宮城全労協ニュース/第142号(電子版)/2009年12月6日

(注)政府の「事業仕分け」が「漢方薬への保険適用除外」としたことに対して、患者とその家族たちから抗議の声があがりました。「仕分け人」たちは実態を何も知らないのではないか。「漢方」への無知、無理解ではないのか。小泉時代のように規制緩和による弱者切り捨てではないか。

日本東洋医学会など4団体による反対署名(資料1)が呼びかけられ、ネット上で、あるいはダウンロードされ、短期間の間に広がってきました。

宮城全労協の各組合、そして日中労働者交流協会・宮城は、反対署名の趣旨に賛同して取り組んでいます。地域で署名運動を進めてきた仲間からの投稿を掲載します。

なお「社団法人 日本東洋医学会」など関連サイトをぜひ参照してください。



漢方薬に保険が適用されなくなる?
「事業仕分け」に反対の署名運動広がる!


(投稿/元郵政労働者M)


行政刷新会議の「事業仕分け」がマスコミを騒がせたが、そのなかに「湿布薬、うがい薬と共に医療用漢方薬を健康保険の対象外とすべきだ」との意見が出され、見直しの方向が決定されたことは業界専門紙を除き、ほとんど報道されなかった。

このとき配布された財務省作成の「論点ペーパー」には、「湿布薬、うがい薬、漢方薬などは薬局で市販されており、医師が処方する必要性が乏しい」と記載されていた。

 言うまでもなく、その狙いは医療費の圧縮である。

 「湿布薬、うがい薬、漢方薬には医師の処方がいらないものが市販されている。これらの『類似薬』は保険の適用外とする」というのが政府の考えなのだ。
 
 これまでも何回か「漢方薬の保険はずし」が出ては反対運動で消えることが繰り返されている。日本東洋医学会が1993年には24万人、1994年には148万の署名を集め、当時の厚生省に提出した経過がある(資料3)。

 今回の「事業仕分け」に対しては、日本東洋医学会など4団体が共同の反対署名を呼びかけた。「医師だけの問題ではなく、広く医療、患者、市民という視点での署名」(日本東洋医学会会長/12月4日)という呼びかけは、一部のマスコミしか報道しなかったにもかかわらず広がりを見せ、第一次集約で約27万余という署名を集めた。
 
 署名の第一次分は12月1日、厚生大臣あてに提出された(資料2)。

 総署名数  273,636名の内訳は、
 ◎書面署名 191,000名、
 ◎電子署名  82,636名、だった。


 一方、このような「事業仕分け」の動向はドラッグストア業界から熱い視線を浴びている。

 最大手のマツモトキヨシは11月13日の決算会見で、行政刷新会議が「湿布薬や漢方薬などを公的医療保険の適用外にすべき」という方向性をしめしたことについて「支持する」と述べ、さらに「高齢化社会で医療費が膨張していくことを考えると、公的予算で補うべき薬剤は絞り込まざるを得ない」とも発言し、医療費削減の動きの本質を言い当てている。

 マツモトキヨシの社長は「われわれドラッグストアが予防、未病、軽度治療を担っていく」と強調したという。ドラックストア協会も同様に「支持する」という見解だ。「医療保険制度を守る」という立場だが、規制緩和によるビジネスチャンスへの期待があることは明らかだろう。


 長妻厚労相は「漢方の適用除外には反対」というニュアンスの発言をしているが、最終決定は厚労省だけで決められるわけでなく、財務相などは「予算編成で刷新会議の決定を最大限尊重する」と発言している。

 今回の署名活動も今月中旬といわれている予算編成をにらんで、その前に締め切りを設定し、「国民の声を短期間で集約するための非常手段」(4日の東洋医学会会長呼びかけ)と訴えている。

 12月7日までを期限としているが、「多少の延長も考えている」ということなので、多くの皆さんのご協力をおねがいします。


 署名は日本東洋医学会のホームページからダウンロードあるいは電子署名してください。また声明などをコピーあるいは転送して、知人や仲間たちに広く知らせてください。



(資料1)4団体による署名要請文

「これからも漢方が健康保険で使えるように」

 去る11月11日(水)の行政刷新会議の事業仕分け作業で、医療用漢方製剤(漢方エキス製剤・煎じ薬)を健康保険から除外する、という案が出されました。

 現在、医師の7割以上が漢方薬を使用して、国民の健康に寄与してきました。また、全国の医学部・医科大学でも医学教育の中に漢方教育が取り入れられ、日本東洋医学会で専門医教育も行われ、専門家育成も進んでいます。

 わが国が迎えている少子高齢社会の中で、われわれ国民の健康を守るためになくてはならない漢方薬・煎じ薬が健康保険で使えなくなることに、断固反対をします。

平成21年11月20日

社団法人日本東洋医学会 会長 寺澤捷年
日本臨床漢方医会 理事長 石川友章
NPO健康医療開発機構  理事長 武藤徹一郎
医療志民の会 事務局長 木戸寛孝



(資料2
「第一回陳情・署名簿提出のご報告」が2009年12月1日に更新されアップされています。反対署名27万人分を厚労省へ提出した後、厚生労働省記者クラブで4団体による会見がありました。以下、引用します。


「記者会見時の謝辞内容要約です。

○先ほど、漢方薬の保険適用継続について、厚生大臣宛の陳情書並びに署名簿を提出して参りました。
○署名にご協力くださった、患者さま、ご家族、そして一般市民の方々に心から感謝申し上げます。
○本署名は漢方を服薬されている患者様、ご家族、そして幅広い世代の一般市民の方々、そして医療者の共同活動であり、草の根からの医療行政参加が可能となったという点で、革命的です。
○FAX署名では、混み合ったFAXに対して根気よく送信して頂いた賛同者の方々に、心からお礼申し上げます。
○また、電子署名では、ネット世代の方が大きな関心を持ち、Twitter、SNS、掲示板などでご賛同いただきました。様々な情報が錯綜する中、インターネット・携帯電話でご署名下さった皆様の善意に深く御礼申し上げます。
○また、タイムリーで適正な報道を頂きましたメディアの方々に心から感謝申し上げます。」



(資料3)「社団法人 日本東洋医学会」の声明などを参照してください。

○「医師から治療手段を奪う暴挙は許せない−漢方製剤の保険外し−」

○「署名活動への参加御礼と更なるご署名のお願い(平成21年12月4日)」
1.歴史的経緯
2.財務省ペーパーの重要性
3.厚生労働省の姿勢
4.政府の一括決定の危険性
5.医療現場に定着した漢方治療
6.署名運動の更なる展開
7.今回の提言に強く反対する理由


■以上/宮城全労協ニュース第142号(2009年12月6日)