宮城全労協ニュース/第163号(電子版)/2010年8月26日

厚労省への政策要求(全労協)



 全労協は7月、2010年度の政府に対する政策要求をもって文部科学省と厚生労働省との交渉を行いました。

 以下、厚生労働省に対する2010年度政策要求を転載します。討論に活用して下さい。





<厚生労働省への2010年度要請書>

(前文略)


(1)雇用保険制度、社会保険制度の拡充・整備について


1.雇用保険を下記のように改正すること。

@加入適用基準・・・日々雇用、短時間労働者、派遣労働者、外国人労働者など、全ての労働者が加入できるものとすること。(強制保険とすること)
 また、週20時間未満就労者にあっても希望者は加入を可能とすること。

A給付待機期間・・・離職理由による待機期間の給付制限を廃止すること。

B失業給付受給要件・・・加入期間30日以上の加入者を対象とすること。

C給付日数・期間・・・現行の給付日数最長330日を3年に延長すること。

D定年退職により、再雇用を拒否された場合は、失業給付受給資格を「倒産・解雇等による離職者」と同様なものとして取り扱うこと。

E育児休業給付金・介護休業給付金の支給要件を緩和し、支給額を直前月額賃金の60%まで引き上げること。


2.職業訓練について

@新卒無就業者にも公共職業訓練並びに教育訓練給付の受給資格を与えること。

A公共職業訓練の対象職種を拡充し、就業をより確実なものとすること。

B公共職業訓練を希望している者には基本手当の支給を訓練開始前の待機中並びに、訓練終了後も就業できるまで延長すること。


3.社会保険について

加入条件について、日々雇用、短時間労働者、派遣労働者、外国人労働者など全ての労働者が加入できるものとすること。また、内監規定を撤廃すること。


4.雇用主には全ての労働者を雇用保険、並びに社会保険へ加入させるよう、強力に指導すること。特に、派遣会社・請負会社には指導を徹底すること。



(2)失業・雇用対策について

1.高年齢者雇用安定法による高齢者雇用の義務化を徹底し、定年延長、再雇用制度の実効性を確保し、希望する者全てを雇用するよう指導を強めること。また、合理的理由のない賃金・労働条件の引き下げを禁止すること。
 また、脱法企業には企業名の公表など、処分を行い、指導を強化すること。


2.「失業・雇用確保」対策として、早急に下記施策を実現すること。

@国並びに自治体等は雇用創出のために公共失業対策事業を緊急に実施すること。

A雇用促進住宅等を活用し、全ての失業者に住宅を確保すること。

B生活保護の要件を緩和し、申請者には速やかに保護を実施すること。

Cワンストップサービスを実効性あるように、縦割り行政を廃止、スムーズな生活保護行政にすること。


3.外国人研修生・実習生、外国人労働者について

@研修生・技能実習生の人権、労働権、職業選択の自由を保障するために現行制度の抜本的見直しを行うこと。

A外国人労働者、外国人研修生・技能実習生の労働環境(賃金、労働時間、休日、労働・社会保険加入状況、住環境、労災被災状況)を詳細に調査公表し、労働法規遵守を徹底指導すると共に、均等待遇実現に必要な施策を行うこと。

B外国籍労働者の在留資格、在留期限などの報告届出義務を廃止すること。


4.経済団体に対し、雇用の維持・確保を強力に指導すること。また新規求人に際しては合理的理由のない有期雇用を禁止し、正社員(期間の定めのない)として雇用をすることを強力に働きかけること。



(3)労働法制に関すること


1.労働者派遣法を以下の諸点を改正し、速やかに派遣労働者の保護を計ること。

@派遣先企業の使用者責任について以下義務づけること。
1)団交応諾義務。
2)労働安全配慮義務。
3)派遣期間満了に際しては正規雇用(期間の定めのない)へ採用すること。

A日雇い派遣、登録型派遣等を完全に禁止し、特別規定を廃止すること。
(「常用雇用」の定義を期限の定めのない雇用と規定すること)

B「26業務」の抜本的見直しを行うこと。

C法の成立後速やかに施行すること。

D労働者派遣法の厳格な運用を行い、偽装請負・違法派遣には罰則を取り入れ、取り締まりを強化すること。


2.偽装請負の摘発を強めること。また本年3月31に発した「『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準』(37号告示)に関する疑義応答集」(いわゆるQ&A)は偽装請負を覆い隠すことになり、直ちに撤回すること。


3.労働時間規制の緩和を行わないこと。

@「事業場外みなし労働」の対象業務について、昭和63年基発1号を厳格に適用し、運営すること。

A「管理監督者」について、労基法第41条第2号を厳密に適用すること。平成20年基監発0401001号を厳守すること。
 また「名ばかり管理職」の摘発を強め、悪質な使用者に対しては直ちに、送検する等、厳格に対処すること。

B自律的労働時間制度(ホワイトカラーイグゼンプション)を導入しないこと。


4.「改正」労働基準法について

@改正労働基準法による時間外労働にかかわる法定割増率について、中小企業労働者への差別・除外規定を直ちに撤廃すること。

A時間外労働の法定割増率を一律50%とし、深夜、休日労働の割増率を100%とすること。

B長時間労働を防止するため、時間外労働の上限を月20時間、年間150時間として設定すること。

C過労疾病並びに精神的罹患を予防するため自動車運転業務などの長時間勤務者には、特別検診の実施等を義務づけ、罹災防止を義務づけること。



(4)賃金について

@最賃法を改正し、最低賃金の確定にあたっては、「労働者が健康的で文化的な生活ができる」(憲法25条)生計費を基準とし決定し、事業主の支払い能力要件を削除すること。

A最賃審議会に中小零細企業労働者、非正規労働者の声を反映させるシステムを作ること。また、全ての審議を公開し、傍聴・意見聴取を十全に行うこと。

BILO110号条約(同一価値労働同一賃金)、同111号条約(差別待遇禁止)を徹底し、同一価値労働に従事する労働者にあっては正規職と非正規職(雇用形態による差別)、性別、都市と地方、国籍による賃金差別を法律によって禁止すること。

CILO94号条約を早期に批准し、「公契約法」を制定すること。
 公契約を締結するにあたっては、その事業に従事する労働者が健康で文化的な生活ができる賃金の確保を受注企業に義務づける法律を制定すること。



(5)その他

@労働政策審議会等の労働行政にかかわる労働者代表については、様々な立場の現場労働者の声が真に反映できるものにし、民主的に選出すること。

A現代版「姥捨て山」である、後期高齢者医療制度を直ちに廃止すること。

Bいわゆる「消えた年金記録」の確認にあたっては、申告者の申し立てを中心にして、速やかに対処すること。

C女性労働者に対する全ての間接差別の禁止を明文化すること。

Dハローワーク事業を充実させ、民間職業紹介事業の拡大を行わないこと。

E労働基準監督官を増員し、労働基準法違反の監視、指導を強化すること。


以上。



■以上/宮城全労協ニュース163号(2010年8月26日)