宮城全労協ニュース/第101号(電子版)/2008年2月7日

◎08春闘を闘いぬこう!


◎集会案内と資料の紹介
1.北関東・東北ブロック春闘討論集会のお知らせ
2.全労協春闘パンフレットの内容紹介




●「賃上げ」から後退する日本経団連

経団連はここにきて「賃上げ期待」をトーンダウンさせている。「サブプライムローン問題、原油高、住宅着工件数の減少」の三点セットを逃げの材料にあげているが、それらは労働者になんの責任もないことだ。それどころが生活関連物価の大幅上昇となって労働者生活を襲っている。さらに新年度から公益料金や食品などの値上げラッシュが続く。事実上の消費税増税ではないか。経団連は「企業と家計を両輪とした経済構造」が必要だと指摘した。しかし、それは建て前にすぎず、いざ春闘となればあくまでも企業利益にしがみつくということか。

日本経団連は08年の「経営労働政策委員会報告」で「付加価値額の増加額の一部は、人材確保なども含め総人件費改定の原資とする」と述べた。つまり、<企業業績が良くなっているのは事実で、働く人たちへの配分を考慮する状況にある>と認めた。「自社の支払い能力に対応する付加価値額の増加に見合う配分」という条件付きであり、もうかっている企業は労働者に分配してもいいという傲慢きわまる態度だが、それでも昨年までとは一線を画した「賃上げ容認」論に踏み切った。また、<ワーキングプア問題>や<非正規雇用労働者の待遇改善>などの必要性も認めざるをえなくなっている。

ところが、「賃上げできる企業は当然すべきだが、賃上げできない企業もやれ、とは言っていない。賃上げを決める権限は経団連にはない」と委員会報告の責任者である草刈経団連副会長は責任逃れを決め込んだ(1月29日/報道インタビュー)。政府統計によれば賃金は9年連続して低下しつづけてきた。賃下げの司令塔であった経団連が、賃上げに関しては個別企業事案だと逃げることは許されるのか。

とくに中小零細企業は経団連トップの姿勢を「賃上げ回避」の口実に使うだろう。それでなくても中小零細企業は大企業の支配下であえぎ続けてきたし、昨年後半には多くの経済指標が地方の景況悪化を示した。企業倒産も増大した。

草刈は、「(内需拡大のための賃上げは)企業の社会的責任として、できる範囲で当然考えるべきだ」と述べる一方、「社会的使命だけで大盤振る舞いすれば共倒れになる」とブレーキをかけている。「大盤振る舞い」とはふざけた言い草ではないか。過去10年間で大企業の経常利益は約2倍の15兆円に増加し、株主配当金は約4倍の伸び率だ。役員給与は10年前の4割増しである(財務省調査、全労協春闘パンフレットより)。その間、労働者には「痛み」の強要だ。連合の要求は、この落差と比べれば、まったくささいなものではないか。

そもそも日本経団連が2002年に経団連と日経連を統合して発足したのは、当時の企業不正・犯罪の続発が背景にあった。だから日本経団連は出発にあたって、ことさらに「企業の社会的責任」と「企業倫理」をかかげた。その結果はどうなっているか。「法令遵守」はズタズタであり、不正・犯罪は主要企業もまきこんで日常茶飯事だ。御手洗会長のキャノンによる「偽装請負」が経団連の実情を象徴している。

リストラよる雇用・賃金破壊、格差と貧困の拡大、あいつぐ偽装発覚など、企業のあり方が問われ続けている。とくに大企業は、法人税引き下げをはじめ、格別の特権的な優遇措置を得てきた。戦後最長の好景気を謳歌した企業が、率先して「社会的な責任」を果たさないのであれば、「社会的な規範」が機能するはずはない。経団連の存在意義がまさに問われている。


