麻生政権を倒そう!解散に追い込もう!
大リストラ・労働者犠牲を許さない!
<全労協09春闘討論集会>
12月13日(土)、13時30分から東京・交通ビルにて開催。
●麻生首相の解散先送り
麻生首相は10月30日、「早期解散・総選挙」を否定した。先送り発言は、追加経済対策の発表の後、記者からの質問に答えたものだ。「景気対策が最優先」という演出である。「しかるべき時に自分自身が判断する」。その時期に関して、来年6月ないし7月の東京都議選をはさみ、年末年始解散から任期満了選挙まで、臆測が飛びかっている。
公明党は11月30日投開票の選挙態勢に入っていた。「合意」の実行を求める公明党を首相は押し切った。
「福田首相のもとでは総選挙は闘えない」。自民党内の福田降ろしと公明党の強硬な姿勢は福田首相を辞任に追い込み、麻生政権が誕生した。「麻生は選挙の顔」であり、総裁選挙から新内閣発足の勢いに乗って早期解散・総選挙に打って出ることが「暗黙の了解」だった。本人も、選挙勝利によって「天命を果たす」と決意表明した。
だが事態は筋書き通りには進まなかった。麻生ブームには火がつかず、内閣支持率も期待を裏切った。中山大臣の暴言が飛び出し、ずさん極まる論功勲章の組閣実態を浮き彫りにした。小泉元首相の「引退」声明が重なった。日をおかずして支持率は下降しはじめ、さらにアメリカ発の金融危機が急激な株価下落となって日本に波及した。
首相は世論調査の支持率と日経平均株価の二つの数字をにらみながら、何度か解散のタイミングをはかったとされる。補正予算は民主党の賛成を得て成立させた。給油活動延長法案も難なく成立するはずだった。しかし、決断を先送りした麻生首相は、次第に早期解散のタイミングを失なっていった。
麻生首相は「政策ではなく政局優先」だと民主党を批判してきたが、「政局政治」に終始したのは当の首相自身である。首相判断への批判は自民党内でも根強く、福田降ろしの盟友であったはずの公明党との関係も冷え込んだ。ツケは麻生首相に回ってきている。
解散日程をあいまいにすることが「政権の求心力」を生む。麻生と側近たちの意図だという。だが安倍元首相が失敗した「仲間内政治」に陥っているのではないか。早くも政権危機が見え隠れしている。
新政権発足から1か月、あらたな局面に入った。
●「与党が過半数を割る危険性」
麻生首相は30日の記者会見で、「政局よりは政策、何より景気対策という世論の方が圧倒的に高いと思っている」と先送りを正当化した。真相はどうか。麻生と側近たちの方針転換は選挙情勢の厳しさによるものだった。ほかならぬ自民党の調査が「与党過半数割れ」の可能性を予測したということは定説となっている。
麻生は9月22日自民党総裁に就任し、24日総理大臣に選出された。国連総会出席後の29日、所信表明演説に立って民主党小沢代表との党首対決を強調した。10月3日解散が報じられていた。
その10月3日、一部の新聞とテレビが自民党の「極秘調査」内容を伝えた。日経新聞によれば、9月22日から27日にかけて、全国300小選挙区で各々1千人の聞き取り調査が行なわれた。結果は限られた自民党幹部に伝えられ、麻生に報告された。
古賀選対委員長ら幹部たちの態度が急変し、解散に慎重な発言が飛び出しはじめたのは、たしかにその直後からだった。調査結果は「与党で約100減の230議席台、過半数(241)に達しない」可能性を示していた。「過半数確保(241議席)は微妙だった」「自民党215、民主党214、公明党25」だったとの報道もある(読売新聞10月31日)。
各種の世論調査によれば、自民党支持率は福田政権末期から比べると持ちなおしており、党首支持率では麻生と小沢民主党代表の差は歴然としている。にもかかわらず、自民党がその後も続行した調査によれば、選挙情勢は好転していないという。
この1か月間、調査は断続的に行われた。4度目の最新調査は10月24日から26日、「『惨敗必至』との結果は麻生太郎首相に報告され、解散先送りの判断を後押ししたとみられる」(日経新聞10月30日)。
約120の重点選挙区を再調査した最新データでは、予想議席は民主党が240超、自民党が約180、公明党が25前後だった。小選挙区では自公優勢が120弱、民主党優勢が170弱。つまり、麻生首相が先送りした1か月間で、「情勢は一段と悪化した格好」になる(同)。
●弱まる政権の「求心力」
報道される数値の正しさは不明だ。「極秘情報」の扱いも定かではない。解散先送りの気運を高めるためにリークされ、利用されている可能性もあろう。しかし、厳しい選挙情勢が麻生の解散戦略をしばったのは確かだ。
「いちばん良いタイミングでの解散・総選挙」を公言する麻生にとっては、先送りは当然の判断だということになる。だがその代償は大きい。
