宮城全労協ニュース/第113号(電子版)/2008年11月17日

労働者派遣法の抜本改正を!
11月13日、共同行動が出発集会(東京)

資料/12・4全国集会の呼びかけ
資料/日弁連人権擁護大会(10月3日)決議


■労働者派遣法の抜本改正をめざす12・4日比谷集会
12月4日(木)18時30分から日比谷野外音楽堂


■全労協09春闘討論集会
12月13日(土)13時30分から東京・交通ビル


<緊迫する国会情勢>

労働者派遣法の改定をめぐる攻防は、臨時国会での与野党攻防の焦点の一つでもあり、緊迫した状況をむかえている。国会闘争と連帯して闘いを発展させよう。民主党の動向が注目されるが、全国の闘いをうねりをもって、抜本改正実現のための野党共同の闘いを要求しよう。

大企業による派遣労働者の人員削減が連日のように報道されている。中小・零細企業の経営はさらに深刻であり、「雇用破壊」は地域社会の裾野で底深く進行している(注)。雇用危機は来春の新規採用に及びつつある。金融危機を口実にした「雇用調整」を許さないためにも、労働者派遣法の抜本改正が必要だ。


11月4日、麻生政府が閣議決定

「派遣労働」が社会的な問題となって広がり、抜本改正を求める運動も労働組合の枠を越えて発展してきた。しかし、福田首相の政権投げ出しを前後し、日本経団連など経営者側の抵抗もあって、厚労省は抜本改正から後退した。8月に厚労省が示した法案の「たたき台」では、さらなる規制緩和の「改悪」さえ盛り込もうとしてきた。

このような厚労省の姿勢に対して、「こんな法案は粉砕だ!」と幾つもの集会がもたれ、様々な声明が出されてきた。にもかかわらず、政府は11月4日、厚労省案を閣議決定し、翌日国会に上程した。失望と怒りの声が巻き起こった。


「みせかけではない、抜本的な改正を求める」有識者声明(11月5日)

閣議決定の翌日、個人連名の声明が出された。

「日本はどうしてこうまで働くことに希望を見いだせないような国になったのだろうか。長時間、サービス残業にあけくれる正社員の一方で、雇用労働者の3分の1は非正規雇用となり、自立した生活を営むのに最低でも必要と考えられる年収200万円以下で働く民間労働者は1千万人を超えたという。格差社会の到来である。私たちはその大きな原因の一つに1999年に原則自由化された労働者派遣の拡大をみる」。

声明は、「アメリカの金融危機に始まった日本経済の先行き不安で、この間、日本を代表する自動車、電機など大企業の製造工場で派遣労働者の大量首切りが相次いでいる。正社員の代替として活用してきた派遣労働者は無情に切り捨てられ、今や寮からも追い払われようとしているが、いったいどんな対応がとられていると言えるのか。今こそ労働者派遣法の抜本的総括、見直しが必要なときである」と政府・経済界に迫った。


日弁連会長声明(11月6日

声明(労働者派遣法「改正」案に反対し、真の抜本改正を求める会長声明)は政府改正案の問題点を次のように簡潔に指摘した。


1、日雇い派遣について、これを全面的に禁止するのではなく、30日以内の期限付雇用労働者の派遣を原則禁止するに止まり、政令で定める広範な例外業務を認めて日雇い派遣を公認している。

2、30日を超える短期雇用を容認しているため、派遣労働者の不安定雇用を是正することにはならない。

3、派遣料金のマージン率について、平均的なマージン率の情報提供義務を課すに止めて、上限規制を設けていないため、派遣労働者の低賃金を是正し待遇を改善することにはならない。

4、 派遣先に仕事があるときだけ雇用される登録型派遣については禁止の方向とはせず 、派遣元事業主に対して、直接常用雇用を促進するなどの努力義務を課しているにすぎない。

