JALの不当解雇を許すな!
〜支援共闘会議が発足
日本航空インターナショナルは12月31日、165人(客室乗務員84人、運航乗務員81人)の「整理解雇」を強行した。整理解雇要件も満たしておらず、選別・排除の不当解雇である。
解雇された労働者や所属労働組合、支援者たちは31日、「大みそかのクビ切り」に対して抗議の声をあげた。東京での情宣活動は全国ニュースでも報道された。
同日、日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)は「大晦日に強行した日本航空『165人の整理解雇』を糾弾し、撤回まで断固闘う」と声明を発表した。
日本航空は12月9日、パイロット94人と客室乗務員108人に対して12月31日の解雇を通告していた。20日、「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」の結成が呼びかけられ、27日には結成総会が開催された。
国民支援共闘会議の呼びかけは、「整理解雇の4要件」に照らしても認められない不当解雇であること、日本航空再建のあり方として「安全性」と「公共性」が求められていること、そして米国の圧力の下で歪められた航空行政、過大な需要予測に基づく空港建設を問い直し、市場原理主義の航空政策を改めさせることを強調している。
支援共闘には全労協も呼びかけ団体の一員として参加している。
日本航空と政府に対して、解雇撤回を求めよう!
1年前、企業年金減額の攻撃が加えられた。<高すぎる企業年金>がJAL再建を妨げているという主張がマスコミにあふれた。経営破綻の責任を労働者に負わせようとするキャンペーンを背景にして「人員削減」が進められてきた。しかし12月時点で、すでに「希望退職」は計画を上回っていた。
一部の新聞は「整理解雇はやむをえない」(日経新聞社説11月21日)「公的資金が投じられる・・重みを考えれば、一部労組の主張は国民の理解を得られないのではないか」(読売新聞社説11月19日)などと解雇推進の主張を行ってきた。
企業再生支援機構は、労働組合がスト権確立なら3500億円の出資はしないと、事実上、整理解雇を支援要件とする恫喝を繰り返してきた。
このような動きに対して、労働組合のみならず、法曹界からも解雇権の濫用だと異議が表明されてきた。企業が法的再建手続の過程にあっても、整理解雇については整理解雇の4要件が厳格に適用されなければならないことは「判例上確定している」。
その間、政府と民主党は、労使交渉をもって事態を打開せよとの声に応えることはなかった。企業再生支援機構担当の海江田大臣は年末、労働組合などの申し入れに対して、個別労使への言及はしないと述べた。ILOの調停についても「調べてみる」との返答にとどまった。JAL問題の政治責任はどこにあるのか。政府と与党に当事者としての責任感覚があるのか。
日本航空の「経営危機」は歴代自民党政権の下で深まってきたことであるが、その「再建」は誕生したばかりの民主党政権にとって懸案の一つとなった。
政府の責任者は前原国土交通大臣(当時)だった。鳩山政府は京セラと第二電電の創業者である稲盛和夫に会長就任を要請した。稲盛は民主党を支援する数少ない大企業経営者として著名であり、鳩山内閣の特別顧問に任命されたほどだ。
JAL新会長就任にあたって稲盛は「企業は人である」と強調した。その言葉はどこにいったのか。
不当解雇の撤回を求めて、原告団の結成など裁判闘争の準備が進められている。以下、いくつかの資料を掲載するので、この間の経過を含めて、闘いに活用していただきたい。
●日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)声明
「個人の尊厳」なくして「安全運航の確立と真の再建」は果たせない
12月31日、大晦日に強行した日本航空「165 人の整理解雇」を糾弾し、撤回まで断固闘う
日本航空は、2010年12月31日(大晦日)に客室乗務員84人、運航乗務員81人、総数165人の「整理解雇」を強行しました。「真摯に誠実に協議する」との発言を繰り返しながら、12月31日の最終団体交渉においても、片山管財人・大西社長は12月31日の「整理解雇」方針を撤回することなく、むしろ「整理解雇」ありきの姿勢を崩しませんでした。
