東北全労協は3月1日、10春闘にあたって東北各県知事への要請書を送付しました。回答をまって、4月、自治体への申し入れを行います。
10春闘要請書の内容は以下の通りです。
<雇用と福祉等に関する自治体への要請>
東北全労協
2010年3月1日
東北各県の取り組みに敬意を表しつつ、10春闘にあたって以下の諸点について見解を問い、施策の具体化を要請します。
昨年春、東北全労協は「雇用と生活のための東北キャラバン」を実施し、自治体等への申し入れを行ってきました。
各自治体は世界的な金融破綻と経済危機の中で緊急雇用対策本部等を設置し、国の財政支援も受けながら、自治体直接雇用、新規学卒者支援など雇用対策に取り組んできました。
そのような努力にもかかわらず、東北地方では全国的にも厳しい雇用環境が続いています。国への働きかけと自治体独自の取り組みの双方において、雇用確保と社会保障充実への一層の施策を要請するとともに、とくに以下の点について要請します。
なお、3月31日まで文書にて回答をいただくよう要請します。
(1)学卒予定者の雇用確保のために集中的な対策を求めます。
高校生、大学生など学卒者予定者の雇用危機が広がっています。
文部科学省による高校卒業予定者の最新調査では、就職希望者の25%、4万5千人が内定なしのまま絶望的な日々を送っています。東北各県の就職内定率は最悪の水準です。(12月末日時点で、青森8.6、岩手5.7、宮城12.2、秋田7.1、山形6.6、福島13.0。数値はいずれも前年同月比でマイナス)
学卒者の職の確保は国、自治体、および企業の責務です。一層の取り組みを求めます。
(2)自治体雇用の拡大、及び本格的に働く場所を作る施策を求めます。
国は「緊急雇用創出事業」の臨時的な予算を組み、各自治体はそれらを財源に組み込んで緊急雇用対策に取り組んできました。しかし、雇用危機の長期化が予測されており、本格的な雇用対策が自治体にとって早急に取り組むべき課題です。
1.「ふるさと雇用再生特別交付金」では、「地域内でのニーズ」「今後の地域の発展に資する」など、地域密着型の雇用創出が目的とされています。雇用創出の具体的内容を明らかにして下さい。
2.この間の自治体雇用は短期間の補助的、臨時的職務が中心です。本格的な自治体雇用の早急な拡大を求めます。
3.自治体が各種優遇措置で誘致した企業が「派遣切り」など雇用破壊を行ってきました。地域密着・地域発信型の雇用こそ重要です。「地産地消」や「非営利・社会的企業」などの活動が地域振興の核となる可能性が高まっています。自治体がどのように関わり支援するのか、明らかにして下さい。
(3)福祉・社会保障の抜本的な取り組み強化を求めます。
雇用破壊と生活破壊が急激に進むなかで、この国の「セーフティネット」が極めて貧弱であり、格差・貧困化の拡大に対応できていないことが明白となりました。国も自治体もいっそうの改善が必要であることは言を待ちませんが、特に以下の点について要請します。
1.政府の中心的な政策の一つとして「子ども手当」があり、自治体にとっても大きな関心事であると考えます。どのような意見をお持ちか明らかにしてください。
2.保育所待機児童ならびに特養ホーム待機高齢者をゼロに、という切実な声に応える施策を求めます。
3.11年連続して「3万人を超える自殺者」を生み出しています。政府は対策100日プラン等を打ち出していますが、貴自治体の対策を明らかにして下さい。
4.昨年末「官製派遣村」が国の施策として実施されました。「自治体は消極的だった」との報道がなされています。以下、質問ならびに要請します。
@貴自治体の取り組み状況の概要をご説明ください。
A実際にどのような問題や矛盾に直面したのか明らかにして下さい。
B雇用とセーティネットや生活保護に関わる「ワンストップ行政」(国と自治体等の窓口一本化)が必要だと考えますが、貴自治体の具体的な施策を求めます。
(4)公契約の推進および「自治体ワーキングプア」の解消を求めます。
労働者生活の最低限の維持と改善にとって、最低賃金の大幅な引き上げが必要です。あわせて、自治体が直接関与すべき以下の点について要請します。
1.ILO条約94号に則り「公契約」の締結を求めます。
経費削減を名目とした自治体の業務委託や「入札競争」が広がってきました。結果として発注価格等が切り下げられることにより、地元の下請け企業や労働者が苦境にあえいできました。経費削減が安全性の低下につながっていると、たとえば仙台市泉区のスポーツ施設の事例を典型として問題となってきた経緯があります。
「公契約」において、適正な価格での落札や契約を求め、労働者の賃金破壊を防ぐことは、国際労働機構ILO94号条約で採択されていますが、日本は批准していません。批准を求め、あるいはその趣旨に則った公契約を進めようとする動きが拡大しています。09年には千葉県野田市で「公契約条例」が制定され、「低入札価格」が下請事業者や労働者へしわ寄せされることのないようなあり方への一歩となりました。
貴自治体においても、ILO条約に則り、「公契約」の条例を作るように要請します。
2.大企業の下請け単価切り下げの防止について
トヨタが数ヶ月前、下請け単価を3割削減すると発表し、大きな問題になりました。地元経済・社会に犠牲を負わせる大企業の横暴に歯止めをかける必要があります。自治体は率先して社会的なキャンペーンを立ち上げると同時に、そのような大企業に対して歯止め策を講ずることを要請します。
3.「自治体ワーキングプア」の解消について
国の「自治体改革」方針によって人員削減、総人件費抑制が進められてきました。その結果、全国の自治体で臨時・非常勤労働者は60万人を超え、また500万人にも及ぶ民間労働者が地域公共サービスに従事しているといわれています。
格差や「働く貧困層」が政権交代をうながすほどの社会問題となっているにもかかわらず、自治体みずから不安定・低賃金雇用を拡大させ、「官製ワーキングプア」と称される大量の労働者を生み出してきました。私たちはこうしたことは認められません。解消に向けた貴自治体の対策を要請します。

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