04:人間への想い
あれから時間も経ち神楽が目覚めたときには外は漆黒の暗闇、夜になっていた。
神楽は周りをキョロキョロと見渡すがどこなのかわからない。
周り一面畳の部屋。
「…ここは?」
一体何があったのか記憶を遡る。
そうだ。刺客にあって捕まりそうになった所を……助けて、もらった。
名も知らない人たちに。
あの時はとにかく自分も捕まらないようにと我武者羅で必死だった。
そのあとは…覚えていない。
多分日の光を浴びすぎて倒れたのかもしれない。
「あ?目が覚めた!」
襖が開きさっきの男の子・総悟が顔を出し、起きていることを知り直ぐに去ってしまった。
他の人たちに知らせたらしい。
一気にさっきいた人たちがこの部屋に集まった。
「もう起きても大丈夫なの?」
ミツバは非常に心配をしていた。
「……。」
神楽は返事をしなかった。
まだ警戒心を抱いていることを土方は悟った。
「…黙ってちゃ何もわかんねーだろ?どの辺から来たんだ?
こんな時間だ。家族も心配してるぞ?」
土方も神楽に近づいて聞いてみる。
「……家族?………なんで、人間が…」
「…え?」
小声だったが神楽の発した言葉に誰もが耳を傾けた。
でもあまりにも小声すぎて何を言っているのか聞き取れなかった。
神楽はゆっくりその場に立ちあがる。
「…人間が、なんで…そんなこと聞くアルカ?…だって人間は…みんな…みんな壊したアル…!」
神楽は瞳いっぱいに涙を集めて叫ぶ。
全部壊してきた。
楽しかった日々も家族も何もかも全部人間が全てを壊した。
どうして強い民族なのに逃げなきゃいけないの?
どうして『楽しい』を奪っていくの?
どうして……?
『神楽。人間には捕まってはいけないよ。人間は厄介な生物なんだ。
捕まってしまえば最後。二度と会えない。』
ココにはいない兄の言葉が頭の中に響く。
幼い神楽も今までのことからしてその兄の言葉がどんな意味なのかは理解はしている。
だからでこそ私は…
「…兄ちゃんに会いたいヨ……」
大粒の涙が頬を伝ってその場に静かに落ちる。
そのまま神楽は力を失くしたかのようにペタンと座りこんだ。
一回流れ出した涙は止まることがなかった。
兄ちゃんの言いつけ通りににひたすら前だけを見て走って森を抜けたよ。
でもどうして会えないの?
すぐに追いつくって言っていたじゃない。
会いたいよ……。
神楽の泣き声だけが部屋に響いた。
この少女が今までどのように生きてきたかはわからないが
おそらく人間によってつらい目に逢ってきたのだろう。
「俺たちはそんな人間じゃない…」
土方はしゃがみ神楽の頭の上に掌をポンッと載せた。
「…でも私を捕まえて…」
「…別にお前を捕まえた訳じゃない。ココが俺らの家なんだ。
…お前に家族のことを聞いたが、実際俺らにも本当の家族はもういない。
それでも今ではこれが『家族』だ。」
それはもう誇らしく。
この『家族』があるから今の自分がいると言っているかのように…
「……家族?……刺客……違うの…?」
神楽は恐る恐る聞いた。
「刺客?」
土方は何の事だ?と逆に神楽に聞く。
「……さっきの…」
「…ああ。さっきの連中か?」
夕方総悟がフルボッコした自称・保護団体。
夜兎が危険だから保護していると言っていたな。
でも、夜兎族であるこの少女は刺客と言っていた…
やはりただの保護団体ではなさそうだ。
「違いまさァ。あんな奴ら全然しらねーもん!」
総悟はさっきまでミツバの後ろに隠れていたが、神楽の方に近づいて堂々と言った。
その弟の様子にクスッとミツバは笑いながら、ポンッと神楽の肩に優しくミツバの手を置いた
神楽は驚き手を置かれたミツバがいる方を振り向く。
「もし、神楽ちゃんがよかったらここにいない?」
「……え?」
「…行くところないでしょ?それにもしあっても今外に行っても危険だわ。」
さっきの人たちの話が尋常でないことはおっとりしているミツバにも理解はできた。
それ以上に衝撃も受けていた。
弟より小さく女の子が危ない何かに狙われて、過酷に生きていることに。
「……どうして…そんなに…?」
優しいの?
まるで罠でないかと狂いそうになる。
ホントは機会を見て捕らえるのでは…と。
「だって『家族』はいつも温かいものだろ?」
近藤はニカッと笑いながら総悟と土方の肩に手を置き優しく告げた。
…今は無理でも、人間が悪い生き物ばかりではないコトを信じてほしくて。
本当に変な人たち。
でも、刺客とは違う冷たい目線も戦慄も何も感じなくて…
「そういやお前、兄ちゃんがいるのかィ?」
「…え?」
思い出したかのように総悟が聞き、いきなりのことで神楽は驚いた。
「だって、さっき『兄ちゃん』ッて言っていたから。」
「……。…刺客と違うネ。兄ちゃん知らないの?」
「…え?」
神楽の言葉に誰も声も出ないくらいに驚く。
「兄ちゃん強くて有名。いつも守ってくれるアル。
今日も…森の途中まで一緒だったヨ。でも、刺客に追われて…
絶対に、追いつくからッて…言っていたのに…」
神楽の瞳には再び涙が溜まる。
今の神楽の話で土方は神楽の経路を理解した。
迷子は迷子でも追われている時に兄貴とはぐれたらしい。
しかも、夜兎族として強いと有名な兄貴と…
「そんなに強いお兄さんならばきっと大丈夫よ。
信じてみんなと一緒にココで待っていましょう。」
ミツバは優しく神楽の頭をなでた。
優しくなでる温かな掌が兄とはぐれて淋しかった神楽にとってはとても嬉しかった。
「……うん。」
*あとがき*
04話お届けです>v<
トッシーの言葉で気づいたww
ココのキャラ達孤児多し。。
前作もそうだったけど書いてから
キャラの気持ちに気づくことがあるvv
このお話はほのぼのしたモノ書きたくて作ったお話なのに
なんでこんなにシリアス一直線なんだろww
でも大丈夫!これからほのぼのになる予定vv
なので次は白背景の予定です。
*次回予告*
人間と夜兎族
違う種族ながら共同生活が始まった。
幼い少女のココロも
少しずつ動いていく。
2012/02/26 雛乃