宮城全労協ニュース/第139号(電子版)/2009年11月17日

派遣法の抜本改正をせまる!
(10・29日比谷大集会)


●労働弁護団が意見書
●集会レポート(電通労組)
●資料/10.29集会アピール


労働者派遣法の抜本改正を求める「派遣法改正まったなし!日比谷大集会」が10月29日、東京で開催され、宮城全労協も参加しました。電通労組の仲間のレポートと集会決議を掲載します。

厚生労働大臣の諮問を受けて、審議会での議論が始まっています。

厚労大臣は10月7日の諮問で、前政権時代の昨年11月に法案を提出して以降、「派遣労働者をめぐる雇用環境に大きな変化が生じた」ため、「改めて法律案を提出する必要が生じている」と指摘しています(ニュース137号参照)。

10月15日の審議にあたって、清家篤座長(公益委員)は、前政権時代の答申を尊重し、これをベースに議論を進めてほしい旨、発言したということです。これでは、政権交替の意味も、厚労大臣が諮問で示した「変化」への対応もない、と言わざるをえません。


労働弁護団が意見書

労働弁護団は10月28日、「労働者派遣法規制強化反対論に対する意見」を発表しました。意見書では、3党案(現与党の政策合意)への業界サイドの批判に対する反論が展開されています。要点だけ紹介します。


「・・しかし、労働者派遣事業の業界団体のみならず、厚生労働大臣の諮問機関である「今後の労働者派遣制度のあり方についての審議会」(労働政策審議会職業安定分科会)においても、3党案を批判し、派遣法の規制強化に反対する意見が述べられている(以下「反対論」という)。さらに、こうした意見に無批判に同調するマスコミ報道もあり、ミスリードに拍車を掛けている。反対論は、派遣労働者の置かれている現状をことさら無視し、労働者派遣法の規制強化をめぐるこれまでの議論の流れに逆行するものであり、到底容認できるものではない」。


労働弁護団はそのような反対論を、次の4点に集約しています。

◎反対論@「労働者派遣法の規制強化(特に登録型派遣の禁止)は就労機会の喪失につながり、失業をもたらす」。

◎反対論A「派遣法の規制強化(特に製造業派遣の禁止)は、人件費コストの安い海外への企業流出を招き、国際競争力を損なう」。

◎反対論B「派遣労働者が『派遣』という働き方を求めている。特に子育て中の女性は仕事と育児・家事の両立のため、(登録型)派遣がよいと考えている」。

◎反対論C「貧困の問題は社会保障制度の問題である。派遣法の規制強化は貧困の解決につながらない」。


「意見書」では、「雇用の原則は『直接雇用』・『期間の定めなし』」である。労働者派遣制度は、中間搾取の禁止、不安定雇用の防止という労働者保護の観点から職業安定法により罰則付きで禁止されている『労働者供給事業』の例外として、厳格な要件のもとで法認された制度」だという基本的な視点を再確認したうえで、各項目への反論を行なっています。


ここにまとめられている4つの項目は、規制緩和派がこれまで展開してきた中心テーマであり、メディアが多くの場合、無批判のままに追認してきたものです。またこれらの諸点は、労働現場で実際にぶつかる問題でもあります。

全文は労働弁護団のホームページで公開されています。労働弁護団はあわせて、「有期労働契約法制立法提言」も明らかにしています。



集会レポート(電通労組)

まったなし!今こそ派遣法の抜本改正を!
10.29日比谷集会で訴える


10月29日(木)「労働者派遣法抜本改正 まったなし!10.29日比谷集会」が2500人の参加で開かれました。

8月の失業率5.5%は統計を取り始めて戦後最悪(7月の失業率5.7%)の状態が続き、昨年のリーマンショック以来、完全失業者数も連続10ヵ月連続で増加しています。とりわけ派遣労働者や契約社員などの非正規労働者に一層のしわ寄せが行われてきています。このような中で労働者派遣法の抜本改正が緊急に求められています。

集会は最初に鴨桃代全国ユニオン会長からの挨拶で始まりました。厚生労働省の労働政策審議会での論議は深刻な状態にあると報告されました。登録型派遣を禁止すれば資本が工場を海外へ移転する、雇用の機会がなくなるなど使用者側の発言が相次ぎ、公益委員にも同調する動きがある。しかし、雇用の機会を奪っているのは資本であり、連立政権に公約実行を迫っていこうと訴えました。

労働弁護団の棗一郎さんは集会の基調報告として、「労働者派遣法の抜本改正を求める共同行動」の経過と方針を述べました。続いて民主党の吉川さおり参議院議員、社民党の福島みずほ党首、共産党の小池晃参議院議員、国民新党の亀井亜紀子参議院議員からそれぞれ挨拶を受けました。

民主党の吉川議員からは、政権交代の民意をもって、流した汗が報われる社会にしたい。福島党首からは、経済界の巻き返しを許さず、大きな力で抜本改正を実現しよう。小池議員からは、労政審で登録型派遣を禁止するのは職業選択の自由に反する憲法違反との使用者側意見があったが、派遣法成立以前の状態に戻すことが必要で有期雇用契約も原則禁止すべだと、それぞれ訴えました。また集会には公明党の谷合正明参議院議員も駆け付けたと紹介されました。


