誰にも言えなかったの。

自分でもよくわからないの。

沢山…いっぱい考えたけど

どうしたらいいかわからなかったの。








キミがいた物語/09:『すき』のキモチ。








「おいッここに神楽いるか!?」
銀時は息を切らしながら血相を変えて恒道館にいるお妙に聞く。
夕方のいきなりの訪問でお妙は驚きはしたがすぐに答えた。
「…いいえ。来ていないわ。」
「…邪魔したな」
神楽の事だけ聞いてすぐ去ろうとした銀時。
でもそれがお妙にとっては何かあったのだと感じた。
「待って下さい銀さん。…神楽ちゃんに何かあったんですか?」
お妙も真剣に聞いてくる。でも銀時は先に急ぎたい。
「…神楽がいなくなった。」
それだけを伝えて次の場所へと急ぐ。
「銀さん!私も神楽ちゃんを探します。」
それだけを伝えお妙もすぐ支度を始める。




銀時が次に向かったのは、武装警察・真撰組・屯所。
恒道館と同じように一言で神楽の事聞く。
出迎えたのは副長の土方。
返事は一言「最近来てない」と…
息切れの激しい銀時を見て土方は語る。
「しかし、チャイナ一人にこの慌てよう…とはな。」
「バカ言ってんじゃねぇ!!神楽になんかあると神楽の親父(海坊主)に殺されるんだよッ!!
 俺はまだ死にたくねぇんだよッ!!」
銀時も血相を変えて答える。
「大変だぁぁあああ!!トシッ!!」
同じく血相を変えてやってきたのは局長の近藤勲であった。
「お妙さんから電話がきたぁぁああ!」
「「……へ―――――…。」」
銀時と土方はどうでもよさそうに流す。
「これこそ愛の軌跡!!俺の愛がやっと伝わったってことだなぁぁああ!!お妙さ――――ん!!」
近藤は一人別世界にいるような感じであった。
「で、近藤さん。電話の内容は…」
土方は大体の事は予想しているが念のため電話の内容を聞く。
「チャイナさん知らないかって聞かれた。」
「「で?」」
「知らないって答えた。
 でもお妙さんが心配している!真撰組隊士を集めろ!全力でチャイナさんを探すぞぉおお!!」
「いや…盛り上がっている所悪いんだけど…」
近藤の盛り上がっているところを銀時が止める。
「…なんて言うかさぁ…大騒ぎにしたくないっていうか…」
「ッという訳だ。近藤さん。」
そのことに土方も賛成した。
たった一人の少女を探すために、辺りも暗くなっているところに
サイレンの鳴るパトカー、隊士たちによる大捜索はしたくなかった。
「そうか…。しかしチャイナさんどこ行ったんだ?」
「…沖田君辺り何か知っていないのか?」
「やめろ。今の総悟にそんなこと言ってみろ。病気のことなんか忘れて、すぐ探しに行っちまう。
 これは総悟抜きの俺らで何とかしてみつけねェとな…」




一方お妙は川原周辺をさがしていた。
日も暮れたこの時間では人も少ない。
日中なら人も沢山いる。
総悟が元気な頃、この川原も総悟と神楽の喧嘩場所のひとつであった。
お妙はここを通るたびに喧嘩している二人によく遭遇する。
でもお妙が何かするわけもなくただ見ているだけ。
だから、咄嗟に思ったのだろう。
もしかしたらいつもよく見る川原にいるのではないかと…
空は暗くなっているがかすかに人の気配がした。
お妙も少しずつ近づいてみる。



「こんな所にいたのね。神楽ちゃん。」



「…姐御…」



案の定その予想は当たった。神楽がいた事にホッとする。
でも、振り向いた神楽はどこかボ――ッとしてて涙目で…
お妙が知っているいつも明るくて元気が取り柄の神楽ではなかった。

何が彼女をここまで追い詰めたんだろう。
部屋に閉じこもって一切出てこなくなるほど…
万事屋から黙って姿を消してしまうほど…
何が彼女を困らせているっていうの――――?

お妙も神楽の隣に座る。
神楽も前を向いて座ったまま。
「何事もなく無事に見つかってよかったわ。」
「……。」
「みんな、心配して神楽ちゃんを探しているわよ。」
「……。」
「一緒に帰りましょう?」
「……嫌アル。」
何も言わなかった神楽がやっと言葉にした。
「…帰りたくないアル。」
「帰りたくないって言うことは…銀さんとケンカでもしたのかしら?」
神楽は黙ったまま首を横にふる。
その答えにお妙は優しく微笑み優しく問い掛ける。


…この子はわかっている…
自分の何かでこんなにも悩んでいること
だから誰かのせいにすることもなく一人で悩んで、誰にも言えなくて、押しつぶされそうになって…


まぁ、誰かのせいにでもするようだったらビンタを一発くらいお見舞いしてあげようと思ったけど…
「神楽ちゃん。一体何があってこんなに落ち込んでいるのかしら?
 私はいつだって神楽ちゃんの味方よ。相談くらい乗れるわ。」
「……。」
「今まで一人で頑張ってきたものね。神楽ちゃん。
 でもね。誰でもいいから相談する事でね、ホンの少しだけど答えも見えてくるものよ。
 私にも神楽ちゃんが抱えているもの、少しでもいいから分けてもらいたいな…」
「…ッ!私…どうしたらいいかわからないアルヨ…
 でもこんなこと誰にも言えなくて…どうしたらいいかわからなくて…姐御――ッ!!」
神楽はお妙に抱きついて声を出して泣いた。
お妙も何も言えなかった。




