宮城全労協ニュース/第148号(電子版)/2010年1月25日

名護市長選挙、市政交代が実現!


<速報>

名護市長選挙(1月24日投開票)は普天間基地の辺野古移設に反対した稲嶺候補が、自民党・公明党の支援する現職市長を破って当選した。

投票結果は、17,950対16,362、投票率は76.96%(前回74.98%)だった。

「1997年の名護市民投票、その後の各種世論調査で県内移設に反対が多数を占めたが、98年以降の県知事選、同市長選で容認派が連勝した。今回の選挙で民意のねじれ状態が解消されたことになる」(沖縄タイムス社説/25日)。

この結果は、半年前の衆議院・沖縄全区で自公候補が敗北した国政での判断に継いで、「沖縄の心」を改めて突きつけた。鳩山首相はこれを受け入れ、「公約」を守り、普天間基地の返還と新しい基地を沖縄に作らせないよう米国に迫るべきだ。

 一部大メディアは、この結果を否定的に報道した。

「それでも辺野古移設が最善だ」(読売新聞社説25日の見出し)
「名護市長選挙で深まった普天間の混迷」(同じく日経新聞)

「沖縄の心」とはあまりにも大きな落差がそこにある。


(参考)
「「県外」探しを加速せよ」(朝日新聞)
「辺野古反対の民意重い」(毎日新聞)


「もう終わりにしよう

「当選した稲嶺進氏は有権者にそう訴えてきた。日米関係に刺さるとげといわれ、14年も迷走した米軍普天間飛行場の県内移転計画は事実上、消滅した」。

「単に基地容認、反対の対決ではなかった。・・政府が支出する基地関連予算に基づく地域振興か、あるいは基地依存構造からの脱却を目指すかどうかの選択だったといえる」。「市民の判断は「アメとムチ」の構造を終わらせることだった。これは日米安保体制を支えてきた「補償型基地行政」の破綻を意味する」

「名護市長選は今後、「日米安保=基地提供=沖縄」という戦後日本の安保政策を終わらせるきっかけになるかもしれない」「日米安保改定50周年の節目の年に、大きな地殻変動が起きようとしている」(沖縄タイムス社説25日/「翻弄の14年」に終止符)。


「選挙前の15日、鳩山首相は今回の名護市長選の結果は移設先の検討に「まったく無縁ではない」と語っている。仮に、条件付きながら移設受け入れを表明していた現職の島袋吉和氏が当選していたら、鳩山首相は「辺野古」を選択していた可能性を否定できない」。

「・・・だが、名護市長選の結果が示した民意は「辺野古ノー」の明確な意思だ。「よもや」ということはなかろうが、示された民意を重く受け止め、早急に「県外」の意思をしっかりと表明をすべきだ」(琉球新報社説25日「民意は『辺野古』ノー・『脱基地』の北部振興元年に」)


沖縄の地元紙は、歴史的な政策転換への期待・要求と同時に、直面する厳しさも指摘している。

「(住民投票結果が無視された)背景には、米軍基地建設の受け入れと地域振興策をリンクさせ、市政を揺さぶる自公政権の「アメとムチ」の利益誘導型政治、貧困な安保政策と地域政策があった」「・・・だが、基地受け入れとリンクする地域振興策は、地域の自立につながる自主財源の増加や失業率の減少、財政負担の軽減というポジティブな結果には、必ずしもつながっていない」「・・・稲嶺氏には、むしろこれからが本当の戦いが始まる」(琉球新報)

「多くの市民が景気対策を新市長に望んでいる。いばらの道ではあるが、基地に頼らない自立策が課題となる」(沖縄タイムス)。


両国の新政府は沖縄に応えよ!

