キミがいない世界は
いろんな後悔の連続でした。
それでも沢山の事を知ることができたけど
望むならやっぱり…
キミがいる物語/13:キミがいる世界。
何もかも全部風が奪ってくれたらよかったのに。
銀八が言った言葉も意味も全て。
このままだとまた離れ離れ。
でも前の様な死別は違ってまた逢えるかもしれないけど。
そんな保証はどこにもない。
総悟は神楽がいる方を見て見ると近藤たちと話し込んでいた。
「そうか!あの時の総悟が養療のきっかけがチャイナさんだったのか…!
いやぁ〜良かったよ。あの時の総悟に何言っても聞かなかったから。
そう言えばあの夜勤の日を最後に条件付きで療養始めたもんな。」
「…条件?」
神楽は何のことかわからず聞いていた。
近藤の声が大きかったこともあり話の内容はすぐにわかった。
あの星空の下で約束したあの日の事だ。
「んなことより、チャイナ!」
「…チャイナじゃないネ。神楽アル。」
いきなり総悟が話に割り込み、愛称で呼ばれた神楽も驚くが言いなおす。
「それは今はどうでもいいんでィ!この留学、期限三ヶ月なんだってなァ。」
「…そうヨ。兄ちゃんが決めたネ。」
「…七月からはどうなるんでィ?」
総悟は不安ながらも真剣に聞く。神楽もそれに察知し不安ながら答える。
「…わからないヨ。…こうなるなんて思わなかったんだもん…」
総悟の元気な姿を見れればそれでいい。
ずっとそう思っていたから、わからないヨ。
ホントは…我儘言っちゃえばずっと一緒にいたいヨ。
離れたくない。
でも……
神楽の想いを感じとり総悟は何も言えずにいた。
3Zの生徒たちも何も言えなかった。
「神楽。とりあえずここは、兄貴に会って今思っていることを正直に言ってこい。」
「…え?」
しぃんと静まり返ったこの状況から救いの手を出したのは銀八先生だった。
「お前の兄ちゃん言っていただろ。『この留学期間中に答え見つけるといいって』。」
「…答えって何アルカ。?」
「今のお前の想いさ。相変わらず頑固で天の邪鬼のままか。それとも……」
変化して変わった素直な想いか。
「……。」
「…あの兄貴にはわかっていたんじゃないかなぁ?この留学の結末が。
そもそも前もって…なのか、神楽の留学前に“江戸”の事を聞きに来たのも留学を決めたこともアイツだしな。」
「…何アルカ…。それ。結局私はアイツの手の上で踊らされていたアルカ?」
「…さぁな。でも、家族の中で誰よりもあの悲劇を含め“江戸”の頃のお前を知っている。
それを知っての不器用で見えない優しさの兄貴心だったのかもしれないな。」
「……。」
「この留学は初めから仕組まれていたのかもしれない。
その結果、神楽にとってこれは想定外だったが、兄貴にとっては想定内の事だったんだ。」
「…バカ兄貴が…」
『期間中は絶対学校に通うことを条件にその間に見つけて答えだすといいよ。』
『まぁ、行ってみればわかる。』
そうかもネ。
アイツは全部知っていたのかもしれない。
だから昨日のはきっとわざとアルナ。
桜桃千春=神楽のヒントをわざわざ教え
私の邪魔しつつ自分の思い通りにして言ったアルナ。
最終的にこうなることを知って…
「銀ちゃん。私言ってくるネ。」
「ああ。でも行くなら沖田君も連れて行けよ。」
「…え?俺も?」
銀八にいきなり振られ動揺する。
「沖田君もこの件に関しては当事者だし、それに簡単な兄貴じゃないことぐらいわかっているだろ?」
「……。」
「…あと、この決着は神楽だけに任せてはおけないだろ。」
その言葉を理解した総悟は神楽とともに屋上から昇降口に向かう。
3Zのクラスメイト達は何も言わず黙って見守った。
そこには一部怪しい笑顔があることを知らずに。
総悟は兄貴の居場所を知らないから何も言わずに神楽の後ろをついて行った。
離れないようにギュッと手を握り締めて…
向かった先は神楽が住んでいるアパート。
