「あれ?神楽ちゃん。どこか行くの?もうこんな時間なのに。」


新八は時計を見ながら聞いた。
時計の針は深夜を指している。
そんなことを神楽は気にも留めず、外出の準備をして一言告げた。


「ただの散歩ヨ。」




キミと星と願い事。




世間の中で今日は七夕。
古い言い伝えでは一年に一度大好きな人に会える日。
笹の葉に短冊を書いてお願いごとをする日。
そんなこと本当に叶うのかは別に神楽はひたすら歩く。


「…待ったアルカ?」
「全然。俺もちょうど今来たところでさァ。」
「…そう…アルカ。」
「…にしても、チャイナが誘うなんて思ってもいませんでィ。」
「イヤなら、来なくてもよかったアルヨ。」


そういう訳にもいかねぇんだよ。
チャイナからの誘いだからな。


「…丁度、暇つぶしになるかと思いやして…」


…暇つぶし…アルカ。
でも、私の誘いで来る方がびっくりヨ。


神楽は一面の星空を見上げ呟く。


「…おい、サド。知っているカ?」
「…何をですかィ?」
「今日は七夕ヨ。」
「知ってまさァ。」
「何かお願い事したあるカ?」
「【死ね 土方。 副長の座をよこせ。】……ともう一つ。」
「二つもお願いするなんて欲張りな男アルナ。」
「そういうチャイナは何を願ったですかィ?」
「乙女にそんなこと聞くのは野暮ヨ。秘密ネ。」
「何ですかィ。それ…」


「…私、銀ちゃんに聞いたネ。お空の上の二人はとても良く働いているから神様が逢わせてくれたネ。
 でも、遊んでばっかりいるから二人を引き離してしまったアルヨ。
 悲しんでいる姿を神様が見て、7月7日の今日二人は会えることを許されたネ。
 でも、そんなことは神様の勝手ネ。
 神様が余計な事しなければこんなことならなかったアルヨ。七夕だけの再会は悲しいアルヨ…」


一年に一回しか会えない。
きっとお互いを想う気持ちが不安な毎日。
耐えて耐えて逢えるのは七夕の一日限り。


「…それでも逢えるから幸せなんじゃねぇですかィ?」


「…え?」


「…二人は神様の計らいによって出会ってしまった。
 でも、毎日遊ぶくらい、仕事をすることよりなによりも一緒にいたかった。
 一年に一度でいい。ずっとこのまま永遠に逢えなくなるよりもマシ。
 逢えるならばと二人は毎日相手のことを想い今日に至ったんじゃねぇですかィ?」    


それは、二人は相手を思いやることを知った愛。
その想いは見えずと強い。


「…私は嫌アルヨ。」


たとえ神様の巡逢わせでも、仕事よりも一緒にいたいのに、
また神様によって引き離され、一年に一回しか会えなくなるのは嫌アルヨ…。
神様なんてくそくらえネ!!
私はいつでも逢いたい。


「俺もそんなのくそくらえでィ。」


神様が決めたように生き方なんざ御免こうむるでさァ。
道は自分で切り開くものでィ。
だいたい俺たちは神様によって出逢った訳じゃない。
一年に一回っていうケチくさい事もない。
いつものように喧嘩してるだけで丁度いいんでさァ。


誰かの思うがままの生き方はお断りネ。

誰かの思うがままの生き方はまっぴら御免こうむるぜィ。


一瞬の風が吹く。
7月とはいえまだ夜は冷えていた。

「じゃ、私帰るネ。」
「?なんでィ。誘っておいて何もなしで帰るんですかィ?」
「そうヨ。日付も超えたから帰らないと銀ちゃんに怒られるネ。」
「あーそういや俺も土方さんに黙って来てしまいやしたから、バレるとそちとらうるさくなりやるぜィ。」
「なら、早く帰るヨロシ。」
「そうしやすかィ。」


二人は立ち上がり元来た道を歩く。
逆方向なのでお互いの顔を見ることなく歩く。


ふと神楽の足が止まり、振り返る。
今まで一緒にいた総悟が屯所に向かって歩いている。
神楽は引き留めるように呼ぶ。


「………おい、サド。」


総悟の足も止まり振り向く。神楽は続けて叫ぶ。



「…今日、お前…誕生日ダロ!だからッ…その…おめでとうアルヨ!!」



「……」



神楽は叫ぶと急いで帰る方向に走り去って言った。
何が起こったかまだ把握できていない総悟はただ立っているしかできなかった。
一瞬で頭が真っ白になり何も言い返せなかったのだから…。


「…言い逃げかよ。………さんきゅ。」


ようやく出た言葉がそれだった。
最後の言葉は誰にも聞こえないくらいに小さな声だった。
総悟も屯所に向かって歩き出す。


なんでチャイナが俺の誕生日知っているんだ?
誰だ?土方か?山崎か?
それにしてもチャイナは初めからこれを言うつもりで誘ったんじゃ…

やべッ…嬉しすぎる。

こんな最高な誕生日は今まであったのだろうか…と思えてきた。






一方の神楽。


ヤバイ…。顔が熱い。鼓動が煩いヨ…
なんで、こんな一言言うだけでこんなに心臓が煩いの?
でも言えたアル。
多分、私が一番に言ったアルヨ。



どうかお願いです。お空のお星様。



【☆離れることなくずっと一緒に居させてください☆】






*あとがき*

初めての沖神文でした。
7月7日は七夕。
7月8日は沖田総悟の誕生日です。
Wでお祝いしました>v<

正直文を打ったのは3年ぶりなんです。
それまでいろいろあったんですが、復帰文みたいな感じですね。
神楽も総悟もほのぼのです。
普通はこうじゃないですねv
激辛チャイナ娘とドS腹黒王子なんですから☆

ではでは☆またの機会に会いましょうv


2008/07/08   雛乃