●高まる「内需拡大」論

全国紙は08春闘では賃上げと格差の是正がなされるべきだと主張してきた(地方紙の主張はもっと切実である)。たとえば次のような論調だ。

「厳しい労使交渉が予想されるが、日本経済の活性化につながる結果を期待したい。今春闘の最大の焦点は、どのくらいの幅や広がりをもって賃上げが実現するかだ」「・・内需が勢いづけば企業にもプラスになる。これまでの景気拡大の恩恵が広く行き渡ることで、さらに息の長い景気を実現させたい」。
(読売新聞社説/賃上げを景気持続につなげたい/1月24日)

「日本経団連はようやく、従業員への適正な分配の重要性に目を向け始めた。・・バブル経済崩壊後、旧日経連の時代から経団連は賃上げを抑え込むことに力を入れてきた。・・07年版(の経営労働政策委員会報告)では、労使の重要課題は『付加価値の増大』で、『従業員一律のベースアップはもはやありえない』と言い切っていた。これと比べると、08年版は慎重な言い回しながら、内容的に大幅な方針転換といえる」。
(日経新聞社説/来春の適正な賃上げは必要だ/12月20日)

「賃上げ容認論」には「構造改革路線」の行き詰まりが示されている。それは端的にいって参議院選挙の与党大敗による政権危機が反映されているが、さらに、この間の「内需拡大」論が後押ししている。

「世界的な金融市場の混乱や米経済の減速で、外需主導の景気回復を持続できるかどうか、懸念が増している。国内景気を維持するには、個人消費など内需の強まりが欠かせない」(日経新聞社説/賃上げを景気持続につなげたい/1月24日)。

乗り移り的な小手先対応の感があるが、しかし、封印してきた懸念がこの間の経済波乱を機に浮上しているということだろう。いつまでも米国頼りでいいのか、米国が押しつける世界基準でいいのかという日本にとっての根本的な問題である。

過日、国内自動車販売数の劇的な減少が大きく報じられた。07年の日本国内での新車販売台数(軽自動車を含む)は前年比6.7%の大幅ダウンであり、しかもピーク時の1990年と比べると31%の減少だという。業界はとくに「若者の自動車離れ」に注目している。いろいろな理由がからみあっているだろうが、若年世代の低所得化・貧困化の影響が大きいはずだ。トヨタは海外でもうかっていればいい、というのだろうか。日本企業はどのような展望を描くのか。奇しくも経済動乱の08年、大きな曲がり角にさしかかっている。


●福田政府の「生活重視路線」

福田政府もこのような流れに乗っている。政府与党にとっては、とにかく参院選大敗後の局面をしのぎ、地歩回復に道筋をつけることが至上命題であるからだ。そのためには、安倍前首相の政治路線を払拭するだけでなく、構造改革路線を修正しなければならない。

福田首相は1月18日、通常国会開幕にあたっての施政方針演説で、「活力ある経済社会の構築」を柱の一つにすえた。それは第一に「革新的技術創造戦略」(福田が「イノベーション」という用語を使わなかったのは、安倍−御手洗色を薄めようとしたからだろう)、第二に「グローバル戦略」、第三に「全員参加の経済戦略」だった。

福田首相は「全員参加」のなかに、「労働分配率の向上に向けて、正規・非正規雇用の格差の是正や、日雇い派遣の適正化等労働者派遣制度の見直しなど」を行なうという文章を入れた。また閣議決定された「日本経済の進路と戦略」においても、若者が希望をもてる社会をつくる必要性を強調した。それは実際、一時しのぎでごまかせということなのか、それとも政策を改めるのか。厚生労働省はどのように対応するのか。

施政方針演説とならぶ大田担当大臣の経済報告が注目された。大田は「もはや日本は経済一流ではない」と強調したが、その「無気力」ぶりが波紋を呼んだ。

竹中の後継役である大田は、常々、日本経済は持続的な成長の道を歩んでおり、その成果がやがて家計にも、労働者にも反映されるだろうと説いてきた。「勝ち組」が牽引する経済成長の成果が、しずくとなって社会の底辺にまで染み込み、恩恵をもたらすだろう。「おこぼれ理論」である。だから、「負け組」もその日が来るまで待っていてほしい、我慢してほしいと繰り返してきた。大田大臣はいまになって、そのような「おこぼれ」はないかもしれないというのだろうか。それでは「勝ち逃げ理論」ではないか。


●08春闘へ!

