家族ってなんだろ。

今更そう思ってもあまり覚えていないし

唯一の救いも

今は闇の中。








キミがいた物語/12:ふたりのきょうだい。








「やぁ。元気そうだね。神楽。」
「神威…;。何しに来たアルカ?」
「ん―――。地球見学カナ?おいしいものも沢山あるし♪」
「嘘アル。…何しに来たアルカ?」
神楽の顔は真剣そのもの。
その表情を見て神威もニコニコな笑顔から不敵な笑顔に変わりそれと共に空気も変わる。
「…変わらないね。神楽。何も変わっていない。
 その手に持っている花も…傷もあまりない綺麗なソレ〈番傘〉も…
 懐かしいね神楽。まるで“あの頃”みたいじゃないか。」




―――“あの頃”――




――ドクン…




それは故郷の星。




マミィの病気でいつもお布団の中。
私はいつも咲いているお花をお見舞いに持っていく。
それだけでマミィはとても喜んでくれるから。
それだけで私も嬉しいから。
パピーは仕事で兄ちゃんも出かけていなくて。
いつもマミィと私二人で家でお留守番。
マミィがいるから淋しくない。
パピィも兄ちゃんがいなくても淋しくない
いつもそう思っていた。


でも、あの日…
『神楽…?なんでそんな所に?風邪ひく…』
何事もなく帰ってきた神威。
でもね、でもね…
『…兄ちゃッ…』
振り向いた神楽は大粒の涙。
私はどうしたらいいかわからなくて泣くことしかできなかった。
あの日マミィはきれいなお星様になった。
それと同時に崩れてしまったモノもあった…




――ドクン…




「……違うアル。…私は…もうあの頃の私じゃないネ!」

泣いていたあの頃の私じゃないネ。
あれから強くなったアルヨ。

「それがどうかはまた今度見てあげるよ。じゃ、またね。」
「!!ッ待てッ!神威!!」
神楽は追いかけようとしたが神威はもう姿を消していた。

どうして今頃になって神威が地球に…
もう宇宙に行ったかと思っていたのに…
それにあの頃のコト…
まだこんなにちらつくなんて…






「…どうしたんでィ?…浮かない顔して?」
場所は変わって真撰組・屯所。総悟の部屋。
今日は天気もいいので換気も兼ねて襖をオープンに開けていた。
「…私、浮かない顔しているアルカ?」
「…つまんねィ顔しまさァ。」
「ここに来る途中で、バカ兄貴に逢ったネ…。だからアイツのせいアル…」
「…兄貴…いたのか?」
「いるヨ。…父親も妹も…ためらいもなく殺そうとする…バカ兄貴アルヨ…」


父親も妹も…ためらいもなく殺す?
それが夜兎族の兄弟なのか?
一緒に遊ぶところか…殺し合い。
でも…


「……ホントに…はなっから殺る気があるなら、神楽はすでに死んでまさァ。」


「え?」
「妹だろうが親父だろうがブッ殺すヤローだろィ?兄貴は兄貴なりの考えがあったってことでさァ。」


……神威の考え……?
そんなコト…考えてもみなかった…


「……総悟は兄弟いるアルカ?」

「……。」


旦那は神楽に話していないのかィ?
姉上の事…


「いたとするなら下にカ?…でも、こんなサドに育てられたらみんな性格悪になるアルナ…
 その前に兄弟がいる話聞いたことないアルヨ…?」
神楽は小さい声で一人で考えていた。
「……上に……」
「…ん?」
「…姉上がいたんでさァ。」
「姉上がいたアルカ。」
「ああ。」
「今はどこにいるアルカ?」
「今は…きっと誰にも負けないきれいに輝く星でさァ。」
「…そう…アルカ…」


それは…もういないっていうコト…
総悟も悲しんだアルカ?
姉上がいなくなって…
私みたいに泣いたアルカ…?
私の時みたいに……



「それなら私のマミィと総悟の姉上…お空の向こう側で逢っているかもしれないネ。」



神楽は空を見上げながら呟いた。
総悟の空を見上げて答える。



「違いねェ…」



きっと逢っているんだろうな。
どこまでも繋がっている空だから。






神楽が帰る途中総悟の言葉を思い出していた。


『兄貴は兄貴なりの考えがあったってことでさァ。』


本当にそうなの…?
あんなバカ兄でも何か考えがあったの…?
今はみんなバラバラだけどいつかは元通りになれるのだろうか…


「ただいまアルヨ―。」
「あっ!!神楽ッ!!帰ってきたぁぁああ!!」
銀時が帰ってきてほしいばかりかのように出迎えた。
「どうしたアルカ?銀ちゃん?糖分足りなくなったアルカ?」


「あっお帰り。神楽。」


「!!」

この声は…


「神威…!!なんでここにいるネ!」
朝別れたばかりの神威が万事屋にいた。
これは予想外。
どうしてここに…

「え?妹がお世話になっているから挨拶に来たんだよ。」
「…嘘アルネ。」
「…半分は嘘じゃないよ。」
「…もう半分は何アルカ?」
「ん―――――。秘密。」
「神威ッ!!とっとと吐くアル!!」
「あははv怒りんぼだな神楽は。昔はこんなんじゃなかったのに。」
「!!」
その瞬間空気が変わった。
「ねぇ神楽。阿伏兎を負かしたんだって?」
「……。」
「あの頃と大違いだね。神楽。あの…泣いていたばかりの頃とは大違いだ!!」



「…まるで…自分が知っている神楽ではないって言っているようだな…」



銀時が兄妹喧嘩(?)に首を挟んだ。
「…さっきから見て聞いていれば…」
銀時が語る中、神威は銀時に向かって傘をすごいスピードでおろす。
それは、平常心を失くした獣のように…
物凄い音をさせる。



「神威!!!銀ちゃんッ!!」



神楽はその素早い動きを見ているしかなかった。
でも立ち込める煙で状況がどうなっているかわからない。
不安が止まらない。
煙が収まり、二人の影が揺らぐ。
銀時はその一瞬を木刀で受け止めていた。



「…余計なコト…話すと殺すよ?」



その神威の目はいつにもなく本気だった。
いつもヘラヘラ笑っている神威とは思えない本気の目だった。
「…別にいいけどよ…素直に言っちまえよ。そのほうが楽になるぜ?」


…え?


一体何のこと言っているアルカ?
…何かあるアルカ?



『兄貴は兄貴なりの考えがあったってことでさァ。』



こんなバカ兄でも何か思っているところがあるのかな?
こんなバカ兄でも笑顔に隠しているものがあるのかな?
こんなバカ兄でも…



「神威…」



少しぐらいでもいいから家族のコト考えたりするのかな…?



「話すアルヨ!!神威!!!全てを話すアル!!」






*雛乃のあとがき*

ふたりのきょうだい というのはミツバと総悟、神威と神楽のことですv
なのであえて漢字の『兄弟』でなくて『きょうだい』にしましたv

沖神の話なのに濃い兄妹だな><


*次回予告*

それは全ての始まり。
そこに隠されている全ての想い。
それは紛れもなく本当の想いで
嘘なんかじゃない。


2009/08/16   雛乃