宮城全労協ニュース/第132号(電子版)/2009年8月5日

職安に押し寄せる失業者たち/投稿


(注)今年1月、東北地方のある半導体製造工場で働く労働者からの投稿を掲載しました。投稿者から続報が寄せられました。「ハローワークに通うことになった・・」と、ますます悪化する厳しい雇用環境の一端が記されています。また「失業保険の不正受給防止のために」として「積極的求職活動」を求める厚労省令が、職安で失業者を排除している現実も指摘しています。


なお、雇用情勢については後段の記事を参照してください。


<投稿>
『職安に押し寄せる失業者たち』

 2009年の2月から3月は、大変な生産縮小に追い込まれた時期であった。輸出に関わる生産工場の典型的な例として、私の勤めていた半導体工場でも、4直3交代による全週連続フル操業から、3日稼動、4日休日という超短縮操業へと追い込まれた。400人近くいた労働者は請負を中心として100名くらいが削減され、残った300人の労働者も、週休2日・休業2日の体制となり、休業補償は6割しかでないので、トータルで約三日分の賃金を失うという事態になった。そもそも低賃金の請負企業労働者の生活を直撃していると同時に、多くがローンを抱える正規労働者も同様の有様になっている。

 思えば、政府が空前の景気拡大期と宣伝したこの5、6年、もっとも利益を荒稼ぎしたのは、輸出企業に労働者を派遣する請負派遣業界ではなかったのか。今の世の中では、直接賃金を搾取したり、請負代をピンハネしたりするよりも、もっと大規模に儲けることができる。雑誌を通じて知ることだけでも、請負派遣業界の最大手の「クリスタルグループ」から「グッドウィル」の折口社長に株式が売却されるにあたって、数百億円の取引があったと言われている。ライブドアの堀江社長も株式で空前の利益を上げたが、「クリスタル」の社長も同様だ。「グッドウィル」はおそらく「貧乏くじ」を引いたのだろうが、それでも「不労所得」の存在は許せるものではない。

 さて、またハローワークに通うことになったが、ハローワーク職員の許容力をはるかに超える失業者が職業安定所に押し寄せている。先日のことだが、新たに厚生労働省令が出て、「今後求人情報を単に検索することだけでは求職活動と認めない」という宣言が職員によってなされた。雇用保険財政がこのままでは破綻してしまうと思った役人の猛々しい省令だと思うと腹立たしい。なんの資格もない労働者が応募できる求職案件が、そしてしっかりと生活できる案件が、今の世の中、どのくらいあると思っているのだと怒るこの頃だ。

(一読者/09年7月14日)
                            


(注)悪化する雇用情勢

7月末公表の各種政府統計によれば、6月、雇用情勢はさらに悪化した。昨年10月の国際金融パニック以降、完全失業率の急上昇が続いており、過去最悪(5.5%)目前の水準に達した。有効求人倍率は過去最低だった前月をさらに下回った。


●<完全失業率>5.4%
5か月連続悪化、前月より0.2ポイント上昇
・男性は5.7%(前月に比べ0.3ポイント上昇)
・女性は5.0%(前月に比べ0.1ポイント上昇)

総務省(労働力調査)によれば、昨秋以降、製造業での落ち込みが大きい(製造業1051万人のうち91万人が減少)。6月の就業者数は1年前より全体で151万人減少したが、91万人が製造業。

完全失業者のうち、2人以上の世帯における「世帯主」が92万人を占め、昨秋の1.5倍になった。

・年齢別(男女計)の完全失業率(対前年同月比)
15〜24歳 8.7%(+1.7ポイント)
25〜34歳 6.6%(+1.7)
35〜44歳 5.1%(+1.4)
45〜54歳 3.7%(+0.8)
55〜64歳 5.0%(+1.5)
65歳以上  2.7%(+0.3)


●<有効求人倍率>0.43倍
13か月連続低下、2か月連続で過去最悪を更新

<東北地方の状況>(6月の有効求人倍率/全国順位)
青森 0.29/45
岩手 0.32/43
宮城 0.38/33
秋田 0.29/45
山形 0.33/42
福島 0.34/39
(*)最高は香川県で0.66倍、最低は沖縄県で0.28倍。

<東北・新卒者の求人半減>(河北新報7月31日より)
「来年春に卒業を予定している高校生の求人が、東北で激減・・各県の求人数は前年同期に比べて軒並み半減の状況だ。就職試験の解禁は9月16日。各県教委や高校は求人開拓に力を入れるが、企業の採用控えが改善する見通しは立たない・・」

<来春卒業予定の高校生を対象にした6月30日現在の求人状況>
青森 325(前年同期比51.8%)
岩手 398(42.3%)
宮城1116(45.4%)
秋田 399(54.5%)
山形 452(46.7%)
福島 903(44.1%)


●<厚生労働省の失職に関する継続調査>
(昨年10月から今年9月まで。予定を含む)

◎非正規雇用労働者の雇い止め等 22.9万人
(前月調査より2.7%の増加、前回は3.2%)
◎「正社員の離職」 4.1万人
(前月調査より17.2%の増加、前回は32.6%)
ただし「正社員」は「原則、一つの事業所で100人以上が失職する事例の集計」であって、実態をそのまま示すものではない。

◎東北地方の非正規雇用労働者の失職状況
(派遣、契約(期間工等)、請負、その他)
青森 3146人(55事業所)
岩手 4712人(118)
宮城 5150人(148)
秋田 3487人(132)
山形 5666人(118)
福島 7258人(204)


■以上/宮城全労協ニュース第132号/2009年8月5日