福田首相が「生活重視」を実行するのであれば、このような構造改革派を一掃すべきである。「生活重視」は自民党の歴史的危機を救うための時間稼ぎにすぎないのか、それとも自民党の大敗を反省して政策の修正・転換に踏み込むのか。福田政権のあいまいな態度が厳しく追及されねばならない。同時に、民主党は労働者民衆のための国政転換をなしうるか。労働法制の改悪に明確に反対するとともに、格差・差別を許さず、企業の犯罪・不正をただすべく、立法化をふくめた闘いに全力をあげて取り組むことが民主党に要求されている。


非正規労働は労働者の3分の1に拡大している。1千万人以上が年収200万円以下の生活を強いられている。この間、二重派遣、偽装請負や偽装管理職などをめぐって、とくに非正規雇用労働者による闘いが社会的な共感をよび、大きく前進してきた。非正規雇用労働者と連帯して08春闘を進めよう。

過労死労働と24時間労働は改善されまま労働者生活を危機に追いやっている。社会保障の外に多くの人々がほうり出され、悲劇的な結末が後をたたないという現実に立ち向かう労働運動が、いまこそ必要とされている。「生きる権利」「働く権利」をかけて08春闘を闘いぬこう。

全労協は「08けんり春闘」をスタートさせ、全国一斉労働相談(2月23、24日)をはじめ活動を本格化させようとしている。北関東・東北ブロック春闘討論集会(2月17日)、宮城合同労組春闘回答指定日(3月14日)、春闘中央行動(4月3日)など、取り組みを開始しよう。


生活できる賃上げを勝ちとろう!
非正規雇用労働者の権利確立・均等待遇を!
労働法制の改悪を阻止しよう!
新自由主義・構造改革路線を転換させよう!

2008年2月7日


(注)不当配転と闘う電通労組の仲間たちは、賃上げ要求を放棄したNTT労組を糾弾し、08春闘に立ち上がっている。職場の近況報告はNTT共闘ニュースの次号に掲載予定です。参照してください。



●資料(1)
08年北関東・東北ブロック春闘討論集会の案内

□2月17日(日曜)午後1時30分〜3時30分(以降、交流会)
□郡山市 郡山教組会館

□講演 菅野 存さん(全国一般東京東部労組書記長)
演題/「希望はユニオン!」

□主催:集会実行委員会(参加費千円)
□連絡先:宮城合同労働組合/ふくしま連帯ユニオン


*以下、呼びかけ文より転載します。

広がる貧困化、ワーキングプア

今や日本の労働者の4人に1人、1千万以上が年収200万円以下。偽装請負、二重派遣、偽装管理職によるピンハネが横行しています。

<コナカの店長に「残業代」600万円
−「偽装管理職」なくす第一歩−

昨年組合を結成した全国一般東京東部労組コナカ支部は団体交渉で、組合員の店長時代の残業代として600万円を会社側が支払うことで勝利的解決を果たしました。これは、コナカだけではなく「店長」という肩書きがついただけで無制限の長時間労働とサービス残業を強いられているファーストフード、コンビニ、居酒屋、家電量販店などの店長にとっても朗報です。「名ばかり管理職」をなくすための大きな一歩です。

1月28日にはマクドナルド店長の残業代訴訟で勝利判決がでました。過労死になるかもしれない、その寸前で組合に入り、裁判を起こし、命と家族との幸せを守ったのです。こうした闘いを広げていきましょう。

<団結と闘いなくして雇用も賃金もない!>

福田首相は世界規模の市場競争に勝ち抜いていく大企業のための経済政策を従来通り推進し、消費税増税に向けた準備に入ることも宣言し、今年3月で期限の切れるガソリン税暫定税率25円の10年間延長も決めようとしています。こんなことは許せません。

・全ての職場、全ての労働者に労働組合を!
・職場で、地域で、生活と権利を守り、悪政と対決しよう!



