似非ロマンチスト


モノクロの生活で
何が足りない?
何が見えない?




赤の電球に変えてみたの。
気分はロマンチスト。
視界を全て薔薇色に。




目を閉じて何を思う。
そう、こんな色の中で
思う事はタダ一つ。




そう、大切なあの人。
緋色の妄想であの人を思い出して。




もうこの胸に抱くことは無い。
脳裏に焼きついた笑顔を思い出すだけ。




妄想は膨らむばかり。
思い出だけでは飽き足らず。




せめてあなたの骸にみたてて。
この胸に抱くだけ。




抱く妄想。
思い。
思い出。
この頭の中に
いつまでも廻っていて。




愛しいあなたへ。
最期の接吻を。
たとえ妄想であろうとも。




電球が消えれば妄想も儚く揺れて溶ける。
架空のロマンチスト。



さようなら。







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