夢を乗せて走れ仙石線
東松島で住民イベント
3月10日、宮城県東松島市で震災一周年の住民イベント、「みんなの夢をのせて〜走れ!仙石線!」が開催された。実行委員会が主催し、JR仙石線沿線住民の会など地元住民に加え、東松島の復旧を支援した各地のボランティア団体などが協力した。九州や関西からも多くの人たちが駆けつけた。宮城全労協も早朝から会場設営にあたった。
JR仙石線の野蒜(のびる)駅、東名(とうな)駅がメイン会場となった。野蒜駅舎は浸水によって破壊されたままであり、東名駅はプラットホームだけが残されている。JR仙石線は石巻と仙台を結び、さらに石巻駅でJR石巻線(小牛田と女川を結ぶ)に接続しており、地域生活に不可欠の鉄道である。仙石線と石巻線はいまだに全面復旧していない。野蒜駅と東名駅を含む区間も再開のメドは立っておらず、代行バスが運行されている。
午前11時、降り続く雪の中、野蒜駅に三々五々集まってきた人たちは、「あの時も同じような雪だった」と挨拶がわりに口にしていた。
オープニング・セレモニーは獅子舞。地元の大曲浜獅子舞保存会が緊張した面持ちで演技を始めた。江戸時代から大曲浜地域に伝えられてきた漁師町の獅子舞。旧矢本町の無形民俗文化財だった。仲間を失い、太鼓や衣装などすべてを流された保存会は昨年8月に獅子舞の継続を決め、今年に入ってようやく練習再開を果たしたという。
主催者の挨拶が続いた。「子どもたちは一年間、耐えてきた。普通の生活がしたいと言っている。これ以上のガマンを子どもたちにさせてはならないと思う。そのためにも仙石線を復旧させたい。あって当たり前の存在だった仙石線。私たちを支えてくれてありがとうと感謝しながら、隣の東名駅までみんなで歩いて行こう」。
第二会場の東名駅ではイベントの準備が進み、ボランティア団体による炊き出しのテントも多く並んだ。野蒜駅から歩いてきた人々を含めて東名駅前の参加者は500名を超えた。「鎮魂の祈り」「夢ハンカチ」の紹介のほか、歌、フラダンス、エイサーなどが披露された。
実行委員会がこのイベントに向けて取り組んだのが「夢ハンカチ」だった。被災した子供たちは心に大きな傷をおっている。学校と子供たちの関係は3月11日以前には戻っていないことを、親も学校も知っている。その子どもたちに「夢」を書いてもらおう。この企画に地元の6つの小学校、中学校が賛同、一人一人にハンカチが渡された。「夢ハンカチ」はボランティアらを介して各地に届けられ、海外にまで広がっていった。人々の「夢」が書き込まれた数百枚のハンカチが東名駅のプラットホームに飾られた。ハンカチの作成には福祉施設の入居者など、それぞれの存在の場で多くの人々が関わった。
イベントの最後に仙石線沿線住民の会の代表が御礼と閉会の挨拶。「1年が過ぎた。これから3年も4年も待つことはできない。被災地に住民が戻り、生活を始め、地域を再建するためにも仙石線は必要だ」と訴え、「みんなで一日も早い復旧をめざしていこう」と呼びかけた。
(写真:2012年3月10日)
(1)仙石線野蒜駅近くのガレキ集積場
(2)ガレキが撤去された野蒜駅構内
(3)大曲獅子舞保存会が演技(野蒜駅前)
(4)東名駅に歩いて向かう子供たち
(5)子供たちの「夢ハンカチ」
(6)東名駅前で「鎮魂の祈り」
(7、8)プラットフォームを埋め尽くした参加者たち
■以上/宮城全労協ニュース218号(2012年3月11日)