資料(2)
全労協(全国労働組合連絡協議会)春闘パンフレット

「タイトル」
労働組合をつくろう!
格差・貧困とたたかおう!
08春闘に勝利しよう!

パンフレットの主な内容を紹介します(◎はグラフ、表)。


<巻頭アピール/藤崎良三・全労協議長>
「反転攻勢の08春闘を闘おう!〜「生きる権利」がある〜


1.増収・増益の大企業。格差は無限大に!

<空前の利益を上げる大企業>
◎トヨタ自動車の純利益
◎大企業の経常利益の推移
◎大手企業の利益、配当金、給与の推移

<賃金、労働分配率ともに低下>
◎給与所得者の平均年収の推移
◎中小企業・大企業の労働分配率の推移
◎この5年間の賃金伸び率の国際比較(製造業)

<所得再分配機能も低下>
◎所得格差(ジニ係数)と所得再分配の効果

<中小企業は倒産増、地域・業種の格差も拡大>
◎年半期別倒産件数推移

<偽装請負、偽装派遣、低下する企業モラル>
◎激増する労働者派遣・業務請負の法違反


2.理由のない非正規(有期)雇用の廃絶を

<増え続ける非正規労働者>
◎正社員と非正社員の数の変化
◎雇用形態別就業者

<平均年収200万円以下が1000万人を突破>
◎年収200万円以下の給与所得者の人数
◎就業形態別年収分布
◎下がり続ける派遣労働者の平均時給

<悪化する労働環境を改善しよう>
◎重大・死亡労災の発生件数
◎精神障害などによる労災請求認定件数
◎過労自殺で労災認定された最近の例
◎有給休暇の取得率
◎週に50時間以上労働している就業者の国際比較


3.生活できる賃上げを勝ち取ろう

<最低賃金の大幅引き上げを実現しよう>
◎平成19年度地域別最低賃金改定状況
◎最低賃金額と平均賃金に対する比率の推移
◎主要国の最低賃金


4.セーフティネットの充実で命と暮らしを守ろう

<生活保護制度の充実を>
◎生活保護世帯数と生活保護費の推移
◎生活保護支給額

<高齢者・弱者切り捨てをゆるさない闘いを>
<労働組合を社会的弱者の交流の場に>
<幅広い組織化を実現しよう>


5.労働ビッグバン攻撃を跳ね返せ!

◎働き方の規制緩和をめぐる主な動き(86年〜07年)


6.労働規制強化で人間らしい生活を取り戻そう!

・労働時間規制の強化を
・派遣労働の規制強化を
・有期雇用労働の規制強化を
・解雇制限を
・労働条件不利益変更には労働者の同意が必要


7.差別はNO!やっぱ、人間らしい働き方には均等待遇さ

◎男女別「正規の職員・従業員」・「非正規の職員・従業員」の対前年増減、
及び「非正規の職員・従業員」の割合

・均等待遇を求める08春闘スローガン
・08年4月、14年ぶりに改定パート法&指針が施行
・間接差別をなくして均等待遇を実現しよう!


8.公務員バッシングに抗し、格差是正の闘いを!

<今なぜ公契約条例なのか?>


9.移住労働者に対する人権無視の「写真・指紋採取」はやめろ!
10.反戦闘争を繰り広げよう!
11.新自由主義・グローバリゼーションと闘おう!洞爺湖サミット反対!
12.国鉄闘争に勝利しよう!
13.すべての争議に勝利しよう!

(■発行2008年1月20日/頒価200円)