<本号の内容>
「労働者派遣法の抜本改正を求める12・4日比谷野音集会」の報告
(資料)12・4集会アピール
(資料)松下電工(パナソニック)グループの脱法派遣と不当解雇を許さない!
◎提訴にあたって、宮城合同労組・ふくしま連帯労組の声明
◎原告の訴え
(注)
12・4日比谷野音集会に参加した電通労組からの報告を掲載します。
なお当日、集会前段には、パナソニックグループの「偽装派遣・労働者使い捨て」に抗議し、原告を支援する集まりがもたれました。宮城合同労組とふくしま連帯労組の声明、ならびに原告の訴えを転載します。
「派遣社員はモノじゃない!」
大きな怒りに包まれた12・4日比谷野音集会
12月4日、東京日比谷野音で「派遣法の抜本改正をめざす日比谷集会」が開催され、2千人が集まり、日雇い派遣の禁止など労働者派遣法の抜本的な改正を訴えました。宮城合同労組、電通労組など、宮城全労協もこの全国集会に参加しました。
集会は有識者声明に名をつらねた賛同人が呼びかけ、「労働者派遣法の抜本改正を目指す共同行動」(事務局・全国ユニオン)が主催しました。労働組合はナショナルセンターを越えて結集し、また野党4党の代表も挨拶しました。この集会はテレビや新聞で大きく報じられました。
棗(なつめ)弁護士の司会で始まり、呼びかけ人を代表してルポライターの鎌田慧さんが開会の挨拶を行いました。
解雇の矢面に立たされている派遣労働者たちが、「派遣社員はモノではない」という大きなパネルをかかげて壇上に上がりました。大分キャノン、いすゞ自動車、パナソニック電工、阪急トラベルサポート、グッドウィルなどの仲間が闘いを報告しました。「新年を迎えさせてください」「ホームレスにしないでください」「住んでいる寮から追い出さないでください」・・仲間たちの訴えは実に切々たるものでした。
大分キャノンで派遣や請負として働いてきた仲間は、「12月10日付けで契約解除を言い渡された。しかし会社は期間工の募集を続けている。派遣なら切っていいのか」と怒りをぶつけました。彼は、「故郷には仕事がないので大分に来て働いていた」「契約解除によって寮からも追い出される、実家への引っ越し代もない」と切羽詰まった状況に直面しています。
政党で発言したのは、民主党は菅副代表、共産党の志位委員長、社民党の福島代表、国民新党の亀井副幹事長でした。
最後に日弁連、日本労働弁護団、自由法曹団の弁護士たちが登壇し、呼びかけ人の一員でもある宇都宮弁護士が代表して発言しました。
集会アピール(*資料参照)に続いて、参加者は国会デモに出発しました。「まやかし派遣法改正反対・派遣法の抜本改正」、「派遣切り・雇い止めを許さない」という闘いをさらに大きく発展させましょう。
トヨタなど自動車産業や電機産業等で非正規労働者の「雇い止め」「派遣切り」が横行し、厚労省は先日、3万人が職を失うと報告しました。政府調査に解雇予定ありと正直に答える経営者はいないだろうし、現実には10万人とも100万人ともに言われています。そして実際、この調査報告以降、連日のように解雇・雇い止めが報道されています。
東北でも岩手東芝、関東自動車(岩手)、仙台ニコンなど、派遣・期間労働者が職を奪われ、寮を追い出される状況が広がっていて、その数は3千5百人に達するとも言われています(*注)。
このような中、福島では松下電工(パナソニック)グループの脱法派遣と不当解雇を許さぬ闘いが始まり、立ち上がった仲間(宮城合同労組組合員)を「支援する会」が福島で結成されました(*資料参照)。日比谷野音集会の前段には全国一般全国協議会の支援集会が開催され、ふくしま連帯労組、宮城合同労組、宮城全労協、岩手共生ユニオンなども参加しました。福島のパナソニック裁判の報告とともに、大阪の「松下プラズマ偽装請負」を闘う仲間もアピールしました。
(以上、電通労組よりの報告)
(*注)
12月18日付け過北新報によれば、17日現在、東北地方で4782人が、すでに解雇されたか、または解雇予定である。「人員整理が行われているのは大半が製造業で、派遣などの非正規労働者が契約打ち切りに追い込まれるケースが多い」、なかでも「大幅な減産方針を打ち出した自動車産業の関連企業が集積する岩手は、人員整理の規模が2000人を突破した」(同紙「雇い止め、東北で4782人/自動車関連が深刻」)。
宮城県は15日の緊急対策会議で、県内製造業の31社、977人が解雇されたか、その予定だと報告した。宮城労働局による調査では、23社で1200人が解雇されたか、その予定という。いずれにしても、犠牲になっている労働者たちの数は日を追って増大している。
