宮城全労協ニュース/第159号(電子版)/2010年7月4日

NTT企業年金減額訴訟で「上告棄却」
〜闘いが作り出した勝利!

NTT構造改革に痛打!
                       

 最高裁は6月20日、NTTの「年金減額不承認処分取り消し請求」について「上告棄却」「上告審として受理しない」との決定を行い、NTTの敗訴が確定した。

 この決定は「企業が経営上の必要性から年金の減額を行う」ことを許さないとともに、「受給権者の保護」のため「国の役割・関与」の必要性を確認するものであり、NTTが主張してきた「企業の自主性」「労使合意」に対する法的制約を明確にした。

 NTT構造改革は、ありもしない「NTTの赤字転落」の危機を叫び、中高年齢労働者5万6千名を退職再雇用に追い込んできた。同時に14万人の年金受給者、受給権者の企業年金についても、このままでは膨大な積立金不足の中で「年金制度が潰れる」として年金減額を打ち出した。

 当時、NTT労組定期全国大会(03年7月)は年金制度見直しを決定したが、「退職再雇用制度導入時における既受給者、措置者などの拡大など考えれば、当然、責任準備金不足は事前に想定できたはずだ」という意見が代議員から出された。執行部は「・・退職再雇用制度導入時、積立金不足となる状況は把握していた・・」と答えている。

 その意味するところは、NTT構造改革攻撃により8万人にも及ぶ「退職者」を生み出し、それによって意図的に「積立金不足」を作り出し、企業年金制度を改悪して「企業負担を軽減」し、労働者福祉を後退させる意思が経営協議会のなかでの合意としてあったということだ。



NTTの敗北は経営者全体の敗北である!

 「(経営者の)力の及ぶ範囲の中で構造改革を実現する」。当時のNTT社長は構造改革攻撃をそのように述べている。その最大のものは「成熟部門の労働者のコスト削減」であり、「50歳雇用選択」の導入による労働条件の破壊だった。

 同時に、企業年金受給者に対する攻撃も周到に準備され、OB管理者組織である「電友会」、電電公社時代から続く「退職者の会」等々の役員によって「同意取り付け」の戸別訪問などが陰湿に展開された。

 このようなNTT労使の動きは、経団連をはじめとする経営者達の全面的な支持のもとに行われてきた。

 現在、確定給付企業年金を運用している企業は8千社ほどあるが、景気後退、運用利回りの低下の中で給付減額を目論む企業が増えている。企業年金制度には税制優遇措置が図られている。しかし、運用益が縮小すれば、不足した積立金を企業が拠出して準備金を適正な額にしなければならない。

 NTTは、現役世代の企業年金制度を「確定給付型」からキャッシュ・バランス・プラン導入による規約型年金制度に変え、同時に年金受給者の給付額減額を行おうとした。NTTの主張は、受給者の3分の2の合意という「手続き」さえ取れば「減額」は可能であり、労使合意に対する国の関与は「労使自治」の原則に対する不当な介入である、というものだ。

 しかし、退職金の一部を企業年金化して将来にわたって「約束した給付」を「多数決によって決めて良い」などという主張は無謀としかいいようがない。

 退職金は「賃金の後払い」であり、年金化した原資は個々人の「財産」であり、少なくとも同意しない人の「財産権」を「侵害するか否か」を多数決によって決めることなどできるはずがない。

 しかも「NTTの赤字転落の危機」は全く存在してこなかったばかりか、世界一の企業の称号まで戴く企業となった。NTTグループは「減収」「増益」を繰り返し、巨大な利益を蓄積してきた。労働者には「減収」を意識させて雇用の流動化と徹底したコスト削減を強要する一方、「増益」によって役員報酬を引き上げ、株主配当を膨れ上がらせてきた。

 今回の勝利判決は、こうしたNTTをはじめとする経営者の手法に対して「受給権者の保護」と「国の関与」を明確にした。

 この裁判に当事者として参加してきた8百名の訴訟参加者、怒る年金受給者・受給権者、構造改革攻撃に反対してきた労働者・労働組合の勝利である。



「構造改革」をうち砕く更なる闘いを!

 企業年金減額攻撃は、NTTの構造改革攻撃の大きな柱であった。これが成功するか否かを固唾をのんで見守っていた経団連を始めとする経営者は、NTTの敗北後、「より明確な年金減額のためのガイドライを作れ」と主張している。NTT労使の「密接な労使一体関係」をもってしても「成功」しなかったことに対する資本の苛立ちが表れている。

 私たちは「NTTの企業年金改悪に同意しない会」を組織し、訴訟に参加してきた。

 全国的には「NTT企業年金減額反対訴訟参加団」を「同意しない会」「NTT企業年金改悪に反対する会」「電通労組全国協議会」「NTT関連労働組合協議会」の4団体で組織し、83名の訴訟参加団で反対運動を展開してきた。

 全労連・通信労組の訴訟参加団を含めると8百名の年金受給者が当事者として、NTTが国を訴えた裁判に訴訟参加したのである。

 NTTリストラは、労働者分断を推し進めながら階層化、低賃金構造を作り出している。NTT本体、各県のアウトソーシング会社、その子会社、協力会社、パートナー・・・。多重化された組織構造のなかで現場に近いほど非正規雇用労働者が拡大し、全体を見渡すと経団連が「新時代の日本的経営」の要として策した雇用構造がくっきりと表れてくる。

 私達は今回の年金減額反対闘争の共同の闘い、取り組みをより一層強化発展させ、新自由主義路線のもとで繰りだされるNTT構造改革の数々の攻撃を具体的に打ち砕いていきたい。


 最後に、この構造改革・年金減額の攻撃に心底から怒り、同意しない会のメンバーとして訴訟参加した電通労組初代委員長である故菅野征二さんに勝利の報告を捧げます。きっと、にっこり笑って勝利の美酒に酔いしれることでしょう。

(電通労組・高橋記)


■以上/宮城全労協ニュース第159号(2010年7月4日)