待ち人なかなか現ず

俺はいつまでも待ちぼうけ。

それはきっと“以前”に

彼女を置いてきたその報い。








キミがいる物語/02:トナリの席。








屋上でサボっていたのは3年Z組の沖田総悟。
屋上に仰向けになり空を見てる面影はどこか寂しそうな感じだが、
心は裏腹でこの世界を失望していた。
もちろん神様なんか信じていない。
むしろ呪いでもかけたくなるくらいだ。


いつだってそう。
神様は試練しか与えない。
それが乗り越えられるものであっても、乗り越えられないものでも同じ。
全くいい御身分だ。
試練だけを与え人間がどう足掻くかをみている傍観者でしかない。


俺の場合もそう。
この学校には…3Zのクラスには“以前”からの顔見知りばかりいるのに
どうして一番逢いたいヤツがいないんだ。
これだけの奴らがそろっているんだ。
アイツがいたっていいはずなのに、どこにもいない。



だからずっと探してる。
こんなに必死に探すのは俺らしくないが必死になってたった一人を探してる。



それはずっと前に『約束』したから…
叶えられない『約束』もあったけど、今度こそは絶対に『約束』を叶えると決めたから…
どんなことがあっても探したい。
そう思っていた。


でも、時は流れる。
季節も何度も変わった。
この桜ももう何度目なんだろうか。
それでも変わらない日常。
この世界は残酷だ。




1時限目の終わりのチャイムが鳴り響く。
今日は流石に次の授業に出ないとまずいな…と思い
起き上がりカバンを持って総悟は屋上から校舎に入り、階段を下りて自分のクラスに向かう。


「何だ沖田君。今来たのか?」


教室から出た銀八に遭遇し声を掛けられた。
もう少し時間がずれていたら、鉢合わせすることもなかったのになァと心の中で呟くが、
出逢ってしまったのだから仕方がない。
適当に理由を作ってしまおうと考えていた。

「どうせ屋上でサボっていたんだろ。」

「……。」

言い訳を作る前に先に銀八に言われてしまった。
総悟は何も言わず銀八を見る。
銀八はやれやれと思いながら言葉を続けた。
「今日このクラスに転校生が入ってきた。席は沖田君の隣だ。
 異国からきて言葉を話せないが、くれぐれもトナリの席の奴がサボってばかりの印象を与えんなよ。」
言い終えると銀八は総悟の隣を通り過ぎて行った。


転校生?
こんな時期に?


そう思いながらも、総悟は3Zの教室に入る。
とりあえず自分の席を見つけ隣を見ると確かに知らない赤橙色した髪の女子が座っていた。


…誰でィ?


そういえば銀八、その転校生の名前言わないで行ったなァ…と思い
近くにいた山崎を捕まえ、女生徒に指さして聞く。
「山崎。アレ誰でィ。」
「あ。沖田さん。おはようございます。今来たんですか?」
「…山崎。今俺が質問してるんでィ。そんでアレ誰?」
「え?ああ。そっか。沖田さん朝いなかったから…。今日転校してきた留学生の桜桃千春さんだよ。
 沖田さんの隣の席だからわからない所教えてあげてくださいよ!」
あと、人に指ささない、銀八がSHRからサボらないようにって言ってたこと、事細かく伝える。
果たして総悟の耳に届いているのかも知らずに。
「へ――…。」
山崎の話は其方退けで総悟は転校生の方を見ていた。


このクラスの奴らはほとんど顔見知りばかりだ。
その中で異国からの転校生か…。


2時限目の予鈴が鳴る。
生徒たちも自分の席に戻る。
総悟も転校生の隣の席である自分の席に座る。
隣の席の千春はここでやっと来た隣の席の総悟にペコリと会釈するが
総悟は気にもせず前を見ているだけだった。






*あとがき*

キミがいる物語2話です><
何か総悟メインの話になっちゃいましたvv
あと、すごく思うのは、続編って書くの難しいね。。
今はまだ2話で序章な感じですので
これからお話進められるようにしていきたいですvv


*次回予告*

動き始めたのは止まっていたはずのモノ。
それはすでに諦めかけていたモノ。
何よりも誰よりも『約束』を叶えるために
まるで決められていたかのように…


2011/04/10   雛乃