日米両政府は沖縄の声を受け入れよ!
−県民大会、普天間県内移設を拒否−
沖縄で日米両国政府への抗議が相次いでいる。11月8日の県民大会は改めて普天間飛行場の県内移設を拒否した(*資料1)。
鳩山首相とオバマ大統領は沖縄の声を受け入れるべきだ。両国の新政府は前政権下での辺野古移設合意を白紙に戻し、普天間基地の撤去、在日米軍の整理・縮小、地位協定の見直しに着手すべきだ。普天間の米国領土への撤退を含め、議論を新たにして解決をはかるべきだ。
鳩山首相は「対等な日米関係」「東アジア共同体」といい、オバマ大統領はブッシュ路線から決別し「太平洋重視」だという。ならば沖縄問題を再検討し、新しい両国関係のステップとすべきだ。そのような言葉の裏で、沖縄の犠牲が強要されてはならない。
「作業部会」は「年内決着」のレールを突き進んでいる。岡田外務大臣は「公約違反にはあたらない」と主張し、民主党議員たちの多数は事態の推移を前に沈黙している。両国政府の強行突破に反対しよう!
●「県内移設」を拒否した沖縄県民大会
11月8日、「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」が開催された(*資料1)。
沖縄県議会は2008年7月18日、『名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書・決議』を採択している。県民大会はその実現をあらためて要求した。
「辺野古への新基地建設については、1997年12月の名護市民投票での『反対』の市民意思が示され、その後も今日まで各種世論調査(*資料2)において、県民の7割以上が辺野古をはじめ県内移設に反対を望んでいる」。
「民主党を中心とした鳩山新政権の発足で県民要求を実現させる絶好のチャンスである今、11月12日に予定されている米国オバマ大統領の来日にも符号させ、今一度、辺野古新基地建設と県内移設に反対の県民の意思を日米政府に強く示すため県民大会および政府要請行動を行う」(主催者チラシより)。
しかし日米首脳会談では、普天間基地移設の結論は棚上げされた。米国政府は前政権合意の実行をせまるが、日本政府は迷走状況だ。両国政府は協議の場を専門の作業部会に移した。閣僚級の位置付けがなされ、早期決着への実務的な流れが加速している。
作業部会は複数案を提示し、首相が選択する形式をとるだろう、と言われている。首相は首脳会談後、「合意は前提ではない」「期限を限定しない」と繰り返しながらも「(日米作業部会の結論を)一番重い決断として受け止める」と発言している。
日本外務省と防衛省は「合意」にそった結論のために急ピッチで作業を進めているという。
「辺野古移設を実施する代わりに、現行の日米合意のキャンプ・シュワブ沿岸部への建設計画を沖合修正することに加え、嘉手納飛行場の騒音軽減対策など新たな負担軽減策を追加した防衛省案を同日までに官邸に提出した」(琉球新報11月20日)。
地元から「嘉手納統合案」を拒否された(*資料3)岡田外務大臣は、作業部会の進展にあわせて、「年内に結論」と強調しはじめた。
事態は切迫してきている。外務大臣、防衛大臣と鳩山首相の間でどのような調整がなされているのか、依然として定かではない。首相は閣内統一のためにイニシアチブを発揮してはいない。「最後は自分で判断する」という鳩山首相の真意は明らかにされていない。外交方針の転換を要求してきたメディアの鳩山包囲網も強まっている。
「岡田外相と北沢防衛相は、来年度予算に必要経費を計上する観点から、年内決着の必要性を指摘している。当然であり、首相は担当閣僚の見解を尊重すべきだ」(読売新聞社説18日)。
作業部会は「手続き」であり、岡田大臣らの言動はアリバイ工作ではないのか。日本政府は「日米合意」という結論に向かって時間切れをねらっているのではないか。首相は沖縄の疑念に答えなければならない。
●「公約違反ではない」という欺瞞
「マニフェストでは県外(移設)、国外、普天間という単語は使っていない。約束したというのは事実ではない」。「年内」がタイムリミットだとの流れが強まる中で、岡田外務大臣はふたたび「公約違反ではない」と反論した。
8月衆議院選挙では、沖縄全区で「野党・民主党系」が勝利した。政権マニフェストには「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で望む」(政策集では「・・あり方等についても、引き続き見直しを進めます」)と明記してある。外交政策転換を訴え、とくに沖縄では支持拡大に貢献した。
見え透いた言い訳や居直りを沖縄は認めないだろう。地元紙は外相の「猫の目発言」を糾弾した。
「2005年には(民主党代表として)普天間基地撤去を求める県民大会の壇上に立ち『県外移転実現』を声高く叫んでいた岡田氏。あの時の発言は何だったのか。名護市の関係者らは『これでは詐欺と同じだ』と不信感を募らせている」(*資料4/琉球新報)。
岡田大臣と民主党は沖縄の怒りの意味を真剣に考えるべきだ。政権党となった民主党の政策が問われているのだ。自民党が解決できなかった沖縄問題に、民主党は立ち向かっているのか。民主党は批判に答えなければならない。閣僚たちや民主党議員も、大多数が「沖縄問題」について沈黙している。「政府と党の一元化」によって対応は首相や担当大臣にまかせている、党は参院選対策に専念する。そのような態度は許されない。
●鳩山政権は沖縄の声に応えよ!