神楽は迷わず自分の部屋まで向かい、ドアをあけた。
「兄ちゃん!!」
「……。早かったね。」
神楽が総悟と一緒に来たことには何も動揺しなかった。
「…この様子だと全てがバレたんだね。」
「誰がバラしたアルカ!?」
「俺じゃないよ。俺はお前が神楽だと話してない。」
バレたのは昨日の自分の失態だろうと表情で語っていた。
でもそれに負けないように、神楽は一度深呼吸をして今の想いを伝える。
「…兄ちゃん。私これからもずっとここにいたいヨッ!みんなと一緒にいたい。
また、離れるなんてイヤアル。…これが私の、今のキモチアル…」
神楽の表情は至って真剣そのもの。
しばらく沈黙が流れるが破ったのは神威だった。
「言いたいことはわかったけど…取りあえずこの留学は期限3カ月まで。6月末には学校辞めてもらうよ。」
「兄ちゃん!!」
「桜桃千春として…ね。」
「……え?」
「7月からは神楽で留学するといいよ。期限はそうだな…卒業するまで。」
「……。」
神楽は黙ったまま神威の話を聞いていた。
「これで満足した?神楽。」
「7月からも留学?ココにいてもいいアルカ?」
「嫌なら別にしなくても…」
神楽は思いっきり首を横に振る。
「いいアル。これがいいアル。」
「…卒業したらどうするんでィ。」
今まで黙って兄妹の話を聞いていた総悟が口を挟む。
「…それは…」
そんな先のことまで考えていなかった神楽はすぐ言葉にできず悩む。
「その辺はもう子供じゃないんだから勝手に決めてもいいんじゃない?」
「…え?」
この問いに答えたのは神威だった。
「…あ。また“あの時”を再び繰り返すなら手っ取り早く今ここで殺しちゃってもいいよ。」
今までの気と違う殺気をさせながら神威は話す。
「ダ…」
「その心配はいりませんぜィ。俺はもう手離すつもりはないですから。
置いて逝くこともこれ以上泣かすことも、もうくそくらえでさァ。」
神楽は間に入って止めるよりも早く総悟は言葉を返す。
その言葉に納得したのか神威はしばらくたってから呟いた。
「……だってさ。センセ。」
神楽は、え?と驚いて急いで辺りを見渡して玄関の方へ走っていく。
総悟は何となく気づいていたからあまり動揺はしなかった。
神楽と神威が住んでいるアパートの部屋の前に銀八とクラスメイト達が待機していた。
ガチャリと玄関のドアが開く音がして外を見た瞬間神楽は驚いた。
クラスメイト達は真剣な表情で留学の6月以降の事について沢山の声が響いた。
みんなが心配してくれることが嬉しくて神楽も表情が和らぐ。
笑顔で卒業するまでみんなと一緒にいれることを報告しみんなで喜び合った。
この大人数で大騒ぎすることもかなり近所迷惑なので部屋の中にお邪魔する。
神威はそんな様子を見ながら神楽がこの場所を離れたくないことを理解した。
離れたくない理由は別にあることも知っている。
それでも仕方がないこと。
何年ぶりだろ。神楽の心から笑っている笑顔を見たのは。
「よく卒業までなんて許したな。」
気がつけば神威の隣には銀八先生が隣にいた。
「失敗すればマジでただの3カ月の留学だったけどね。
こうなることはどこかで思っていたよ。…でも、まぁそうなんない為にもあちこちで暗躍してきたけど。」
…やっぱり確信犯だったか。
銀八と総悟は黙りながらもそう思った。
失敗なんかさせない。
それじゃ意味がない。
ただそう思っていた。
何のためにここまで動いているのかあまり感じなかった。
あまりにも無意識で無自覚だったけど今こうしてやっとわかった気がする。
俺は神楽の笑顔が見たかったことに…
次の授業に合わせて3Zの生徒と先生は一斉に学校へと戻る。
「ところで先生、コイツの教科書はいつになったら届くんでィ。いい加減試験前で勉強し辛いんでさァ。」
「あ〜教科書か…これから注文だからなぁ。いつなるか予想もつかねぇな。」
「…これから!?」