私たち日本航空キャビンクルーユニオン(以下CCU)は、不当・不法・横暴かつ理不尽な「整理解雇」の蛮行を絶対に許すことはできません。
2010年1月19日に経営破綻し、会社更生法適用を受けた日本航空は、8月31日に東京地方裁判所に『更生計画案』を提出し、11月30日に承認されました。この『更生計画案』の中の人員削減策はJALグループ全体で約16000人となっています。
この削減計画に沿って、全社で希望退職の措置が取られてきました。9月から実施された客室乗務員の応募者数は、最終締め切りとなった12月9日時点で、会社の設定した目標数662人を大きく上回る762人に達していました。目標数を上回っているにも関わらず、会社が一方的に設定した「整理解雇」の人選基準案をもとに、12月9日付けで、客室乗務員108人・運航乗務員94人、総数202人に対し「整理解雇」の予告通知を宣告しました。
その後、202人だけを対象とする希望退職措置が12月27日まで継続され、内24人は、この間希望退職に応募した多くの乗務員同様に、不本意な退職においやられました。結果、最後まで希望退職に応じなかった84人の客室乗務員と81人の運航乗務員に対する「整理解雇」が12月31日に確定されたのです。
私たちCCUは、9 月以降、会社の人員削減計画数の根拠、人選基準案の不当性等を指摘し、また、「整理解雇」を回避すべく、希望退職対象年齢の撤廃、ワークシェア、一時帰休、リフレッシュ休職(無給)等を提案してきましたが、会社は事態解決を目指す組合からの提案に対して、検討さえしませんでした。
加えて、会社は「整理解雇」の対象者とした客室乗務員にフライトを入れず、全て自宅待機のスケジュールとし、「隔離部屋」同然の取り扱いで職場との接点を絶ち、3 ヶ月にわたって退職強要を続けました。
また、「整理解雇撤回」を目指すための争議権投票にも、企業再生支援機構の担当者と法律家である管財人自らが介入するという違法行為を繰り返してきました。会社が提示した「整理解雇」の人選基準案は、会社のために働き体を壊した病欠者や、53歳以上のベテランの乗務員を対象とするなど、極めて不当、恣意的なものであり、現在に至るまで日本航空内のすべての労働組合が合意していないものです。「整理解雇4要件」も満たさず「165人の整理解雇」が正当化されるなら、「経営が厳しい」「事業計画を修正する」との口実で、日本全国の労働者が「解雇」の危険にさらされることになります。
この間、労働組合の所属を問わず、その対象とされた客室乗務員は力を合わせて互いに励ましあい、希望退職の締め切りの期日を乗り越えてきました。その回数は6回に及びます。そして、残った84人の客室乗務員が12月31日大晦日に解雇されることになったのです。
「必ず職場に戻る」「再建のために貢献したい」は皆の共通の思いでした。私たちは、連日の羽田空港ビラ、有楽町マリオン前ビラ、東京地裁前ビラ、本社前抗議行動、記者会見、多数の取材、参議院会館院内集会、国土交通省・厚生労働省・内閣府要請、各政党要請、国会傍聴、ILO・ITFなどの国際機関への要請、他団体への要請、集会での訴え、署名活動など出来る限りの取り組みを実施してきました。
そして、12月27日には、『JAL解雇撤回国民共闘』が、全労連、全労協、婦人団体などの呼びかけで発足しました。組織的運動体として日本全国に広がる力強い活動が既に展開されています。12月中旬から始まった「整理解雇撤回を求める署名」も短期間で25000筆を超える数が集まっています。こうした航空内外の支援を受け、不当・不法・横暴かつ理不尽な日本航空の「整理解雇撤回」を求める法廷闘争を決意した客室乗務員は66人、運航乗務員は64人に達しています。2011年1 月の提訴に向け、総勢130人以上の原告団が結成されます。
「個人の尊厳」なくして「安全運航の確立と真の再建」は果たせません。CCUは12月31日(大晦日)に165人の整理解雇を強行し、利益第一主義の再建計画に固執する企業再生支援機構・管財人・経営陣に強く抗議し、猛省を求めます。
私たちCCUは、解雇撤回を早期に実現させるためにも『JAL解雇撤回国民共闘』とより一層連帯し、国民・利用者の皆さまのご理解とご支援を訴える活動を強化し、全員の職場復帰を求めて提訴を決意した原告団とともに勝利まで全力で闘うことを表明します。
2010年12月31日
