「災害廃棄物」処理の現状
(注)<御礼と報告>は全労協第24回定期大会に寄せたもので、7月上旬に書かれました。その後「震災廃棄物」処理に関して宮城県や環境省などが計画の改訂を公表しています。現状について付記します。
<宮城全労協からの御礼と報告>
全国の皆さんからの励ましとご支援に感謝します。
私たちが「被災労働者から復旧・復興労働者へ」とメーデー・アピールを発してから15か月、「民衆復興」と「脱原発」を掲げて活動してきました。宮城ではこの夏、「かき」生産者とともに、震災からの復活を闘いぬいているところです。
復興庁は「震災関連死」として南相馬市で282人、石巻市で178人など1632人を認定しましたが、防止策がまとまるのは8月だと発表しました。被災民衆の救済という視点がいかに欠落しているかを象徴しています。
「復興特需」が日本経済を救うという論調がまかり通っていますが、「復興バブル」と「復興格差」が大きな問題になっています。復興予算の4割が実行されず、「特区」は民衆生活の再建には結びついていません。零細企業や地元商店などの事業再開は厳しく、沿岸部では雇用改善の方向にはありません。復旧・復興の遅れを逆手にとり、「雇用政策の手本を被災地で」と称して「最低賃金の規制緩和」を求める主張もなされており(日経新聞社説)、反撃が必要です。
一年前、全労協大会への報告では「京都五山の送り火」に岩手県陸前高田の薪を使用する計画が二転三転の末に中止になったことに触れました。国と県はその現実から学ぶことなく「震災廃棄物の広域処理」を進めています。そもそも対象から福島が除外されているなど、経緯が不透明です。さらに巨額の移送費用、契約をめぐる不正の発覚、「がれき再利用」の積極的な提案と試行、宮城県議会での超党派による「命を守る森の防潮堤」構想での県内処理の主張があり、しかも宮城県は、再調査でがれきの推定残量の大幅減少を報告しました。仮設焼却炉問題と二次処分場問題こそ問われなければならないのです。子供の命を守る親の権利は、被災地だけではなく全国の親の権利として当然の権利なのです。国と県は方針を見直すべきです。
世界防災閣僚会議で女川町の中学生が防災研究を発表しました。高台移転で一致していた生徒たちは、祖父母たちを救うことができなかった悔恨をかみしめ、一年間の議論で「絆」に行きついた。人々が津波から逃げて生きようとするための、地域の日常的なつながりこそが防災の要だ、と。お仕着せの「絆」とは別次元の想像力と対応力が、ここにあります。
被災者のそれぞれの事情や地域の矛盾を上から仕分けして強引に進められる「槌音高き復興」路線に対抗し、全国の仲間の皆さんと連帯して闘いを進めていきます(2012年7月)。
<「震災廃棄物」処理をめぐる現状>
●宮城県が第二次案を公表(7月25日)
宮城県は7月25日、「災害廃棄物処理実行計画」の第二次案を公表した。その内容は8月7日の政府関係閣僚会合に提出された「処理工程表」の改訂(環境省)に反映されている。
宮城県は必要量を県外処理する方針を重ねて表明しているが、軌道修正が進んでおり、「県は方針転換」との報道もあった。難しい判断を求められてきた各地の自治体との関係を危ぶむ声が出ている。
第二次案は一年前(2011年7月)の第一次案を改訂したもので、とくに今年5月になされた処理推計量の大幅減少という見直し結果を受けて作成された。5月の見直しでは、災害廃棄物1570万トンの当初見込みから420万トンが減り、1150万トンとなった。今回の改訂では災害廃棄物と津波堆積物が分けて記されている。
〇災害廃棄物 1252万トン(そのうち683万トンが県受託処理量)
〇津波堆積物(注1)672万トン(そのうち237万トンが県受託処理量)
(*)「沿岸部被災地域」のうち、仙台市・利府町・松島町をのぞく気仙沼ブロック、石巻ブロック、宮城東部ブロック、県南部の亘理名取ブロックが県の処理対象。数値の説明と処理方法等は「計画」を参照。
県は次のように再確認している。「震災復興の前提としての「速やかながれき処理」」のために、リサイクルの徹底と地元処理(自区内、県内)の徹底を基本理念とし、地元と県外の民間技術力を結集した大規模二次仮置き場の建設・運用を進めることで「県内処理量の最大化」をはかるが、「平成26年3月までの処理完了」という「時間的制約」があり、「最大限の県内努力のもと県外の幅広い支援を得てがれき処理を推進」する。