この他、全体として抜本改正には程遠い極めて不十分な内容となっている。・・・


声明は、「ワーキングプアを解消し、派遣労働者の雇用と生活を安定させるものとはなっていない」とし、拙速な審議や改正を避け、抜本的な改正を求めた。

また、この声明には、日弁連が人権擁護大会(10月3日)で「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人が人間らしく働き生活する権利の確立を求める決議」(注)を満場一致で採択し、「非正規雇用の増大に歯止めをかけワーキングプアを解消するために、労働者派遣法制の抜本的改正を行うべきである、と提言した」ことも記されている。
(会長声明と決議は日弁連ホームページ参照)


11・13緊急集会(東京)

13日、派遣法の抜本改正をめざす「出発集会」と位置付けられた集会が開催された。労働組合、弁護士、個人などで作られた「労働者派遣法の抜本改正を目指す共同行動」(事務局:全国ユニオン)が主催した。

・・・「まやかし派遣法改正案国会上程弾劾!派遣労働者の雇い止めを許すな!派遣法抜本改正をめざす共同行動 11・13出発集会」は、緊急の集会だったが、200名を超える仲間が結集し、大成功裡に終わった。

集会は、雇止・解雇と闘う4人の派遣労働者の訴え、国民新党、共産党、社民党の各党の国会議員の連帯の挨拶、日本労働弁護団、日弁連各代表の決意、棗弁護士からの情報報告、そして、労働者派遣法の抜本改正をめざして、11・20院内集会、12・4日比谷での全国集会を全力で取り組むことを確認して終わった(全労協fax情報、11月17日付より抜粋)。

以下、12・4全国集会の呼びかけを転載します。


■資料
労働者派遣法の抜本改正をめざす
12・4野音集会の呼びかけ

みなさまの日々のご奮闘に敬意を表します。

いま、労働者派遣法の改正をめぐる攻防が正念場を迎えています。政府の労働政策審議会は10月29日、派遣法の改定法案要綱を「概ね妥当」と厚生労働大臣に答申しました。政府・与党は11月4日に労働者派遣法「改正」案を今国会に上程し、成立を狙っています。

派遣法「改正」案や労政審の「建議」については、すでに学者、法律家、労働組合らから多くの問題点を指摘されています。「日雇い派遣」を禁止するといいながら、全面的に禁止するものではありません。30日以内の期限付雇用労働者の派遣を原則禁止するに止まり、政令で定める広範な例外業務を認めて日雇い派遣を公認しています。一方、派遣先と派遣元との契約では、日替わりで派遣先が変わる「日々派遣」は許され、安全対策や労働条件の確認などがおざなりになるおそれがあります。

派遣労働者の不安定雇用と低賃金を解消するためには、仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型」派遣を禁止することや派遣マージン率の上限規制が不可欠ですが、そこには踏み込まない極めて不十分なものです。また、「偽装請負」や二重・三重の派遣など違法派遣が起きた場合の派遣先との「みなし雇用」なども法制化されていません。

要綱には改正どころか「改悪」部分も盛り込まれています。雇用期間の定めがない「常用型」派遣については、3年継続した場合の派遣先による直接雇用の申し込み義務を免除するとともに、事前面接を解禁しています。これでは派遣労働の規制強化ではなく、規制緩和となっています。

そもそも派遣法の改正論議はなぜ始まったのでしょうか。派遣という働き方の広がりがワーキングプアなど「貧困と格差」の温床となっているからです。「人間使い捨て」の労働現場を横行させてきたからです。実際に、昨今の金融危機の中で、「派遣切り」と称して真っ先に雇用の調整弁として解雇の対象となっているのが派遣労働者です。

すべての人が尊厳ある労働と生活を手にするためには、労働者派遣法の見せかけの「改正」ではなく、抜本改正が必要です。今回、労働団体や分野の枠を越えて「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動」を発足させ、下記の通り日比谷野音で大きな集会を開催します。有識者の方々にも呼びかけ人になってもらい、社会運動として取り組みます。働く者の「人間らしく生きる権利」を侵害する規制緩和の流れを反転させる出発点にしましょう。みなさまには一人でも多くの参加を心からお願いいたします。

