宮城全労協ニュース/第156号(電子版)/2010年5月8日

東北キャラバン、各県に要請


●資料/東北各県への要請



4月14日青森県と青森労働局からスタートした東北全労協のキャラバンは、4月21日の福島労働局、22日の福島県で日程を終えた。


2010年春闘は、政権交代後はじめての春闘だった。

3月の大民間労使交渉には非正規労働者から厳しい批判がなされた。社会的な関心事であり、新政権発足への期待もあったが、非正規労働者の待遇改善が大労使間の交渉対象にさえならなかったからだ。

1年前、当時の民主党ら3野党は格差是正を主張し、政府に共同対案を突きつけていた。選挙対策の側面もあったが、当時の自公政権に対して攻勢をとっていた。

ところが鳩山首相は年始冒頭、賃上げの状況にはないと発言した。首相は明確な政策メッセージを投げかけたわけではないし、「解説者的な立場」で発言したつもりかもしれない。しかし、2010年春闘に冷水を浴びせるものであり、これには「連合」からも疑問の声があがったほどだ。

首相に日本経団連との関係構築をめざす意図があったとしても、不適切であり、「軽すぎる」発言だった。これは鳩山政権と民主党への批判が深まり始めていた時期と重なるが、閣内からも民主党からも事態を深刻に受けとめる気配はなかった。


いっぽう鳩山政権に対して、労働組合が影響力を行使しているとの批判がなされてきた。このような批判は正当ではない。問題は、労働組合が政治や政策にどのような役割を果たしたかということだ。

(小泉政権下では労働組合は政策決定の場から外された。経済財政諮問会議と規制改革会議はもとより、各種審議会等から労働組合の主張が取り除かれ、そのような政権体制のもとで新自由主義政策が実施されていった。)

民主党政権と連合の2010年春闘は、社会的な影響を発揮することなく、とくに非正規雇用労働者や「働く貧困層」から失望を買い、新政権への支持や期待がしぼんでいく一因となった。

東北キャラバンは、そのような2010年春闘のなかで実施された。09キャラバンに続き、各県で交流もなされた。キャラバンを迎え入れた県、労働局との議論では真剣なやりとりがなされた。課題も多く残されており、今後の取り組みにつなげていこう。



なお各県に対しては、事前申し入れに加えて、次の4点についても要請を行った。

○「普天間基地の早期閉鎖・返還を求める沖縄との連帯」
○「グループホームなど小規模介護施設の安全対策を求める要請」
○「子宮頸がんワクチンを全額公費負担とする要請」
○「「高校授業料無料化」を朝鮮学校に早期適用させる要請」


(普天間基地に関する要請は前号に掲載)




資料/各県知事への要請(東北全労協)


<グループホームなど小規模介護施設の安全対策を求める要請書>

 3月13日夜、札幌市にあるグループホーム「みらい とんでん」で火災が発生し、入所者7人が死亡しました。長崎、群馬など惨事のたびに法改正や規制がなされてきました。もはや待ったなしの安全対策が国と自治体に問われています。

 同ホームにはスクリンプラーと自動火災報知機は設置されておらず、また当直の夜勤職員は1人でした。問題はこれらが「法令違反」ではないことです。

 自動火災報知・通報装置の設置義務は、12年3月末までは猶予されています。またスプリンクラー設置は、小規模施設は法的義務の対象外です。厚生労働省による緊急調査では、グループホームの49%でスプリンクラーが設置されていませんでした。

 職員1人のみでは緊急事態に対応できないことを、あらためて直視する必要があります。夜勤職員の増員のために、国と自治体は積極的な支援を行うべきです。

 また厚生労働省は「地域との連携」を施設に義務づけています(06年省令)が、実態はどうでしょうか。「とんでん」では避難訓練は実施されていないといいます。

「安心して入居でき、安心して働ける」。そのような介護施設は社会的な要請です。悲劇を繰り返さないために、前倒し実施を含めた法的な規制と、施設の安全強化対策への公的な支援・補助は不可欠です。