沖縄は再度、意思を表明した。バトンは再び、日米政府の側に投げられた。

米国側は現行案を求める方針に変わりはないという。その上で、日本をことさら追いつめるべきでないとか、結論がさらに先送りになる場合に備えるべきだとの見解が「知日派」にあることも日本のメディアで紹介されている。

自民党は、米国のガマンも限界だ、日米同盟の危機だと鳩山政権を糾弾している。米国民主党のオバマは「ブッシュの戦争」の誤りと敗北を批判して大統領となった。日本では自民党長期政権が転落した。両国での連続した政権交代をきっかけにして、東アジアと太平洋地域でどのような安全保障を模索するのか。自民党には新しい時代への視点がない。

「沖縄にだけ負担を押し付ける(安保政策の)矛盾を振興策で取り繕う仕組み」はもう終わったのだ、と沖縄は主張している。沖縄にどのように応えるのか。生活と生命をかけた沖縄の要求は、両国での政権交代の歴史的な意義を問うている。


名護市長選挙結果への鳩山政権の反応は微妙なものだった。首相は「市民の一つの民意の表れだ」というあいまいな表現を使い、「ゼロベースで国が責任を持って5月末までに結論を出すということだ」と繰り返した。「ゼロベース」を引用して、平野官房長官や北沢防衛大臣は、辺野古も選択肢、現行案を排除しないと予防線を張った。

鳩山首相は投票前、結果を「斟酌する」と態度表明した。与党検討委員会の責任者である平野はあえて同じ表現を持ち出して、「斟酌しなければならないということではない」と述べた。政権内には選挙の敗北を期待していたむきもあった、辺野古に持っていくための説得材料にしたかったからだ、などと報じられてもいる。

首相はこの数ヶ月、沖縄の思い、日米政府合意の重さ、政権の連立枠組みの3つが、普天間問題を解くにあたっての判断材料だと述べてきた。現行案や県内移設に反対する沖縄の思いは政権交代以降、様々な形で、繰り返し示されてきた。今回の選挙結果はその中でも重いものだ。


辺野古案撤回、普天間返還、新しい基地を沖縄に作らせないために闘おう。



(注)この間の世論調査について。

鳩山首相が年内結論を先送りしたことについて、各種世論調査では「先送り」を評価しないとの意見が多数を占めた。一部のメディアはそのことをもって「首相の指導力のなさ」を強調し、政権批判の材料とした。しかし、世論調査では同時に、旧政権合意の見直し(県外・国外移設)も多数を占めている。

世論調査の結果をいくつか取り上げてみよう(単位はパーセント。設問文は簡略し、分からない・無回答は省略)。


<共同通信(河北新報12月27日付)>

●政府は普天間飛行場の移設問題について、年内決着させず結論を先送りした。この対応についてどう思うか。
 評価する 8.2/ある程度評価する 20.0
 あまり評価しない 33.2/評価しない 34.7

●普天間移設について、どうすべきだと考えるか
 日米合意に沿って移設 31.1
 日米合意を見直して沖縄県以外の国内で探すべき 18.3
 日米合意を見直して日本国外へ移設すべき 41.0

*民主党支持層の「先送り」を評価しない、あまり評価しないは合計で54.5。自公支持層では75.1、80.6。
*民主党支持層では、移設先の見直しは68.0(国外46.3、県外21.7)、現行計画支持は22.8
*同じく自民党支持層でも、国外・県外は47.0、現行計画が47.6


<毎日新聞12月19〜20日調査>

◎首相の結論先送りを評価するか。
 評価する 42/評価しない 51

◎首相はどう対応すべきか
 県外か国外への移設をめざし米国と交渉すべき 51
 県内で別の移設先を探すべき 15
 辺野古に移設する現在の計画を認めるべき 25

*「県外・国外と答えた人の39%が先送りを『評価しない』としており、態度を明確にしない首相の指導力不足への不満をうかがわせる」(毎日12月21日)。


<読売新聞12月18〜19日調査>

「年内決着断念の政府対応を「評価しない」は51%で、日米関係に「マイナスの影響を与える」も68%に上った。結論先送りへの不満と日米関係悪化の懸念が支持率続落を招いたようだ」。

「普天間飛行場の移設先については「国外に移す」35%、同県名護市とする「日米合意通りにする」34%、「県外に移す」14%だった」。(読売新聞12月20日)


なお、2001年1月8〜10日実施の読売新聞社世論調査では、「日米合意通りにする」44%、「国外に移す」30%、「県外に移す」13%(同1月11日)。


■以上/宮城全労協ニュース第148号(2001年1月24日)