◎日時 2008年12月4日(木)18時30分〜
◎場所 東京日比谷野外音楽堂
◎連絡先 事務局(全国ユニオン)



資料
日弁連「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人が人間らしく働き生活する権利の確立を求める決議」

日弁連(日本弁護士連合会)の第51回人権擁護大会(10月3日、富山)で採択されたもの。


「働いても人間らしい生活を営むに足る収入を得られないワーキングプアが急増している。年収200万円以下で働く民間企業の労働者は1000万人を超えた」、「ワーキングプア拡大の主たる要因は、構造改革政策の下で、労働分野の規制緩和が推進され、加えて元々脆弱な社会保障制度の下で社会保障費の抑制が進められたことにある」。

ところが、「人々の暮らしを支えるべき社会保障制度も、自己負担増と給付削減が続く中で十分に機能していない。そのため、いったん収入の低下や失業が生じると社会保障制度によっても救済されず、蓄え、家族、住まい、健康等を次々と喪失し、貧困が世代を超えて拡大再生産されるという「貧困の連鎖」の構造が作られている」。

「しかし、このような労働と貧困の現状は、本来人々が生まれながらにして享有している人権を侵害するものであり、もはや看過できる状況ではない」。「そこで、当連合会は、人間らしい労働と生活を実現するため、国・地方自治体・使用者らに対し、以下の諸方策を実施するよう強く求めるものである」(以上、決議前文から抜粋)。


そのうえで次の6項目が決議されている(以下、全文)。

(1)国は、非正規雇用の増大に歯止めをかけワーキングプアを解消するために、正規雇用が原則であり、有期雇用を含む非正規雇用は合理的理由がある例外的場合に限定されるべきであるとの観点に立って、労働法制と労働政策を抜本的に見直すべきである。
特に、労働者派遣については、日雇派遣の禁止と派遣料金のマージン率に上限規制を設けることが不可欠であり、派遣対象業務を専門的業務に限定することや登録型派遣の廃止を含む労働者派遣法制の抜本的改正を行うべきである。

(2)国は、同一または同等の労働であるにもかかわらず雇用形態の違いによって、賃金等の労働条件に差異が生じないよう、労働契約法を改正して、すべての労働契約における労働条件の均等待遇を立法化し実効的な措置をとるべきである。

(3)国は、すべての人が人間らしい生活を営むことのできる水準に、最低賃金を大幅に引き上げるよう施策を講ずるべきである。

(4)国は、偽装請負、残業代未払いなどの違法行為の根絶を図るため、これらを摘発し監督する体制を強化し、使用者に現行労働法規を遵守させるための実効ある措置をとるべきである。

(5)国及び地方自治体は、社会保障費の抑制方針を改め、ワーキングプア等が社会保険や生活保護の利用から排除されないように、社会保障制度の抜本的改善を図るとともに、利用しやすく効果の高い職業教育・職業訓練制度を確立させるべきである。

(6)使用者は、労働関連諸法規を遵守するとともに、雇用するすべての労働者が人間らしく働き生活できるよう、雇用のあり方を見直し社会的責任を果たすべきである。

当連合会は、貧困の拡大に歯止めをかけるためには、労働問題と生活保護等の生活問題に対する一体的取り組みが不可欠であるとの認識に立ち、非正規労働者を始めとするすべての人が、人間らしく働き生活する権利を享受できるようにするため全力を尽くす決意である。


さらに、決議の提案理由として以下の分析、主張、提言がなされている。

◎貧困の拡大、ワーキングプアの拡大
◎ワーキングプア拡大の要因
◎ワーキングプアに関連する法制度の問題点
◎すべての人が人間らしく働き生活する権利の保障
◎提言および今後の取り組み、など。


決議と提案理由の全文は、ぜひ日弁連ホームページを参照してください。

なお、この決議とともに人権擁護大会では、「平和的共存権および日本国憲法9条の今日的意義を確認する宣言」、「安全で質の高い医療を受ける権利の実現に関する宣言」が採択され、同じくホームパージに掲載されています。


■以上、宮城全労協ニュース第113号/2008年11月17日