●資料
許すな「派遣切り!」−
−労働者派遣法の抜本改正を求める12・4全国集会アピール
今、日本国中で、派遣労働者に対する「派遣切り」と有期雇用労働者に対する解雇・雇い止めの嵐が吹き荒れている。時は師走に入り、厳冬の季節の中に放り出され、「雇用の調整弁」として無残にも使い捨てられている多数の労働者があふれている。製造、流通などの現場で働く派遣労働者の中には、職を失うばかりか、住居まで追い出され、路上生活を余儀なくされて、年の瀬の街の中を流浪するしかない者たちが大勢いる。日本の非正規雇用労働者全体の生存が脅かされている非常事態である。
私たちは、このような労働者の惨状を断じて容認することはできない。「派遣切り」「更新拒絶」を安易に許すような労働市場を作り上げた者たちを決して許しはしない。全ての使用者は直ちに派遣切りと更新拒絶を止めるべきであり、雇用を維持する社会的責任を果たさなければならない。政府は直ちに緊急の雇用対策と住居・生活対策を策定し実施しなければならない。それとともに、今こそ、このようなワーキング・プア≠生み出す温床となっている労働者派遣法を抜本的に改正しなければならない。
ところが、今年11月4日に政府が閣議決定し、臨時国会に上程した「労働者派遣法改正案」は、貧困と格差が広がるわが国の社会において、ワーキング・プアの象徴である日雇い派遣労働者を含む多くの派遣労働者の不安定な雇用と低賃金労働を解消していくには程遠い内容であり、実効性に極めて乏しいものとなっている。それどころか、政府・与党の派遣法改正案は、派遣先による派遣労働者の事前面接などを解禁し、さらには、派遣受け入れ期間の制限のない業務について、派遣先の労働契約の申込み義務を免除することとなっており、この改正案は常用型派遣の固定化を容認し、「常用代替を防止し、派遣は臨時的・一時的な雇用形態である」という労働者派遣法の基本的理念に反するものであり、派遣労働者保護のための規制強化ではなく、規制を緩和するものとなっている。
私たちは、このような政府・与党の派遣法改正案に断固反対するとともに、以下のような抜本的改正を強く求める。すなわち、
第1に、日雇い派遣に例外業務を認めず全面的に禁止すること、
第2に、30日以内の期限付雇用を禁止するなどという中途半端な改正ではなく、登録型派遣を廃止するか真に労使対等の実態のある専門業務に限定し、期限の定めのない常用型派遣を原則とすること、
第3に、平均的なマージン率の情報提供義務では何の意味もなく、派遣料金のマージン率規制について上限規制を設けること、
第4に、派遣労働者の賃金等の待遇改善策について、派遣先の同種労働者との「均等待遇」を使用者に義務付けること、さらに、偽装請負・違法派遣があった場合の派遣先との‘みなし雇用’規定を創設し、違法派遣を受け入れた派遣先の雇用責任を厳しく問うことことなどである。
現在の労働者派遣法は、「労働を使い捨て、人間を使い捨てる法律」である。労働は市場で自由に調達できる商品ではない。労働は人間が人たるに値する生存を保障するものでなければならない。一部の強者や富裕層だけが優遇され、社会的弱者や貧困層が見捨てられるような社会は断じて認められない。
本日、日比谷野外音楽堂に集まった私たちは、日本の職場で働く全ての労働者とその家族、地域の市民、学生たちと共に連帯して、政府・与党の派遣法改正案に断固として反対し、この臨時国会から来年の通常国会へかけて、真の労働者保護が実現する労働者派遣法の抜本的な改正を成し遂げる決意である。とめどもなく非正規雇用を拡大し、ワーキング・プアを生み出してきた規制緩和政策の流れを変えて、真に労働者・市民のためになる労働法制の立法化を実現していくことをここに宣言する。
2008年12月4日
労働者派遣法の抜本改正を求める共同行動
●資料
パナソニック電工に対する地位確認等の提訴にあたって
<声明>
全国一般労働組合全国協議会宮城合同労働組合
執行委員長 星野 憲太郎
全国一般労働組合全国協議会ふくしま連帯労働組合
執行委員長 宗形 修 一
全国の派遣労働者の皆さん、派遣労働者の人権を守るために日夜闘い続けておられるすべての皆さん。
当該派遣労働者が所属する宮城合同労働組合と現地のふくしま連帯労働組合は、巨大企業グループ・パナソニックグループ(今年9月まで松下グループ)の17年6ヶ月にわたる脱法派遣と今年9月の不当解雇を許さず、本日福島地方裁判所郡山支部にパナソニック電工に対する地位確認等の提訴を行なった佐藤組合員の闘いを支え、共に勝利をかちとるべく、決意を明らかにします。
