01:追われる兄妹






逃げるんだ。

絶対に

捕まらないように。




二人の兄妹が逃げるように森の中を走る。
でも実際逃げている最中だったりする。


兄の名は神威。12歳。

妹の名は神楽。6歳。


「神楽ッ!」

神威は神楽を抱え木の陰に気配を消して隠れる。
シーっと神楽に静かにすることを伝えながらヤツらの気配を探す。
もちろん神楽は何も言わず黙っている。
こういう状況には慣れている神楽は兄の足手まといにはなりなくない。
今のところヤツらの気配を感じない。
でもずっとこのままにしてはいられないだろう。
あのしつこい追手の事だ。
きっと簡単にあきらめないだろう。
でもこっちだってそう簡単に捕まるわけにもいかない。


そのためには逃げ切らなきゃ。
捕まるわけにはいかないから…
オレにしても…妹にしても…。


「…兄ちゃん?」
神楽の声に神威は神楽の方を向く。
「…大丈夫アルカ?」
不安げに幼い妹は聞く。
「………。」


いくら幼いとはいえきっと不安でたまらないはず…
この状況は…
でも、今のうちなら…


「…神楽。ケガはないか?」
「うん。大丈夫アル!」
神楽は元気に笑顔で答える。
「…そう。なら神楽、静かに話を聞いて。」
「…うん。」
「この先を、神楽が一人で行くんだ。」
神威は指をさして説明する。
でも神楽はいきなり言われたことに戸惑う。
「…え?ひとりで…?」
「一人で行くんだ。この先をまっすぐに行けば村まで行ける。俺のコトは気にしないで真っ直ぐ村まで…!」
「…イヤアルッ!兄ちゃんも一緒に行くアル!」
「……」


急なコトはわかっている…
わかっているけど…


「神楽…」
神威の呼びかけにも神楽はひたすら首を横に振り続ける。
正直幼い妹をひとり行かせるのも避けたい所だが
今はそんなこと言っていられない。
時間がないのだ。
もうすぐそこまで追手は近づいている。


「大丈夫。神楽。絶対後から追い付くから…」
神威はできるだけ優しく神楽に伝える。
「でも…」


それでも神楽は兄と一緒にいたい。
離れたくなんかない。


「絶対に追い付く。だから…」


行ってほしい。
このまま二人一緒にいたら捕まってしまう可能性がある。
でも神楽一人行かせた方が逃げられるかもしれない策がある。


「…ほんとうに?」
神楽は瞳に涙をいっぱいためて神威に聞く。
「本当だから…!だから神楽は先に行くんだ!!」
しばらく泣いていた神楽は涙を拭き頷く。
「……うん。わかった。」
神威はその言葉によしよしと神楽の頭をなでる。
「あと神楽。一つ約束。絶対に走っているときは振り向いちゃいけない。ひたすら一直線に走るんだ。」
神楽は黙ったまま頷く。


「じゃあ、神楽。合図と一緒に出るんだ。」


「……うん。」



「………」


神威は静かにヤツらの気配を探す。
少しでも近くに来たその時…


「今だッ!!」


二人同時に出る。
神楽は神威の言われたとおり指をさされた方向に向かってひたすら走る。
途中止まり掛けそうになっても振り向かずひたすら走り続けた。
神威が言っていた村がある方向に向かって…





*あとがき*

今回は初パロティのほのぼの話でございますvv
ほのぼのしたお話が書きたくて作ったお話ですが
多分どっかにシリアスが出てくるかもしれないです。。

さて、今回は神威と神楽しか出ていませんが
これからいろんなキャラたちを出してわいわい楽しみたいと思いますvv
ではvお楽しみくださいませ☆


2010/01/11   雛乃