 貴県の格段の取り組みを求め、とくに以下の点を要請します。


1.防・耐火対策、特にスクリンプラーと自動火災報知・通報機の早期設置を支援すること。

2.夜勤職員の増員を自治体も支援すること。

3.緊急時における周辺住民との協力関係を築くよう対策を講ずること。

(東北全労協/2010年4月)




<子宮頸がんワクチンを全額公費負担とするよう要請します>

 最近の20年間に子宮がんでの死亡数、死亡率とも増加していますが、その要因として若年層の子宮頸がんの増加があげられています。わが国では毎年約15000人が発症し、約3500人が死亡しています。とりわけ20・30代の女性に急増しており、若い女性の妊娠・出産の可能性を脅かし、命すら奪うがんです。

 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発症することが突き止められています。HPVはイボをつくるウイルスで、ごくありふれたもので、皮膚と皮膚との接触で感染し、性交によって膣内に入ります。HPVは約100種類ほど確認されており、その内15種類が子宮頸がんに関係しています。ほとんどの女性が一度は感染するといわれ(80%)、多くの場合免疫によって自然にウイルスは消えますが、およそ10%の人が継続感染し、一部が子宮頸がんへ移行しています。

 現在子宮頸がん予防ワクチンは世界100ヶ国以上で接種されており、日本でも昨年10月に承認されました。ワクチンはHPVウイルスの内16・18型に関しては100%の予防効果があります。長期的な効果も確認されており、性交渉を経験する前の11歳から14歳に接種することで高い効果が期待できます。しかし6ヶ月の間に3回の接種が必要で、費用はおよそ5万円前後と非常に高価です。欧米を中心とする多くの国では、がんの予防政策として、12歳前後の女児に子宮頸がんの予防ワクチン接種に公費助成が行われています。日本では自治体に対応が任されており、取り組みは様々です。

 貴自治体における積極的な対応を要請します。

(東北全労協/2010年4月)




<「高校授業料無料化」を朝鮮学校に早期適用させるよう要請します>

 高校授業料を「実質無料化」とする法案は3月31日、可決成立しましたが、国は「朝鮮学校への適用判断」を「第三者機関」にゆだね、除外したまま4月1日から施行しました。

 審議では「フリースクール」が対象外となっているなど、問題や課題が多く指摘されてきました。そのため付則で「施行3年後に必要な見直しを行う」と明記された経緯があります。格差を助長する差別的な扱いについては、早急な改善が求められます。

 私たちは以下の理由から、実際の業務窓口となる地方自治体が、朝鮮学校への早期適用を求めるよう国に対して働きかけることを要請します。

1.「(高等学校等の)教育に係る経済的負担の軽減」により「教育の機会均等に寄与する」ことがこの法律案の理由でした。一部閣僚等の思惑によって立法趣旨がねじ曲げられてはなりません。首相も外相も、外交問題とからめないと答弁しています。

2.「日本の高校に類する課程であれば支援すべき」と鳩山首相は発言しています。新聞報道など多くの場で具体的に指摘されているように、教育課程の情報は公開されており、ほとんどの大学は卒業生に入学資格を認めているなど、朝鮮学校の教育課程を問題にして除外措置を講ずる理由はありません。また民族教育は権利として認められています。

3.懸念と批判が内外で広がっています。教育の権利を保障するための無償化政策が、人権侵害、朝鮮学校への差別の助長と排除を正当化するために政治的に利用されているからです。除外措置は「人種差別撤廃条約」「国際人権規約」「子どもの権利条約」に反しています。

4.鳩山首相は人間を大切にする、「友愛」の精神をもって政治にあたると強調し、高い支持を得て新政権を出発させました。今回の措置と対応は政権がかかげた理念に反するものです。
                         
(東北全労協/2010年4月)


■宮城全労協ニュース弟156号(2010年5月8日)