1.松下電工は1991年2月に自ら面接し採用して松下電工郡山ショウームのアドバイザーとして働かせていた佐藤組合員を2ヶ月後、松下グループもっぱら派遣会社アロービジネスメイツに移籍させました。しかし松下電工ショウルームでの接客業務が派遣可能業務でないため、アロービジネスメイツとの間の労働者派遣契約及びアロービジネスメイツと佐藤組合員間の雇用契約を、当時の派遣可能業務の一つである「事務機器操作の業務」に捏造しました。つまり松下グループは職業安定法第44条が禁止する労働者供給事業を開始したのです。そして2003年になると業務内容が従前と同じであるにもかかわらず「インテリアコーディネイターの業務」に業務名を変更しました。この業務名も実際の業務内容に該当せず、今日まで脱法行為が続行しました。
2.松下電工はショウルームアドバイザーである佐藤組合員を当初から直接雇用しなければならなかったにもかかわらず、今年9月30日、自己の都合だけで派遣元アロービジネスメイツとの労働者派遣契約を解除し、この解除によりアロービジネスメイツが17年8ヶ月松下電工ショウルームで働いた佐藤組合員を雇い止め解雇したのでした。私たちは、日本有数いや世界有数の巨大企業グループの組織的犯罪をけっして許すわけにはいきません。
3.佐藤組合員の主張は、1991年4月の脱法派遣をもって始まった松下電工の意図的な雇用義務違反であるとするものです。裁判所が1991年当初からの松下電工の佐藤組合員に対する雇用義務を認定し雇用関係の確認を宣告するものと私たちは確信します。
4.佐藤組合員をショウルームから追放し生活を奪った翌日10月1日、松下グループはパナソニックグループに商号変更し、「躍進・生まれ変わり」と宣伝して、パナソニック電工の親会社パナソニックは、さっそく三洋を吸収合併して国内第1位の電気メーカーに「大躍進」したのでした。派遣労働者の使い捨てが「大躍進」の原動力であるならば社会的に糾弾されねばなりません。
5.すべてのみなさん。今こそ派遣法のもとで労働者の権利が否定され、長年一生懸命働き続けても簡単に使い捨てられ企業だけがもうかる、社会の貧困というべき現実を打開するため、派遣法廃絶と直接雇用を求めて闘い抜かねばなりません。
今秋の派遣法国会をめぐる闘い、現場で権利確立のために奮闘する派遣労働者、有期雇用労働者の闘いに連帯する意をこめて、私たちが全力でパナソニックグループとの闘いを開始したことを東北の地からお伝えすると同時に、全国の仲間の皆さんにご支援いただきたくお願い申し上げます。
(2008年11月13日)
●原告からのメッセージ
私は約18年間、パナソニック電工のショウルームでアドバイザーとして働いてきましたが、53才になった今失業の身となりました。
ショウルームの仕事は見た目以上にハードで、お昼の休憩もまともには取れず、夜の10時頃まで職場にいることも当たり前のような生活でした。それでも仕事が続けられたのは生活を守りたかったのと、ショウルームの仕事が好きだったからです。仕事に誇りを持っていました。でも「派遣先が無くなったので契約満了です」と言われ、いとも簡単に全てを奪われました。
ABM(アロービジネスメイツ)は私を登録型派遣だと言いましたが、登録して働き始めた覚えはありません。
ABM所属になる前から、私はショウルームで働いていました。
明らかに一時的・臨時的な仕事では無いショウルームアドバイザーの仕事を、なぜ約18年にも渡り「派遣社員」のままで、働き続けなければならなかったのでしょうか?
雇用契約書の業務内容に、なぜ実態とは違う「事務機器操作」や「インテリアコーディネーター」と記載するのでしょうか?
パナソニック電工は、私に「登録型派遣だといつでも切れる」と言いました。
しかし、「派遣社員」も人間です。18年近くも同じ職場の同じ部署でずっと同じ仕事を続けているので、私はこの仕事を定年まで続けるだろうと思っていましたし、生活設計も立てていました。
会社が私によこした「離職票」には、自己都合退職のように書かれていましたが、異議を申し立ててハローワークで更正してもらいました。
私の生活はこれからも続きます。
私はパナソニックのため、一生懸命働いてきました。
私はパナソニック電工に、直接雇用を求めます。
今すぐ私をショウルームに戻してください。
(注/原告は11月17日、弁護団、組合とともに福島県庁にて記者会見した。)
■以上/宮城全労協ニュース第116号(2008年12月19日)

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