また県外処理については以下のように記述されている。
「平成26年3月までに処理を完了させるためには,県外の廃棄物処理施設における広域処理の協力をお願いする必要があります。先に示したとおり、最大限県内で処理すべく今後も努力を続けていくこととしておりますが、現時点では、そのすべてを県内で処理できる目途が立っておりません。・・県が処理を受託した災害廃棄物920万トンのうち、処理確定量は708万トンとなっております。さらに,県内処理拡大分が112万トンあることから、これらを除いた100万トンが平成24年7月現在の処理未確定量です。この処理先が定まっていない100万トンが今後広域処理をお願いする必要がある量で、既に処理が進んでいる、または処理先が決まっている量14万トンとあわせると広域処理量は114万トンとなります」(「広域処理の必要性」)。
県外処理は既定の方針というわけだが、しかし、宮城県の対応は揺れ動いている。
●「可燃がれき、県外要請せず」に波紋
推計量の大幅な減少と「広域処理」の厳しい現状を前に、県の対応が問われてきた。村井知事は6月県議会で近隣自治体への受け入れ要請を優先させたいと答弁している。放射能汚染の拡散への懸念に加え、広域処理にともなう経費や「1兆円ビジネス」と称されるゼネコンとの関係など事業内容が不透明との批判が相次いだからだ。宮城県は建前はともかく、現実的な判断として全国規模の「広域処理」からの後退を迫られたということになる。
第二次案が公表された当日、村井知事は「大分県知事と電話で会談し、可燃物の受け入れを要請しない方針を伝えた」という。その直後、宮城県は「既に可燃物処理を受け入れている青森、山形、福島、茨城、東京の5都県と受け入れを正式決定した福岡県以外への要請を打ち切る方針を正式に発表した」。発表前に根回しをした自治体もあったが、「正式な連絡がなかった一部自治体は混乱し」「唐突すぎる」「一方的」など戸惑いが広がった(河北新報/8月10日)。
このような動きに先だって、宮城県は青森、秋田、山形の東北3県に受け入れを打診している。広域処理を計画する114万トンのうち、金属くず、瓦など埋め立て分の39万トンと木くず、プラスチックなど再生利用分47万トンが対象、関東の複数の自治体にも打診中だという(7月4日、県議会環境生活常任委員会)。
県はさらに8月21日、不燃がれきも近距離自治体との交渉を優先する方針を明らかにした(県議会環境生活農林水産常任委員会)。県は「不燃物」については従来通り、全国的な受け入れを要請するとしていたが、目途は立っていなかった。県はあらためて「(選別・分別の徹底、資材への再利用拡大により)埋め立て量の圧縮を図りながら、近場で受け入れ先を探すことを基本」として、計画通り2013年3月末までに処理を完了させると表明した。
●「10か月もすれば(県内処理は)可能」
5月21日の定例記者会見では「推計量大幅減」の見直し結果を受けて、突っ込んだ議論が交わされている。知事は次のような点に言及した。
〇広域処理の必要量が3分の1弱に減ったとはいえ、膨大な量(114万トン)が未確定であり、国の協力のもと、引き続き全国の自治体にお願いしていく。可燃系の混合物だけでなく、できれば埋め立て処分のがれきも受け入れていただきたい。
〇運搬費用も考えるなら、できる限り近場で受け入れていただけるよう努力が必要。
〇(あくまで来年度末までの処理をめざすのか、期限を延長すれば地元処理が可能ではないかなど)いろんな声があるのは事実。仮設プラントを最大限活用すれば、おそらく10か月程度延ばせば全部処理できると思う。しかし、一日でも早く被災地からがれきをなくしてしまうということが、被災者のためにも復興のためにも大切だろうと考えた。環境省も同じ考えだ。どうしても受け入れが難しいという状況が続くようであれば、県民に事情を説明し、期間を延ばすこともあるかもしれないが、今の時点では一切考えていない。