それから神楽はお妙に全て話した。
総悟の病気の事。
毎日お見舞いに行っていたこと。
4日くらい前、新八が総悟と私に私のこと好きだって言ったこと…
それから、どうしたらいいかわからなくて、誰にも逢いたくなくて部屋の中にずっといたこと。
みんなに心配かけて、私なんかもうここに居てはいけない気がして
銀ちゃんが出かけたの時に何も言わないで飛び出してしまったこと…


「銀ちゃん。すぐ帰るって言っていたネ。でも私黙って出て行ってしまったアルヨ…
 きっと銀ちゃん怒っているアルヨ…」


お妙はただ黙って神楽の話を聞いていた。
でも神楽は知らない。
お妙が総悟の病気を近藤から話され知っていたことを。
でも、お妙はそれの事を言わずただ聞いていた。
「…色々あったのね。神楽ちゃん。」

お妙も神楽が悩んでいる原因は弟の新八にあるなんて思ってもいなかった。
でも神楽の話を聞いて納得した。
ここ最近の新八の様子がおかしいコトには気がついていた。
でもそれが、告白だったなんて…
それは、挙動不審にでもなっちゃうわね。新ちゃんなら…

「神楽ちゃんはどうしたいのかしら?」
「…わからないアルヨ…」

あの時、新八が言った時、あまりに真剣な顔するから
動けなくて、掛ける言葉も見つからなくて、わからなくて…

「私はみんな好きネ。それじゃあダメ、アルカ?」
「そうね…それはきっと『好き』の種類の違いね。」
「…違い、アルカ?」
「ええ。『好き』って言っても沢山あるのよ。
 神楽ちゃんのみんな好きっていうのもそれぞれ当てはまると思うわ。
 …例えば家族に向ける『好き』は家族愛。人形とかに向ける『好き』はお気に入り。
 友達に向ける『好き』は好意かしら?友情ともいえるわね。
 そして、特定の異性に強く惹かれることを恋っていうのよ。神楽ちゃん。」
「……。」
「きっと新ちゃんが神楽ちゃんに言ったのは家族愛でなくて恋の『好き』だと思うわ。」
「それはどうしたらわかるアルカ!?」
「これはね、理屈じゃないのよ。感じるの。本当に好きな人には気持ちは正直よ。」
「気持ち…アルカ?」
「…神楽ちゃんはどうしてここにいたのかしら?」
「わからないアル。気が付いたらここにいたネ。」
「そう。私は以前沖田君と喧嘩してた場所だからと思ったわ。」
「…え?」



アイツと喧嘩したトコロ?
確かに前まではたくさん喧嘩もした。
今は…出来ないけど…




『…さっきの人…。さっきの人は誰アルカ?』




『なぁ…チャイナ…。おまえ、もしかして…』




『違うアルヨ!!』




あれはホントに違っていたの?
ううん。違うって思っていたかったの。
どうして?
それは私が何にも感じていないって思いたかったから。
だから違うって思っていたかったの。
だから気になってなんかないヨ。
気になんかしてないアル。





――本当に好きな人には気持ちは正直よ。――





「……。」





…キモチ…アルカ…




――正直に…




――素直に…




「姐御…話聞いてくれて、ありがとネ」
その神楽の表情は少しずつではあるが笑顔が戻ってきていた。
「どういたしまして。…さて、神楽ちゃん。一緒に帰りましょう。」
その一言に神楽は困った表情をする。
「…でも銀ちゃんが…」
「銀さんには私からも言っておくわ。大丈夫よ。」
「…うん。」
一緒にいてくれることが嬉しくてお妙と一緒に帰ることを決めた神楽。
「ねぇ姐御?」
「なぁに?神楽ちゃん。」
「私、姐御も好きヨ。でも、その『好き』は家族と同じ『好き』アルヨ。
 だから、姐御も私のここでの家族ネ」
「あら。嬉しいわ。」

姐御はすごいアル。
ココロのモヤモヤ軽くなったネ。
私も姐御のようになりたいアルヨ。
月明かりに照らされて万事屋までの道のりを一緒に帰った。






*あとがき*

一応登場人物たちには見せ場を作ってあげたい!と思いながら書いていますv
でも、全員にちゃんと見せ場が準備されているかはわからないです。。

神楽が誰にも話せなかったのは、夜兎であることだと思うんです。
周りに話して聞いてくれる人なんていなかったから。
それに夜兎の宿命とか、強さを求める神威とかいるからね…
っと、ここでの小さな説明でした☆


*次回予告*
好きの種類を知りました。
私には少し難しいことでした。
これ以上逃げることがキライなので
素直になってみました。


2009/07/25   雛乃