首相の「辺野古回帰」を糾弾する!
鳩山首相は23日、沖縄を再訪し、「米軍普天間飛行場の代替地は名護市辺野古の付近にお願いせざるを得ない」と県知事らに表明した。
「辺野古の海が埋め立てられることは、自然に対する冒涜」。現行案を受け入れるという話があってはならないと発言してわずか一ヶ月後の「辺野古回帰」だった。首相は詳細を明らかにしなかったが、事実上、旧政権合意への舞い戻りだ。
仲井真知事は首相との公式会談で「大変に遺憾、きわめて厳しい」と答えた。その後の北部12首長との意見交換の場で、各市町村長は県内移設を容認できる状況にはないと発言。名護市の稲嶺市長は「市民、県民の思いを裏切ることであり、極めて残念で怒りを禁じえない」と批判、「名護市に新たな基地はいらない」と明言した。
首相は「沖縄の負担と危険性の除去」を前進させていくことを強調したが「(辺野古移設と)負担軽減のパッケージ」は受け入れられなかった。
首相の再訪を沖縄は「怒」で迎えた。県議会議員は議会棟前で座り込んだ。市民団体等が県庁周辺で抗議行動を展開した。
地元紙は次のように述べている。
「沖縄の心をもてあそんだ為政者を信頼できるだろうか」「地元の訴えに耳を傾けない鳩山内閣のやり方は前政権よりもたちが悪い」。「『なぜ沖縄に』の問いに答えることもなく、『やはり辺野古で』と言い出す鳩山首相にはあきれるばかりだ」。
「日米両政府が大筋合意した結果だけを地元に放り投げるのが民主党のやり方ならば、いっそのこと政権公約に掲げた『地域主権』を重要政策から降ろすべきだ。それとも沖縄は別枠、とでも言うのか」。
(「『辺野古回帰』怒 怒 怒・・・」沖縄タイムス社説5月24日)
同社説は、国内論議が本質論よりも政局論になっていて「異様な雰囲気に包まれている」と指摘し、改めて「抑止力」論を批判した。
「海兵隊を知るほどに県外・国外移転の可能性が見えてくるはずだ」「どこも反対だから−という国内事情を抑止論で覆い隠す手口にはもううんざりだ」。
「政権交代はこの国にとって歴史的転換であるはずだ。外交・安保も新たなアプローチがあるだろうと期待を寄せていた。それが裏切られ『怒』が高まる沖縄で米軍基地はこれまで以上に脆弱化することを政府は認識すべきだ」。
琉球新報は社説で、首相の「三つの軽さ」を指摘した。
「(首相は)県民から『うそつき』と批判される『言葉の軽さ』」。
「『政治』主導や外交方針に関する『信念の軽さ』」。
「民主主義や人権への『認識の軽さ』」。
「この期に及んでもなお『民意』を踏みにじるのか。県内移設の押し付けに対し『沖縄差別』と感じる県民が増えている。首相は、県民の“マグマ”が爆発寸前であることに十分留意すべきだ」。
「清算のない辺野古案の追求は、『日米同盟』への反発を高めるだけで、愚策以外の何ものでもない。首相は今からでも国外移設や撤去で対米交渉をやり直すべきだ。県民、国民は民意に立脚した『対等な日米関係』こそ求めている」。
(「辺野古移設表明/実現性ゼロの愚策撤回を 撤去で対米交渉やり直せ」琉球新報社説5月24日)
首相は5月4日、初めての沖縄訪問に際して、「学べば学ぶにつけ、(海兵隊が)連携し、抑止力が維持できるという思いに至った」と記者団からの質問に答え、「(衆議院選挙の)当時は海兵隊が必ずしも抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった」と弁明した。
首相は今回、知事らに抑止論を説いた。「東アジアの安全保障環境に不確実性が残る中、在日米軍全体の抑止力を低下させてはならないことは、一国の首相として、安全保障上の観点から申し上げなければならない」「普天間の海兵隊ヘリ部隊を他の海兵隊部隊から切り離し、国外・県外に移設すると、海兵隊の持つ機能を大幅に損なってしまう」。
首相は結局、「海兵隊=抑止力」「沖縄の地政学的位置」という自民党政権の沖縄政策に舞い戻った。首相は舞い戻りを合理化するために、韓国の哨戒艦沈没事件を持ち出した。「朝鮮半島情勢」を時々の右傾バネに利用した自民党政権の手法を、民主党政権もまた採用した。
首相は、日米同盟の堅持を確認しつつ、「米軍の常時駐留なき日米安保」や「東アジア共同体」「友愛の海」などと発言し、政権交代に新しい息吹を吹き込んだ。しかし政権党となった民主党は、「理想と現実」の狭間を政治的に埋める努力を放棄し、旧政権合意の復活で逃げ切ろうとしている。
「県民に大変な混乱を招いたことをお詫びする」。首相は「できる限り県外との言葉を守れなかった」と付け加えた。自分の本意ではない、「鳩山包囲網」のせいだ、と言いたかったのだろうか。しかし、普天間問題の新しい出発は「できる限り」ではなく、「最低でも県外」という自分自身の発言だったはずだ。このような言い換えは姑息と言わざるをえない。
ツケは参議院選挙での民主党の敗北となってはねかえっていくだろう。まさに自業自得である。
首相が言い続けた「5月決着」は最終局面にある。27日には首相が要請した全国知事会が開催される。社民党は「辺野古案反対」を表明しており、政府方針の文言はまだ確定していないと報じられている。北沢防衛大臣は24日、日米共同声明の最終確認のため、ワシントンに向かった。
9月12日を中心とする沖縄の統一地方選挙、11月予定の県知事選挙もからみ、「切り崩し工作」など様々な動きも報じられている。政府関係者と旧政権合意計画にこだわる地元の利権関係者らが頻繁に接触しているという。県知事の「揺れ」に注目する向きもある。たとえば読売新聞は23日の知事の発言について、「(県内移設への)『反対』明言せず」と解説している(24日)。
鳩山首相の「辺野古回帰」を糾弾する!
米軍普天間飛行場の閉鎖・返還を!
■以上/宮城全労協ニュース157号(2010年5月24日)

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