昨年、冬の到来を前にして、知事は何度か被災地を訪れ「仮設は劣悪すぎる」という住民と意見を交わしたことがある。「上から目線だ」という村井県政批判への配慮でもあっただろう。「がれき処理」問題でも知事に姿勢が厳しく問われる。
「がれき」への思いや「広域処理」への意見は一様ではない。日々の報道に接して、被災者たちは複雑な感情をいだいているだろう。がれき処理現場で働いている被災者たちの実体験が、被災地で話題になっているだろう。「がれきが自分の地域の前に山高く積まれている状態というのは、復興への妨げになるし、何よりも被災者の皆さまの精神的な重荷になるのではないかと思って」いると、知事は述べている。「当初期限を10か月ほど延長すれば県内処理は可能」という県の試算は重大である。知事は被災地住民の意見を聞くべきだ。
●県議会、「森の防潮堤」を全会一致で決議
第二次案発表を前に、宮城県議会(6月例会)は7月6日、「いのちを守る森の防潮堤」実現に向けた決議を全会一致で採択した(注2)。
3月、超党派による「いのちを守る森の防潮堤」推進議員連盟が設立された。県は慎重な姿勢を崩さず、村井知事も「法的緩和を求めていると処理に時間がかかる」などと答弁してきた。
「いのちを守る防潮堤」の構想は早くから研究者によって提起されていた。宮城県岩沼市がこれを復興計画に取り入れ、また気仙沼地域などで住民の賛同が広がっていた。
自民党県連は昨年末、がれき処理の受け入れを全国の地方議会に働きかける方針を決定している。国の動きが進まないことを批判し、岩手・宮城の「安全ながれき」に限って住民の理解を求めるとの方針だった。ところが、広域処理拡大の要求は失速していった。保守系議員たちも議員連盟に参加し、超党派による「森の防潮堤」推進が県議会の争点に浮上していった。「がれき」処理に限らず、復旧・復興事業のあり方全般についての地元支持者たちの不満を、そのような経緯の中に見ることもできる。
推進議員連盟と県の意見交換会が6月21日、開催された。そのやりとりを河北新報が報じている。県はこれまでと同様、「コンクリート片や木材のがれきは埋め立てに回さず、不足する建設資材などに再利用する方針を示した。木質がれきは、廃棄物処理法の規制で埋め立てられないことも伝えた」。これに対して議員連盟の各議員から激しい追及がなされた。自民党・県民会議に所属する連盟会長は「(県の試算で)がれき量は大幅に減り、広域処理は不要な状況だ。国が「やれ」と言うからやっているだけだ」と詰め寄ったという(河北新報6月22日)。
6月県議会定例会では県政与野党の議員たちが「広域処理が本当に正しいのか疑問だ。全て県内で処理するよう見直したらどうか」「期限を延ばしてでも、県内処理に方針転換したらどうか」など、県の方針見直し、転換を強く迫った。対立はとけないまま、最終日の7月6日、決議は全会一致で採択された。
またこの日、県議会議長が「一部のテレビ報道で、宮城県議会が「広域処理推進」から「県内処理推進」に方向転換したような誤解を招く報道があったことは、極めて遺憾」とする議長声明を公表している。
全会一致の推進決議にもかかわらず、廃棄物処理法が「木質がれき」の埋め立てを原則禁止としていることを理由に、県は慎重姿勢を貫いている。知事も、構想実現には法改正が必要で2013年度末の処理期限に間に合わなくなる、県の独断で進められないと繰り返している。国は岩沼市で実証実験を始めているが、推進議員連盟からは「実験でお茶を濁す気か」と不信の声も出ているという(*注3)。
●野田首相の「みどりのきずな」プロジェクト
「広域処理」が急浮上していったのは、野田政府がそれを被災地と全国をつなぐ「助け合いの心」の実証であり、いわば<絆>と<槌音高き復興>の象徴として焦点化しようとしたことが大きい。全国紙等も復興の最大の課題としてキャンペーンを張った。「被災地のため進めよう(朝日新聞)」「受け入れ拒否が復興を妨げる(読売新聞)」などの社説が相次いだ。
野田首相は次のように述べている。
「岩手と宮城の大量のがれきは、被災地だけでは処理できません。「被災地」と「それ以外」、「国」「自治体」と「国民」という区分けをして考えるべき事柄ではなく、すべての国民が「当事者」である、という前提で、考えていただきたいのです」(3月14日「がれきの処理をみんなの力で」(注4))