「神楽の留学がマジで三ヶ月だったら勿体ないだろ。だからこの結果見てからの注文だったんだよ。
だからもう少し我慢してくれ。」
「はァ!?このクソ天パッ!!」
総悟の怒声が空に響いた。
その様子を神楽は見て笑っていた。
「お前もこのこと知っていたのかィ?」
「知らないヨ。席のことだってお前の隣にはびっくりしたヨ。最初は銀ちゃんが仕組んたんだと思っていたネ。」
「…そうかィ。」
「うん。…あとね、“江戸”でね、お前がいなくなった後、私宇宙に行ったネ。兄ちゃんと。
マヨからお前が使っていた刀を持って行けって言われて一緒に持っていったアルヨ。
今度逢えたらお前に返そうと思っていたヨ。」
「……。」
総悟は黙って神楽の話を聞いていた。
「でもね、この世界は記憶はあるのに刀は無くなっていたネ。私、必死に探したヨ。
でも見つからないネ。でも、ここに来て思ったヨ。銀ちゃんに逢ってわかったヨ。
今はもう侍の星じゃないんだって。あの頃は違うって。そしたら急に淋しくなったヨ。」
絆が消えてしまったような気がしたの。
あれは夢だったのかって思うくらいに。
でもその引き換えにこの記憶があるなら
きっとそれは夢なんかじゃないんだね。
「でも、無くなったんじゃないんだネ。」
「おう。…多分、この世界には必要なないもんでさァ。」
それでも再び巡り逢えた。
それだけですごく嬉しいんだ。
「ねぇ、“江戸”の時に最期に言った言葉もう一回言って?」
「…は?」
「もう一回聞きたいネ。」
「ヤダ。…つーか、あーいう状況じゃなかったら絶対言わねェ。」
「それでももう一回だけ聞きたいネ。…それにお前言い逃げアル!」
「はァ?」
「あの後の私の返事聞いてないダロ?」
「!!…返事、したのかィ?」
「うん。……(暴れた後だけど、)したアル!でも、お前が言わないなら私も言わないネ!
聞きたいならお前が先に言うアル!」
先に言えって言うけれどこんなクラスメイトがいる中言えるか。
でも返事も聞きたい想いもある。
ホント、“あの時”のような状態でない限り絶対言わないだけど…
「…。神楽。耳かせ。」
「ん?」
「……愛してまさァ…これでいいかよ?」
総悟は半分照れて言った。神楽はそれに満足して、うんと思いっきり笑顔で頷いた。
しばらく歩いてから神楽も総悟の耳元で小声で返事をした。
「…バカ総悟…愛しているヨ。」
あの時と同じ言葉を…。
「今度はずっと一緒にいれるアルカ?」
周りでは次の授業までの時間があまりないことに気づいた少数な真面目な生徒は小走りになる中
大半の生徒と総悟と神楽はあわてることなく歩いて学校に向かう。
「ああ。じゃ、約束するかィ?」
「約束?」
「ずっと一緒にいる約束。…今度はできねぇ約束はしませんぜィ。」
神楽はじっと総悟の方を見ている。前科がある総悟も一言付け足す。
「ホントアルナ。」
「ホントホント。」
「じゃあ約束アルナ!」
神楽は笑顔で答えた。
「おう。約束でィ。」
空は澄み切った青空だった。
あの日、宇宙に旅立ったあの日にた青空。
それでもあの頃と違う想いが神楽を笑顔にする。
これからまたどんなことが起こるかわからない。
またあの時の様な残酷な現実にぶつかるかもしれない。
それでも大丈夫って信じているよ。
ふたり一緒なら…
*あとがき*
キミがいる物語 これにて完結になります。
前作・キミがいた物語もいろいろろ引っ張っての初・続編文でした。
ここまで読んでくださった方本当にありがとうですv
このお話のきっかけは、前作の連載中に決めていました。
詳しくは此処ではなく別の『あとがき』にて
前作諸々と大暴走のように語りたいと思いますv
13話としてのあとがきですv
神威の行動の目的が実は『神楽の笑顔』だったってことは
実際打っていて雛が今感じたことでした。
最後に気づいて、いいのかそれで!?な感じです。
2011/06/26 雛乃