各界からの挨拶として日本労働弁護団の宮里邦夫会長、ルポライターの鎌田慧さん、NPO法人もやいの湯浅誠事務局長、講談師の神田香織さんから発言がありました。

宮里会長は「派遣労働黒書」で問題を指摘してきた、鎌田さんは時間もお金もなく参加できない派遣の仲間とともに派遣法の抜本改正に向け声を上げよう、湯浅さんは政権交代の意味も踏まえ、派遣法の改正や貧困の是正のために連携を広げていこうなどと訴えました。神田さんは、庶民の声を上げていくのが講談師の仕事だと、「ぽっぽや義士伝」の語りで集会を盛り上げました。

集会も後段に移り、東京東部労組の阪急トラベルサービス支部から旅行添乗員の労働環境の是正と塩田委員長の解雇撤回を求める訴えがありました。資生堂の関連会社で契約社員として働いてきた女性労働者が解雇撤回を求めて訴えました。登録型派遣として働いているグッドウィルユニオンの仲間からは、昨年以降仕事が減って、日給も下がってきて生活できないとの訴えがありました。また集会主催者から松下プラズマ闘争への支援が要請されました。

集会は「労働者派遣法を労働者保護を目的にする法律に変えること、派遣先責任を強化すること、日雇い・登録型派遣の禁止と均等待遇を求めていこう」など、抜本改正をめざす集会宣言を確認、国会までの請願行動・デモに移りました(以上)。



資料/集会アピール

「派遣法改正 まったなし」
10.29日比谷大集会アピール

 我が国の雇用情勢は昨年以降急激に悪化し、依然として派遣切り・雇い止めが止まらない。年末にかけて非正規労働者の失職が加速し、失業率がさらに悪化することも懸念されている。

 こうした中、新政権のもとで、労働者派遣法の抜本改正に向けた論議がはじまった。労働法制の相次ぐ規制緩和がもたらした雇用破壊に歯止めを掛けてほしいという国民の願いが集まっている。

 労働政策審議会の議論の中では、製造業派遣や登録型派遣の原則禁止について、使用者側委員だけでなく、公益委員からも「国内企業の海外展開を促し雇用喪失につながる」とか、派遣で働きたい人の職業選択の自由を侵害する」などという国民の期待に背を向けた消極意見が出されている。

 これらは、労働現場の実情を顧みない意見であり、これまで積み重ねられてきた労働者派遣法改正の議論をなし崩しに白紙撤回させようとするものであって、到底容認できない。

 現行法は、登録型派遣を認め、製造業現場にまで派遣労働を広げた。専門職とは名ばかりの業務を期間制限からはずして恒常的業務に「派遣」として使い続けることを容認した。その一方で、均等待遇も確保せずに賃金差別を放置し、派遣先企業の違法行為に対しては、罰則はおろか直接雇用さえ義務付けていない。

 派遣先企業の買い叩きによって、派遣労働者の賃金は値崩れを起こし、貯蓄もままならず、失職が即路上生活につながるような貧困と絶望を生んだ。派遣先企業は、労働者派遣契約を安易に中途解除し、雇用主であるはずの派遣会社もこれを易々と受け入れて、派遣労働者を切り捨てる。社宅から追い出し、路上生活に追いやっても恥じるところがない。
 職場では、派遣労働者は「外部」の労働者として仲間とみなされず、弱い立場におかれて、いじめ、セクハラ・パワハラは日常茶飯事である。悪質な性的被害も起きているのに
、派遣会社は労働者の訴えに耳を貸さず、派遣先企業に毅然とした態度をとることもない。多くの派遣労働者は泣き寝入りを強制されている。

 派遣労働者の労働災害は、正規労働者よりもはるかに多く発生しており、派遣労働者の生命・身体の安全に対する関心すら希薄だ。

 人を雇うということがこれほどまでに軽視されていいはずがない。

 このような労働者派遣法の構造的欠陥を是正するためには、@労働者派遣法を労働者保護を目的とする法律に変えること、Aみなし雇用規定の創設や違法派遣への罰則導入等の派遣先責任を強化すること、B日雇い派遣の全面禁止と登録型派遣、製造業派遣を原則禁止することは急務であり、さらには、均等待遇の義務付け、現行専門業務の見直し、中間搾取率の上限設定など、より踏み込んだ議論も不可欠である。

 労働者派遣法は、労働者の間に身分を設定して、労働者を分断してきた。働く者の連帯を奪い、労働者の間に差別心を植え付けた。労働者派遣法の抜本改正は、貧困の克服と雇用の安定確保にとどまらず、労働者が真に連帯を取り戻すための重要な試金石であり、働くことの尊厳をすべての労働者が取り戻し、誰もが安心して暮らせる社会を築く第一歩である。

 連立政府は、総選挙で示された国民の強い付託に応え、1日も早い労働者派遣法の抜本改正を実現すべきである。

 本日、日比谷野外音楽堂に結集したわたしたちは、すべての労働者、家族、市民と連帯して、労働者派遣法の抜本改正実現を成し遂げるまで全力を尽くす決意である。


2009年10月29日
労働者派遣法の抜本改正を求める共同行動


■以上/宮城全労協ニュース第139号/2009年11月17日