日本航空キャビンクルーユニオン
*CCUのホームページには多くの資料が掲載されています。
●日本労働弁護団幹事長声明(2010年11月29日)
「日本航空の整理解雇に対する緊急声明」
1 日本航空インターナショナル(以下、「日本航空」という)他2社は、本年1月19日をもって会社更生手続開始申立てを行い、同日開始決定を受けた。そして、8月31日には管財人により更生計画案が東京地方裁判所に提出された。更生計画案は、労働者の雇用について、グループ全体の従業員の48,714人の約3分の1に当たる従業員を削減し、2010年度末までに約32,600名体制とすることを明記している。
この間の報道によれば、日本航空は、3次にわたる希望退職募集を行ったが人員削減目標に達しなかったとして、運航乗務員110名、客室乗務員90名、休職者50名の合計250名の整理解雇に踏み切ることを経営会議において決定し、本年11月15日には正式に労働組合に整理解雇の人選基準(案)の提示を行った。日本航空は、希望退職募集を継続するとしつつ、目標未達の場合には整理解雇を実施することを明らかにしている。
2 日本航空が会社更生手続開始決定を受けたことを理由に、あたかも人員削減が当然であり、整理解雇は有効となるかのような見解が流布されている。しかしながら、企業が法的な再建手続を開始したとしても、整理解雇法理は引き続き適用されるものである。会社更生手続開始決定がなされたからといって、整理解雇の4要件が緩和されたり、無視されたりしてはならない。このことは判例上も明確に認められている。
(中略・判例)
3 このように企業が法的再建手続の過程にあっても、整理解雇については整理解雇の4要件(要素)が厳格に適用されなければならないことは判例上確定しており、本件においても、これら4要件(要素)が具備されているか、厳格に判断されなければならない。
特に、報道によれば、本年10月22日の第2次希望退職募集の締め切り時点で、合計1520名の希望退職への応募があり、当初日本航空本体の削減目標としてきた1500名を超過達成していることに照らして、人員削減の必要性には疑問があり、より慎重な判断が求められる。また、整理解雇に踏み切る前に、一時帰休やワークシェアリングなど、解雇を回避する手法が存在しないかも十分に検討されなければならない。
4 日本航空は、今なお我が国における中核的航空会社であり、今後も航空事業を継続することが更生計画の前提となっている。日本航空が今後とも公共交通機関としての使命を果たしていくためには運航の安全を確保することが絶対の条件であることは言うまでもない。この整理解雇による人員削減が、運航の安全に影響を与えないかを慎重に吟味するべきである。
5 日本航空の再生にむけては企業と労働者が合意し一致して取り組んでいくことが不可欠であり、日本航空はこの観点で労働者・労働組合と真摯に協議を行っていくことを強く求めるものである。
*全文は「日本労働弁護団」のトピックス欄まで。
*また11月29日にはCCUのスト権確立に関して、「企業再生支援機構によるJALの労働組合への支配介入に抗議する」との声明もだされている。同じくトピックス欄にて。
●稲盛和夫新会長就任の記者会見より
(2010年2月1日)
・・なぜなら、その企業に集う社員一人一人が、心から会社を愛し、この会社の発展のために協力を惜しまない、というような社風をつくりあげることが経営を成功させる必須条件であり、そのような社風を作り上げることができれば、必ず会社は発展していくものであると思うからであります。
つまり、企業のもっとも大切な財産とは、そこに集う社員であり、さらに言えばその社員の心だと思うからです。社員の方々が心から再建を望み、心から協力するならば、その企業は発展し続けることができると私は固く信じております。
そのように考えておりますだけに、今後はできるだけ現場をまわって、一人一人の社員とも対面し、膝を接し、彼らが何を思い、何を感じ、何を考えているかを直接に聞き、また私の思いもお伝えし、彼らがさらにJALグループで働きたい、再建に協力したいと思うような、企業風土を築いていきたいと考えております。
■以上/宮城全労協ニュース172号(2011年1月4日)

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