「対等な日米関係」と「東アジア共同体」。自民党視点にかわる新しい時代感覚として、鳩山所信表明は好感をもって受けとめられた。内閣支持率は低下してきているが、なお高水準にある。鳩山所信への期待はまだ大きい。
鳩山の「友愛思想」は幻想だとの批判が右派から浴びせられている。友愛思想に政策がともなっていないことは事実だ。だが自民党の旧来政策は支持を失い、政権交代にいたったのだ。
自民党の石破政調会長は鳩山首相の米国への対応を「背信行為」と批判した。石破が心を痛めたのは米国政府の「対日感情の悪化」であり、「沖縄の悲劇」ではない。日米安保の「要石」であることが沖縄の「地勢学的位置」であり、「運命」なのだとする旧来の思考では、事態を打開することはできない。
自民党の沖縄県連は、「普天間の県外移設を要求する立場」に方針を転換する方向で調整に入ったと伝えられている。自民党もまた沖縄から再考を求められている。
鳩山政権の交渉相手は沖縄ではない。オバマ政権である。沖縄の意思は明確である。日本政府はオバマ新政権を説得すべきである。そういう日米関係は不可能だ、ありえないという立場は自民党的であり、旧来的なものだ。政権交代によって新しい関係を築こうとすることは当然である。鳩山政権は、政権交代の意味を沖縄問題で示さなければならない。
鳩山首相は「日米同盟が礎」と付け加えている。「対等な関係」とどのように両立させるのか。その姿を現実に示さなければならない。いまは「友愛」という言葉が飛びかっているだけだ。沖縄問題に旧来の枠内でしか対応できないのであれば、鳩山外交の「新機軸」は浮かび上がってこない。
日米両国政府は旧合意を白紙に戻せ!
両政府は沖縄の声を受け入れよ!
●資料1/11.8県民大会決議文
私たちは、辺野古への新基地建設と県内移設に反対するために、本日ここに県民大会を開催し、老いも若きも世代を超えて結集しました。
沖縄県は、先の大戦で地上戦の戦場とされ、戦後は米軍の銃剣とブルドーザーによって、豊かな県土が奪われ、米軍の占領下に置かれました。復帰後37年が経過しましたが、今なお、国土面積のわずか0.6%にすぎない小さな島に全国の米軍専用施設の75%が集中しています。米軍基地は県土の10.2%、本島の18.4%を占め、米軍犯罪や墜落事故などによって県民生活が脅かされ、経済発展にも大きな影響を与えています。
米軍基地の整理・縮小・撤去は県民の願いです。1995年には、10.21県民大会を開催し県民の意思を内外に発信しました。1997年12月の名護市民投票でも、新基地建設に反対する市民意思が明確に示されました。昨年7月には、県議会で、辺野古への新基地建設反対が決議されました。各種の世論調査でも、県民の圧倒的多数が新基地建設反対です。普天間飛行場の辺野古への移設、新基地建設を米軍再編で合意し、それを強行してきた旧政権から、民主党中心の新政権に代わった今、あらためて、県民の新基地建設ノーの意思を明確に伝えるものです。
辺野古海域は、沖縄県が自然環境保全に関する指針で評価ランクIに指定している県民の宝の海です。国の天然記念物であるジュゴンをはじめ希少生物をはぐくみ、新たなアオサンゴの群落が発見されるなど、世界にも類を見ない生物多様性の豊かな海域です。この間強行されてきた環境アセスに対する、県環境影響評価審査会の答申も実質「書き直し」を提起しました。辺野古への新基地建設は、貴重な自然環境を守る上でも許せるものではありません。
ところが、10月に来日したゲーツ米国防長官は、鳩山首相、北沢防衛大臣と相次いで会談し、恫喝とも思えるやり方で、辺野古への新基地建設を迫っています。オバマ米大統領との日米会談に向けて、新政権は、米側の圧力に屈せず、対等な日米交渉で、県民の声を堂々と主張すべきです。
私たち沖縄県民は、全国の温かい支援にも支えられながら、この13年間、辺野古への新基地建設の杭1本打たせませんでした。世界一危険な普天間基地は1日も早く閉鎖し返還すべきです。私たちは、138万県民が、安心して暮らせる平和で安全な沖縄にするため、声を大にして主張します。小さな島・沖縄にこれ以上の基地はいりません。辺野古への新基地建設と県内移設に反対します! 以上決議します。
<大会スローガン>
1・日米両政府も認めた「世界で最も危険な普天間基地」の即時閉鎖・返還を求める。
2・返還後の跡地利用を促進するため、国の責任で、環境浄化、経済対策などを求める。
3・返還に伴う、地権者補償、基地従業員の雇用確保を国の責任で行うよう求める。
4・日米地位協定の抜本的改定を求める。
2009年11月8日
辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会
●資料2/琉球新報と毎日新聞の合同世論調査