政府は震災一周年を機に関係閣僚会合を設置し、全国自治体への協力を文書で要請した。しかし、受け入れの拡大は厳しく、さらに宮城県の今回の動きによって、「広域処理」の政治的な位置づけは大きく後退することになった。野田政府はいま「再利用」に力点を移しているように見える。そもそも政府方針は県と同様、広域処理と再利用を併記していた。
首相は広域受け入れへの要請に続いて、もう一つの方針にふれている。
「関東大震災のがれきは海に埋め立てられ、横浜の名所、山下公園に姿を変えました。今回のがれきも再生利用によって、防潮林や避難のための高台などに姿を変え、明日の災害から人々を守ってくれる存在になってくれれば、と思っています。/助け合い、支え合った日本人の気高き精神を世界が賞賛しました。今こそ再び、日本人の国民性が問われています。」
政府や自治体で「再利用」に注目が集まっているのは、「土・廃材の不足」という別の事情もある。生コンクリートと「土」が決定的に不足しており、夏以降、「復興工事」への影響は必至だという(農地再建にとっても土の不足が問題になっている)。復興大臣がこれらの問題で国と県、沿岸部自治体による連絡協議会の設置に言及したのは3月下旬だった。再利用に向けた検証や準備が急ピッチで進められていった(宮城県議会の推進議連は4月、国に「森の防潮堤」実現を求めて陳情した。復興政務官は「課題は多いが努力する」と答え、5月には試験的な事業が開始される予定だと伝えたという)。
政府は3月の関係閣僚会合で、がれき再利用による防潮林や高台整備の方針を確認している。その具体化として野田首相は4月23日、「「みどりのきずな」再生プロジェクト」構想を発表した。元首相などの提言があったといわれている。
「・・分別、無害化され安全性が確認されたガレキの再生資材も活用しながら樹木の生育基盤を造成した上で、地域の自然条件等を踏まえつつ、NPO、企業等による協力も得ながら植栽等を進める」(林野庁の説明)。対象は青森県から千葉県まで、太平洋側海岸線の約140キロ、5年から10年で防災林を整備する大事業計画だ。
細野大臣は4月30日、岩手県大槌町での植樹会に出席し、仙台平野での事業モデルにしたいと発言した。5月16日、五百旗頭・復興推進委員会委員長は岩手県庁で意見交換し、「防潮堤の内側にがれきを利用した丘」を検討すべきと提言している。首相は7月3日、仙台市若林区で防災林再生整備の工事現場を視察した。
水産庁は早い時期から沿岸部漁業への再利用策を検証してきた。いま復旧・復興工事への再利用が動き始め、各省庁が競って事業を具体化している。国土交通省は海岸堤防、林野庁は海岸防災林というぐあいだ。仙台市との間で契約される被災海岸復旧工事が先行的な役割を果たす。企業と大学による実用化研究も話題になっている。「復興に関わる27企業や地元大学でつくる研究組織は、がれきや廃材の再利用に関する技術提案をまとめた」「計50の方法を東北地方整備局に提案した」(日経新聞7月13日)。
ところで、野田首相が提唱した「再生プロジェクト」と岩沼市の構想や県議会議員連盟の推進決議はどのような関係にあるのだろうか。被災地住民たちによってなされてきた「鎮守の森」や「防風林」再建など地域再生の試みは、どのように位置づけられるのか。そのような説明がないまま、「官民連携」をうたった巨大復興プロジェクトがスタートしている。
(注1)災害廃棄物と津波堆積物
「がれき処理」に関する報道では国や県の公表値が多用され、結果として生活実感とかけ離れた数値の羅列という印象が強い。「震災がれき」とは何をさすのか、はっきりさせていないことも影響している。今回、宮城県の第二次案では「災害廃棄物」と「津波堆積物」を分けて数値化している。「震災がれき」報道の多くは津波堆積物を除外しているか、津波堆積物を災害廃棄物に含めている。統一されていないのはなぜか、説明はない。津波堆積物を除外すれば被災の大きさは低減されて伝わる。国や自治体が算定する広域処理の必要量の割合は、逆に大きくなる。このような報道では実態がゆがんで伝わる可能性がある。