首相は「自分から日程にふれたことは一度もない」と明言してきたが、事後に発売された月刊誌(注1)に掲載された文書が、臨時国会冒頭解散のシナリオを示唆していた。国会で追及された麻生首相は「解散の日時は日々刻々変わって当然」と答え、冒頭解散が企図されていたことを認める結果となった。あまりにもお粗末な大失態だった。
公明党との関係も悪化した。10月26日、麻生は公明党首脳と極秘会談に及んだが、その一部報道(共同通信配信)が波紋を広げている。「『一体、誰のおかげで総理になれたと思ってるんだ』。密会の部屋には早期解散を迫る二人(公明党代表と幹事長)の怒号が飛びかった」(河北新報29日「衆院選、年内見送り/展望なし、揺らぐ連立」)。自公両党は報道内容に抗議したというが、このような報道がなされること自体、当事者たちの不信の深さを物語っている。自公連立政権の歴史的な危機ということもできる。
早期解散を主張し続けてきた細田自民党幹事長の発言も取りざたされている。「昨日今日あたり、衆院が解散されるのではと思っていたが、まだ(解散に向けた)確定的な動きがない。今、解散を行えば大勝利を収める確信を持っていた」(読売新聞11月1日、31日法曹団体の会合で)。
「求心力」の弱まりは「政策」にも影響している。「3年後の消費増税」には自公両党から異論がでて、麻生本人も翌日、あくまで経済回復が前提だと弁明した。さらに与謝野大臣は「全世帯」対象の定額給付にクレームをつけた。
●「政権たらい回し」に終止符を!
1か月を経てもなお総選挙への態度を明確にしない麻生首相の姿勢は、政権を私物化するものだ。「政権の正統性」を問われた麻生首相は30日、「大統領制ではなく議員内閣制だから、(政権の)正統性に関してはまったく問題ない」と居直った。
「解散・総選挙は首相の専権事項」だという。年末解散から任期満了選挙まで、麻生首相が「いちばん良い時期」をねらうのは当然かつ正当だ、「選択権は自分たちの手にある」というわけだ。はたしてそうなのか。少なくても「郵政総選挙」以降3年間、安倍、福田、麻生によって政権は「たらい回し」されてきた。
そもそも「郵政解散・総選挙」自体が暴挙だった(中曽根元首相は「一種のクーデター」だと評した)。しかも小選挙区制度のマジックによって議席差が極大化された。小泉路線はその後修正され、郵政造反組が相次いで復党し、ついには小泉自身が「引退」した。竹中元大臣は政界の外から改革逆行を批判している。麻生政権は、清和会4代の果てに小渕政権に舞い戻ったとの批判さえ受けている。どこに「正統性」があるというのか。
「郵政総選挙」で得た3分の2超の衆議院勢力が、参議院選挙の結果にもかかわらず、「有権者の審判」を受けないまま存続している。「日本政治の閉塞」は、「衆参ねじれ国会」にあるのではなく、自公政権、とくに小泉以降3年間のごまかしによる。
「政権交替可能な保守二大政党制」を主張して「政治改革」を主導した人々の多くが、自公政権の退場を求めないのはおかしな話だ。「国民主権」の無視ではないか。福田が政権を維持できないというなら、野党に移すべきだ。たらい回しされた麻生首相が、解散・総選挙を「政局」とからめて政権にしがみつくことは許されない。
●麻生政権を倒そう!
最初の1か月で、いわば「嘘っぽさ」が麻生政権にしみついてしまった。それは政策にも影響せざるをえない。
福田政権時代、伊吹自民党幹事長は「選挙に勝とうと思うと一種の『目くらまし』をしなければしようがない」と発言した。政権の惰性、おごりだ。麻生新首相はこれを払拭できない。「生活者を第一においた経済対策」だと訴えて2兆円を給付しても、景気対策上の実効性の以前に、要するに「選挙対策のばらまき」だと与党支持者も思うだろう。
一方、麻生の動揺の1か月、民主党は攻勢をとることができなかった。民主党は、早期解散を引き出すためにあえて国会審議に「協力」する、という戦術をとった。それは成功しなかったし、審議内容も問題だった。この点を認める民主党議員たちも少なくない。臨時予算案になぜ賛成できるのか。給油延長法案では、自民党との協調をもてあそぶかのようなシーンさえあったではないか。
公明党議員は予算委員会で、「国会は政争の場ではない、与党も野党もない、大切なのは国民生活だ」と演説した(10月15日)。野党が与党を攻めなければ、国会に何の意味があるのか。民主党が批判されるべきは、政権に協力しないことではなくて、野党としての政権追及があまりに不十分だということだ。
民主党は、給油延長法案延長を阻止すべく、断固として参議院で闘うべきだ。航空幕僚長論文問題の幕引きを許さず、国会招致を含めて徹底追及しなければならない。「選挙対策」のための「ばらまき政治」、その財政穴埋めのための消費増税を許してはならない。
●労働者民衆への犠牲強要を許さない!
