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深刻さを増す被災地の雇用情勢
東北の雇用情勢が大幅に悪化している。
5月末に発表された厚生労働省などの調査結果は、とくに被災3県で深刻な事態が進んでいることを示した。
総務省による4月の完全失業率(5月31日発表)は4.7%、前月比0.1ポイント上昇、6カ月ぶりに悪化した。この数値には被災3県は含まれていない。3県はいまだ調査が実施できない状況にある。3県を除く完全失業者は292万人で、前月から2万人増加した。
各地の公共職業安定所には、連日、前年比数倍の労働者が長い列を作って並んでいる。とくに沿岸部では事務手続きは大幅に遅れている。政府や自治体による人的支援態勢はまったく不十分だ。
各自治体は臨時雇用を実施している。しかし臨時職員採用の雇用期間は半年程度。あくまで「つなぎ雇用」であり、生活設計のしようもない。
(たとえば仙台市は4月22日、失業被災者1,330人の雇用対策方針を示した。市は震災による離職者をその時点で2千人としている。震災関連の業務委託(撤去作業、被災宅地調査など)で1,050人。委託業者が市と契約した後、ハローワークなどで求人票を出す。雇用期間は半年から11か月の予定。罹災証明の発行や各種手当の事務補助などで、ハローワークを通じて募集。半年雇用、1回限りで半年以内の更新が可能。)
緊急雇用対策も限定的なものにとどまっている。「ミスマッチ」も克服されていない。全国のハローワークに新たに寄せられた新規求人数は、前月のマイナスからプラスに転じ、5.8%増加した。建設・運搬が中心の「復興需要」による。
だが被災県の雇用情勢を好転させるにはいたっていない。被災者向け求人は全国で4万2千人(5月27日時点)。その9割の3万8千人が被災3県の外での募集であり、求人業種も限定的だからだ。
また内閣府の地域経済動向(5月)によれば、全国11地域のうち北陸と四国を除く9地域が下方修正された。なかでも東北は「極めて大幅に悪化している」。震災前の前回2月調査では、9地域のうち東北を含めて6地域が「持ち直しの動きが見られる」とされていた。
経団連などは震災復興への支援を口にしている。しかし「企業努力」をこえた経営者団体としての支援に踏み出そうとはしていないし、民主党政権も自公勢力も経団連に要求してはいない。政治は国難に対応できていないと批判するのであれば、大企業と経営陣は過去最大に積みあがった内部留保を直接、あるいは法人税などの形で出さねばならない。日本企業の抱える現預金は200兆円といわれている(上場企業の手元資金は3月期末で52兆円)。経団連も同友会も、これをふところに抱えたままで「復興増税」を民衆に求め、消費税増税への突破口にしようとしている。
以下は5月末に公表された調査内容から。
<有効求人倍率>
4月の求人倍率は全国で0.61倍、前月比0.02ポイント落ち込んだ。2009年11月以来、17カ月ぶりの悪化となった。
東北6県は0.46で、前月から0.03ポイント下落した。とくに岩手と宮城の急落が著しい。福島を含む被災3県では「復興需要」によって新規求人は伸びたが、震災解雇などによる新規求職者の増加がはるかに上回っている。
宮城の新規求職者は実に前月の2.4倍だった。これは統計上「過去最多」だという。
福島では原発事故で避難していたり、今後の見通しがまったく立たないなどのために、求職票を出していない労働者が多数いると指摘されている。福島労働局も「数字以上に厳しい」と見ている。
●東北6県の4月の有効求人倍率(▼はマイナス)
〜倍率/前月比/全国順位(カッコ内は前月)
青森 0.39/=0.00/46(46)
岩手 0.41/▼0.06/45(43)
宮城 0.44/▼0.06/44(40)
秋田 0.48/▼0.02/41(40)
山形 0.59/▼0.03/28(24)
福島 0.49/=0.00/40(42)
東北 0.46/▼0.03
全国 0.61/▼0.02
●3県の新規求職者数(前月比)/新規求人数(前月比)
岩手 14,532(86.7%増)/7,987(39.9%増)
宮城 23,755(143.1%増)/15,223(72.2%増)
福島 15,636(75.6%増)/11,633(65.4%増)
●宮城の安定所別の有効求人倍率(4月)
仙台 0.44
大和 0.31
石巻 0.25
塩釜 0.25
古川 0.33
築館 0.37
迫 0.32
気仙沼0.17
大河原0.20
白石 0.32
*業種別の求人・求職・求人倍率は、宮城労働局「求人・求職バランスシート」を参照。
<大卒就職率、最低の91%>
文科省と厚労省によれば(5月24日発表)、大卒就職率は統計を取り始めた1997年以降で最低の91%だった。前年より0.7ポイント悪化した。
就職氷河期として社会問題となった2000年と同じ数値だが、北海道・東北は未集計であり、実際はさらに悪化しているだろう。
就職を希望していて就職できなかった大卒者は、推計で約3万3千人(就職者は33万7千人)。
<高校生の就職、深刻な宮城と福島>
全国は前年同期比で93.2%、前年同期比1.6ポイントの増加だった(文科省)。
東北6県のうち3県が前年比マイナスとなり、宮城と福島は深刻。
福井(99.5%)、石川(99.3%)、富山(99.2%)が上位。最も低いのは沖縄で82.6%、北海道84.8%、千葉86.7%で、宮城の87.6%が続いている。
●東北の高校生の就職率
〜カッコ内は前年同月比、▼はマイナス。
青森 90.4%( 1.6)
岩手 95.1%( 0.1)
宮城 87.6%(▼3.3)
秋田 96.9%(▼0.5)
山形 97.1%( 0.4)
福島 93.1%(▼2.4)
■以上/宮城全労協ニュース195号(2011年6月9日)

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