な事に、お任せしようという気持ちになる。
持参したMRIの画像をじっと見るなり、手元に置いてある機器で超音波検査をし、注射針を持ってくるように看護婦さんに指示。
腫瘍部分に「ちょっと痛いよ。」といいながら、針を刺す。

出てきたものは、緑色の透明の油。
そして、ニコっと笑って、
「ガングリオンだよ。」
「だから、うちは、骨軟部腫瘍専門外来と銘打っているけれども、ガングリオン専門外来といわれる所以なんだ。」

こうやって、全てが解決したのは、桜の蕾が膨らむ頃だった・・

ガングリオンは、再発するというけれども、あれから、9ヶ月経とうとしているが、もう膨らみも何もない。
もちろん、手術もしていない。

バレーボールもできる。
ヴァイオリンもギターも弾ける・・

健康、家族愛、友情、幸せ、という言葉の重み、を実感する・・



医療ルネッサンス(読売新聞)

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