米国発の金融危機は昨年来の日本経済の低迷状況に拍車をかけ、急速な景況悪化が進行している。中小・零細企業の経営はこの間、大企業の締め付けと銀行「貸し渋り」があいまって、すでに深刻な状況に陥っている。
「パートは求人倍率が急低下、派遣は稼働者の伸び率が鈍化、アルバイトは時給や求人落ち込みも」(日経新聞8月21日)という状況は、この間の国際金融パニックによって急激に悪化している。来春の新規就職環境も厳しく、採用内定取り消しも相次いでいる。
しかし、「国民生活第一の景気対策」として麻生首相がアピールしたのは、所得制限なしの2兆円給付と投資家減税の継続(一方で預金利子は再び引き下げられた)である。「2兆円の財政出動が可能なら、政府はまず「貧困と格差」対策に最優先して投入すべきだ。零細企業とその労働者の雇用・賃金対策、福祉と医療、公的教育、農漁業への政策投資が必要だ。だが麻生首相がもちだしたのは、財源の穴埋めとして「3年後の消費増税」だった。
トヨタなど輸出大企業で、すでに派遣労働者のリストラが進んできた。日産は8月2日、46%の減益を発表した。8月7日、トヨタは38%(前年同期比)の営業減益を公表した。「米景気の低迷、燃料高の逆風」である。トヨタ九州は「製造現場の派遣社員800人の契約解除」に踏み切った(8月6日各紙)。
それに先立つトヨタの株主総会(6月24日)では、「株主からは米国経済が減速している影響を懸念する質問も出た」というが、過去最高の役員報酬が決定された。29人の取締役と7人の監査役に、役員報酬と賞与など、前期比で17%の増額だった(総額39億円)。年間配当も増額された。
自動車など輸出企業は今春、「円高対策」による「想定レート」を修正した。「円高が逆風となって上場企業は今期に7年ぶりの減益となる公算が大きく、想定レートの変更は為替相場にも影響を与え始めている」(日経新聞08年5月2日)。トヨタの経営陣と株主は、現在の金融危機の爆発の以前から経営悪化を想定しており、にもかかわらず(あるいは、だからこそ)過去最高の報酬と増配を決定したということになる。
そのような大企業が、労働者へのリストラを強行することを政府はどうして許しているのか。福田政権下で大田経済財政担当大臣は、企業業績の回復の果実がやがて労働者に「したたり落ちる」という理論を最後まで繰り返した。このような「小泉改革」の政策が、「郵政私有化」問題とともに、国会で検証されねばならない(注2)。
大企業各社はその後、「非正社員」のリストラ計画を相次いで発表している。これに呼応する形で、鉄鋼・造船など大企業労働組合が来春の「ベア要求」の放棄の方針を固めたという。
自公政権に終止符を打つために、全力をあげよう!
「09春闘」の準備を急ごう!
(注1)文芸春秋08年11月号。「総力特集・自民vs民主党、最終決戦」という特集が組まれ、「強い日本を!私の国家再建計画」と題する麻生文書が掲載されている。「小沢代表よ、正々堂々と勝負しよう。私は絶対に逃げない」「(総裁選挙の)勝利は所詮準決勝でしかない」「私は決断した」など臨時国会冒頭解散を示唆している。文書は「内閣総理大臣」の肩書きによる。
(注2)ちなみに竹中元大臣は今年4月、「(民営化した郵政の資金は)アメリカから見ると安心して受け入れられる、民間の資金」だ、「アメリカに対しても貢献できるし、同時に日本郵政から見ても、アメリカの金融機関に出資することで、いろいろなノウハウを蓄積し、新たなビジネスへの基礎もできる」などと発言している。(「サブプライム危機の真実/民営化した郵政はアメリカに出資せよ」(朝日ニュースターでの対談。再構成した記事がダイヤモンド社のオンラインサイトに掲載されている)。
■以上/宮城全労協ニュース第112号(2008年11月1日)

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