琉球新報と毎日新聞社による、沖縄県民を対象とした米軍・安全保障問題に関する合同世論調査(10月31日、11月1日実施)の主な結果(単位は%)。
◎普天間飛行場の名護市辺野古沿岸への移設について
賛成19.6/反対67.0/その他13.4
◎普天間飛行場について鳩山首相はどうすべきか
県外か国外への移設を目指し米国と交渉すべきだ 69.7
県内で別の移設先を探すべきだ 6.7
辺野古に移設する現在の計画を認めるべきだ 4.6
知事の求める辺野古沿岸案の沖合移動を実現させるべきだ 13.4
その他 5.6
◎日米地位協定について
現状のままでよい 9.2
運用改善で対応すべきだ 13.5
新たな条項を追加すべきだ 10.8
抜本的に見直すべきだ 57.9
その他 8.6
◎米軍の日本駐留を定めた日米安全保障条約について
維持すべきだ 16.7
平和友好条約に改めるべきだ 42.0
破棄すべきだ 10.5
米国を含む他国間安保条約に改めるべきだ 15.5
その他 15.4
◎県や政府に取り組んでほしい沖縄の課題
米軍基地の整理・縮小 17.6
景気対策や経済新興 39.6
年金・福祉など社会保障の充実 32.7
文化や教育の新興 7.0
その他 3.1
◎普天間飛行場の嘉手納統合案について
反対 71.8
賛成 14.8
その他 13.4
琉球新報はこの結果を受けて、「沖縄の民意/県内移設『ノー』が鮮明だ」と主張した(11月3日)。「人権を踏みにじる現実」を列記した上で琉球新報は、「冷戦終結20年の変化」を見据え、鳩山首相に「英断」を迫った。
「民主党中心の鳩山政権の対応は鈍い。選挙戦で県外移設を掲げながら、政権奪取後は正面から検討せず、県内に押し込める方策に知恵をめぐらす印象だ。それは有権者への背信行為ではないのか」「繰り返すが、民意は県外・国外移設だ。野党多数の県議会は昨年、それまでの政府案に反対する決議をしたし、今夏の衆院選では沖縄の4選挙区すべてで政府案反対の候補が当選した」「冷戦終結から20年。米海兵隊が沖縄に大挙して居座る理由は薄れた。米側がこだわる日米合意も『消費期限切れ』だろう」。
この調査は国会でも取り上げられた。鳩山首相はこれが沖縄県民の意思であるという主旨の答弁を行っている。
●資料3/11.7嘉手納町民大会決議
(要旨・琉球新報速報11月7日による)
嘉手納基地への「統合案」に言及した岡田克也外相の発言は、町域の約83%を嘉手納基地として接収され、日夜激しい米軍機の爆音禍で生活環境が破壊されている町民に新たな犠牲を強いるものであり、断じて容認できない。PAC3の強行配備、昼夜の即応訓練、F22Aラプターなど度重なる外来機の訓練激化に伴う爆音の増大など、米軍再編ロードマップに掲げられた沖縄の基地負担の軽減とは程遠く、ますます基地機能は強化されている。
嘉手納統合案は、13年前に町民や基地周辺自治体の猛反発にあい、選択肢から消えていた。再びこの案を持ち出すことは町民の心を踏みにじり、新たな基地負担と犠牲を強いるもので断じて許されない。われわれは岡田外相の発言に厳しく抗議し、発言の撤回を求め、自らの生命、安全、財産および平穏な生活を守る立場から米軍普天間飛行場の嘉手納統合案に断固反対する。
2009年11月7日
米軍普天間飛行場の嘉手納統合案に反対する町民大会
●岡田発言への批判(琉球新報11月20日)
<「県外移転で気持ち一つに」05年当時/
岡田外相、あの言葉は今いずこ>
・・05年5月15日に宜野湾市内で開かれた「普天間基地撤去、基地の県内移設に反対する県民大会」。約7500人が詰め掛けた大会で当時、民主党代表の岡田氏は「普天間の県外移転で気持ちを一つにしよう」と訴えた。同大会では、辺野古移設を断念し、嘉手納基地や伊江島補助飛行場などへの統合・移設計画撤回も要求として決議した。
大会翌日の16日、那覇市内での記者会見で「普天間移設問題は沖縄、日本にとって極めて重要。党利党略、政党のスローガンにしてはいけない。県民の立場で県外移転を実現していかなければならない」と述べ、岡田氏はその後も「県外・国外移転」を積極的に訴え続けていた。
今年6月、党幹事長として月刊誌「世界」7月号のインタビューに答え「われわれが本当に普天間の現状が問題だというなら、どこかで引き受ける覚悟も必要。最初から県外移設の可能性を排除しているから、県内での移転という話になり、基地の固定化が変わらない」と県内移設を批判した。
だが衆院選で大勝し、外相就任が決まると、発言は一転。(以下略)
■以上/宮城全労協ニュース第140号/2009年11月21日

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