労働者派遣法の抜本改正を!
資料/5・14東京集会アピール
労働者派遣法の抜本改正を求める集会が5月14日、東京・日比谷野外音楽堂で開催された。「派遣法抜本改正を求める共同行動」が主催し、4月13日に東京弁護士会館で開かれた集会に続くもの。集会に参加した電通労組の仲間から「集会アピール」が届けられたので参照していただきたい。
労働者派遣法改正案が閣議決定され、昨年秋の臨時国会に上程されてからすでに半年が経過した。この間、製造大企業各社は「雇用調整」を加速し、一気に「派遣切り」の暴挙に出た。多くの派遣労働者が「職と食と住」を奪われる事態が相次ぎ、厚労省が発表した非正規雇用労働者の失職調査によっても、昨年10月から今年6月までに20万人超の労働者が犠牲となっている(4月末)。だが国会審議は進んでいない。舛添大臣は製造業派遣の見直しが必要であると繰り返し、将来的には禁止すべきだと踏み込んだ発言を行ってきた。舛添発言が厳しく問われなければならない。
派遣労働再規制の動きは昨年秋の金融パニック以前からのものであった。政府・与党は小泉−竹中が主導した政策の見直しを迫られてきた。「偽装請負」「違法派遣」「日雇派遣」が大きくクローズアップされるなか、「貧困・格差の拡大」と密接にからんだ派遣労働問題は政策修正・転換を象徴するものとなった。事態の深刻さを衝撃的に突き付けたのは、昨年6月、秋葉原での「無差別殺傷事件」だった。舛添大臣は直後、見直しを言明し、制度が発足してから20年以上を経て初めての見直しを法案化した。
もちろん政府・与党案は「日雇派遣禁止」についても「まやかし」であり、多くの批判がなされてきた。そうであっても、政府・与党案の国会提出は「規制撤廃・市場原理主義」の見直しを要求する時代の流れを意味していた。まして「派遣切り」の現実は政府・与党に待ったなしの対策を迫った。こうして厚労省は「年越し派遣村」の要請を受け入れ、国の施設を開放し、その異例の措置は人々に受け入れられた。にもかかわらず政府・与党は、派遣労働の抜本改正に向かうことをかたくなに拒否し続けている。
経営側はこの間、巻返しをはかってきた。とくに一部の評論家や経営者は露骨な論陣を張っている。「正社員解雇のハードルが高い。だから企業は派遣を雇用調整弁にせざるをえない」「正社員の生涯賃金は企業にとって重荷であり、安価で短期の非正規なら雇う気になれる」「派遣規制は労働者の選択肢を奪う。とくに製造業派遣の禁止は失業を拡大させる」等々、というものだ。また「派遣を禁止しても非正規雇用問題は解決しない」という主張が大メディアに登場しているが、一見まともそうな論説は結果として政府・与党の対応を免罪する役割を果たしている。
加えて「ワークシェアリング」問題を持ち出すことによって、話をそらす論調も多い。「日本型ワークシェアリング」と称されているものは、企業が公費援助を得て、企業にとって必要の枠内で一時的に雇用を継続するというものであり、経営側が雇用維持のために妥協したり犠牲をはらったりするものではないし、非正規雇用の不安定さと差別性を是正しようとするものでもない。
麻生政権が行ってきた雇用対策は一過性の財政投入であり、労働者の権利拡大につながる政策・制度変更には極めて慎重である。それはまさに、日本経団連から政治をまかされている現在の自公政権の役割である。
国会は解散・総選挙のタイミングがからみ、審議の行方を予測することは難しい状況だが、自公政権の「まやかし改正案」と審議先送りを許さぬ野党共同の闘いが焦点になっている。労働運動と市民運動の連携で「労働者派遣法の抜本改正」の実現をかちとろう。
■資料
実現しよう今国会で!
労働者派遣法の抜本改正を求める5・14日比谷集会アピール
昨年の秋以降、顕著に始まった「派遣切り」「期間工切り」などの非正規労働者に対する雇用破壊の嵐は未だ止むことはなく、現在では製造業にとどまらず一般事務、物流などの非製造業にもその被害は広がっている。厚生労働省の発表だけでも、今年6月までに職を失う非正規労働者が20万人を超え、この背後には、もっと多くの労働者が雇用危機にさらされている状況がある。その中でも派遣労働者が最も多く雇用を切られている。
この年末年始に、我々「共同行動」運動に集う労働組合や市民団体が中心となって、派遣切りにあった労働者を支援するために「年越し派遣村」を実施した。派遣村には職と住まいを失った500人を超える労働者、路上生活者が集まった。遠く浜松から歩いて派遣村にたどり着き病院に運ばれた人、何日もまともな食事を取れないで派遣村に来て倒れた人、富士の樹海で自殺を思いとどまり最後の救いを求めて派遣村に来た人など、派遣村は、飢えと寒さで夜も眠れずに街中をさまよっていた人たちで溢れていた。
この派遣村の惨状は決して忘れることができない光景として、これを作り出した者たちへの満腔の怒りとともに、我々の心に深く深く焼き付いている。そして、現在も多くの労働者が職を失い、生活を破壊され続けており、この人たちを支援しようとする「派遣村」の活動が全国に広がっている。
現在の労働者派遣法は、「労働を使い捨て、人間を使い捨てる法律」である。労働は、使用者が市場で自由に調達し切り捨てることのできる商品ではない。昨年からの世界的な不況の中で、真っ先に「派遣切り」に遭い、雇用の調整弁として最も多く解雇・雇い止めになっているのが派遣労働者である。被害が派遣労働者に集中しているということは、正規労働者をはじめその他の労働者の雇用が派遣労働者の犠牲の上に成り立っているということに他ならない。労働者派遣法の抜本改正が早急に必要である。
私たちは、今国会において、派遣法抜本改正の第一弾として以下のような改正を求める。
1.登録型派遣は政令指定業務を除き原則として禁止すること。
2.常用型派遣は原則として期間の定めのない雇用とすること。
3.職安法・派遣法に違反する働かせ方をした場合に派遣先との直接雇用が成立する「みなし雇用規定」を創設すること。
労働は本来人間が人たるに値する生存を保障するものでなければならない。最も重要で効果のある失業と貧困の対策は、セーフティネットを張ることではなく、失業を予防することである。現在横行している違法な解雇・雇い止めと安易な雇用の切捨てをさせないための労働法制を一刻も早く整備することである。
今、私たちは戦後労働運動と市民運動の大きな岐路に立っている。この惨状のまま何もできずに規制緩和と非正規雇用化の奔流に飲み込まれてしまうのか、それとも、この雇用破壊の流れを食い止め、押し返し、我が国の労働政策を変えていくことができるのか。
私たちは、日本の職場で働く全ての労働者、市民と強く連帯して、この不況に立ち向かい違法な雇用の切捨てに断固としてたたかうとともに、この国会から衆議院の解散総選挙、それに続く臨時国会の場において、労働者派遣法の抜本的な改正を成し遂げる決意である。とめどもなく非正規雇用を拡大し、ワーキング・プアを生み出してきた規制緩和政策の流れを変えて、真に労働者・市民のためになる労働法制の立法化を実現していくことを改めてここに宣言する。
2009年5月14日
労働者派遣法の抜本改正を求める共同行動
■以上/宮城全労協ニュース第125号/2009年5月18日
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