暗くなった歌舞伎町にもこの季節に映えるイルミネーション。

天から舞い降りる羽のような白い粉雪。

それは時に幻想的で言葉のまま表すなら、綺麗。

今日は街中にぎやかな日。

そう。クリスマスイヴだ。




でもそんなことは別にどうだっていい。

こういう日は当然ながら仕事である。

まァお偉いさんの護衛な訳だが俺にとってはくそくらえでィ。

行くなら勝手に遊びに行って襲われて

これに懲りてあとは外に出ずにに引きこもってもらいたいものだ。

まァ1回だけではダメだろう。

1回だけでは多分懲りない。

せいぜい数えるのが面倒になったくらいから身をもって知るだろうな。




空から降る雪はただ静かに落ちる。

目も前にはクリスマスのイルミネーション。

幸せそうに歩く人の群れ。


「……」


クソつまんねィ…


仕事だから仕方がないとはいえつまらないことには変わらない。



だからか?

後ろにいる人の気配を感じる事が出来なかったのは…




「おい。給料泥棒。」


「……。」




この雪の中傘をささずに人に向けている少女。

全く。何のための傘なのか…

あ。日よけか。



「珍しく仕事カ。明日は間違いなく吹雪アルナ!」

「…テメーはこんな時間に何してるんでィ?」

「…何でもないアルヨ。いい子にしないとサンタか来ないアルカラナ。」

「人に傘向けているヤツのどこがいい子だ?
 サンタさーん!コイツ人に物騒な傘を向けていまーす。間違いなく悪い子でプレゼントはいらないそうです!」

「なッ…サンタさ〜ん!!コイツ仕事サボっていま〜す。コイツの分のプレゼントは私に渡すヨロシ〜!」

「サンタさーん。俺はサボっていません!真面目に公務中でさァ!」

「騙されるな〜!サンタさ〜ん!!コイツ日頃の行いは最悪アルヨ!」

「それを言うならお前も日頃の行い最悪だろうが!」

「お前より悪くないアル!」




空に向かって大絶叫の二人。




「…ところでお前、なに持っているんでィ?」

総悟は神楽が手に持っている箱を指さして聞く。

「こっコレは…銀ちゃんが…クリスマスだからって…」

神楽は急に困った様子で答える。


「………。」


また旦那か…


総悟もいつものコトだがこれには本当に参る。

どうしたって敵う相手ではないことぐらいわかってはいるんだけど…



「……ん。」

黙ったまま神楽は総悟に持ってきた箱を押しつける。

訳分らなく受け取り、箱を開けるとクリスマスケーキが入っていた。




でもこれどっからどう見ても市販のものではないような歪な形をしていた。


揺らしたにしたって箱の中に生クリームも付いていない。

コイツの場合の揺らし方だと箱がクリームだらけになりそうな感じだがその様子は全然ない。

…これ元から形の崩れたケーキなのでは…?




「…チャイナ。これどこから持ってきたんだ?」

総悟はケーキを見ながら聞く。

「ケーキ屋アル…」

「どこのケーキ屋にこんな歪んだ形のケーキ売っているんでィ。」

「揺らしたら、歪んだケーキになったアル。」

「揺らしたわりには、箱。きれいなんだけど…」

「……。特殊な揺らし方アルヨ。」

「……なァ。これ。もしかして…






 チャイナが作ったんですかィ?」






「………。」






何も答えない神楽がすべてを語った。


どうりで今日全然逢わないはずだ…

いつもは嫌になるほど逢っては喧嘩するにもかかわらず

今日は全然姿が見えなかった。

きっと慣れないことを懸命にしてたんだろう。



「…私が作ったって言えば、お前は絶対食べないアルヨ。」


「……。」


いつも喧嘩ばかりネ。

だからきっと私が作ったって言ってもコイツは怪しむだけネ。

きっと食べないアル…。




「…これ、一人で作ったのか?」

「…;銀ちゃんに聞きながらアル。」

「……。」


神楽の心情を感じ取ったのか総悟は黙ったまま一口食べる。

その様子を神楽も見ていた。


「あ…」


「……。」


……見た目は歪だけど教えたのが旦那と聞けば味は流石に美味い。

…いや…甘すぎ?



神楽はじーっと総悟の表情をうかがっている。

ケーキの味を知りたがっているのだ。


「…まァ、チャイナにとってはまぁまぁの出来ではないですかィ…」


「ホントアルカ…!」


その神楽の表情からさっきと少し変わって笑顔が見えた。


「……。」


退屈だった聖なる夜も悪くない…と思った。




イヴ*願いv




…それは聖なる夜のキセキ






*あとがき*

沖神話10作目ですvv
Merry X'mas文になりますvv
一応甘めを目指して書きました><

総悟がイヴも仕事というのは神楽は知っていたんです。
一応真撰組だし隊長だからね。
それでケーキでも作って押しつけてやろうと思って
銀ちゃんから無理矢理教わったんです。
きっと銀ちゃんもこんなに真剣(だったのか?)に作る神楽を見て
どこか複雑な想いがあったのだと思うのです><
多分ケーキは1回で成功はしなかったでしょうv
沢山作ってその中から一番上手にできたものを持っていったのです><

…なんて多い後付なのでしょう><


2009/12/24   雛乃