たとえば今春、仙台市の担当部局の職員は処理に目途がついた感想を聞かれ、課題として津波堆積物をあげていた。「津波によって運び込まれた土砂など堆積物の問題がある。津波堆積物は公表されている(いわゆる震災がれき)135万トンのほかにあり、ほぼ同量の130万トンある。これも処理しなければならないが方法はまだ決まっていない。道路のかさ上げ等に使えないか検討中だ」(NHK仙台局報道番組)。このような事情を仙台市民が理解しているとはいえないだろう。
二次案では「農地がれき」にもふれている(農地上に散乱した「農地上がれき」と、本来の耕土の上に積もった「津波堆積物」)。また、自動車、船舶については、県の「被災自動車処理指針」、環境省の「東日本大震災により被災した船舶の処理に関するガイドライン(暫定版)」に従い、処理されることも付記されている。
環境省は「災害廃棄物等の処理状況」(2012年7月31日)で、災害廃棄物と津波堆積物を分けて報告している。
〇宮城県の災害廃棄物推計量=12,004千トン、津波廃棄物推計量=6,722千トン
〇災害廃棄物等推計量=18,726千トン
ちなみに復興庁による「災害廃棄物(がれき)処理の状況と課題」では、「宮城県の災害廃棄物」は1,154万トンであり広域処理希望量は(そのうちの)127万トンであると記されている(2012年8月1日「復旧・復興の現状と課題」より)。
(注2)「いのちを守る森の防潮堤」実現に向けた決議
「(略)この未曽有の大災害を教訓に、私たちはこれまでの津波対策のあり方を根底から見直し、六百年後、千年後の未来に向けて、万全の安全安心な津波対策を構築する責任が、今問われている。
さて、世界的な植物生態学者として著名な宮脇昭氏は、膨大な瓦れきと土を使って沿岸部に築山を築き、そこに東北地方に植生する広葉樹等を植栽することによって、津波に対し強靭な森の防潮堤を築くという「いのちを守る森の防潮堤」構想を提唱している。
コンクリート製防潮堤をハード防潮堤とすれば、森の防潮堤はソフト防潮堤に位置づけられる。この「いのちを守る森の防潮堤」は、植物自身の成長力によって密生した森をつくり上げていくため、維持管理費がかからず、永続的な耐久力があり、かつ自然との共生の観点から見ても、県土の自然景観の保全や二酸化炭素削減など環境・観光両面での寄与もはかり知れない。そして何よりもとうとい命を奪われた方々の鎮魂の森、慰霊の森としての役割も期待されている。(略)
もとより、被災地の膨大な災害廃棄物の迅速な処理のため、広域処理が進められているが、構想実現を図るためには、瓦れき処理上の法規制の緩和をはじめ、一定の条件のもとで埋め立てが認められるようになった流木・倒木等の丸太類の量的確保、木質類埋め立て場所の安全性についての科学的知見に基づく検証、海岸堤防と森の防潮堤の機能補完を図るためのハイブリッド工法などの新しい工法の確立、復興交付金等による事業費の制度化など、広範囲に解決しなければならない課題が山積している。
よって、本県議会は、県当局に対し、自然の猛威を自然の力で減災する森の防潮堤構想実現に向け、国や市町との協議調整を積極的に取り組むよう、強く要望する。」(平成24年7月6日 宮城県議会)
(注3)推進決議に対する環境省と県の姿勢
「議連はことし4月、国に規制の緩和を要請。環境省は今月8日、木片に比べて分解速度が遅く、ガス発生の危険性が低い倒木や流木などの丸太に限り、埋め立てを認める新指針を打ち出した。国の「譲歩」で構想は前進するかに見えたが、ハードルは高いままだ。県によると、震災で発生した丸太は3万〜5万トン。県は合板などに再利用する方針で、「埋め立てに回す余裕はなさそう」(震災廃棄物対策課)と素っ気ない。さらに議会が不満を募らせるのは、新指針に盛り込まれた防潮堤の管理法。埋め立てを認めながらも、丸太の腐食に伴う陥没や地滑り事故を防ぐため、立ち入り禁止にするよう求めたからだ」(河北新報6月
23日「「がれき防潮堤」争点に/木質類埋め立て扱い鍵」)
(注4)野田首相発言
野田首相のメールマガジン「官邸かわら版」。政府の震災がれき処理方針と説明資料は「がれき処理をみんなの力」に一括して掲載されている(首相官邸「復興に向けて」)。
■以上/宮城全労協ニュース230号(2012年8月22日)