安倍自公政権に抗して〜
13春闘と参議院選挙へ!
●民主党の敗北と自民党の「圧勝」
自公政権が復活した。自民党は票を減らしながらも、圧倒的な議席を獲得した。自公選挙ブロックの機能と小選挙区制の効果がいかんなく発揮された。
自民党の圧勝には「民意」と二重の落差がある。小選挙区では43%の得票率で79%を議席を得た。一方、比例区では32%の議席にとどまり(得票率28%)、3分の1にも達していない。これが圧勝の現実だ。この結果について「自民党は本当に勝ったのか」という議論が起きている。
小選挙区制度の非民主主義的な効果については、90年代に「政治改革(選挙制度改革)」を主導した当事者たちも、反省や見直しを表明せざるをえなくなっている。もはや評論にとどまる問題ではない。早期見直しは、少なくてもそれら有識者たちの歴史的な「政治生命」に関わる問題になっている。比例区中心への制度改革を求める。
投票率は戦後最低まで落ち込んだ。小選挙区では白票などの「無効票」が204万票(投票者数の3.3%)、過去最高だった」という(朝日新聞調査)。自民党圧勝の実態がこの点でも示されている。
マスコミがこぞって評したように、「熱気なき勝利」だった。自民党陣営も、力強い支持が回復したわけではないと、戸惑った。<民主党は自壊し、「第三極」はばらばらで自民党を脅かすまでにはならなかった。有権者たちは消極的な選択として自民党に投票した>、と。
安倍総裁自身が語っている。「わが党の勝利は、自民党に信任が戻ってきたのではなく、民主党による政治の混乱と停滞に終止符を打つ国民の判断だった。自民党に厳しい視線は注がれ続けている。緊張感をもって前に進み、結果を残していかなければならない」。大勝利翌日の、異例の記者会見だった。
各紙の緊急世論調査でも、政権支持は決して突出したものではない。読売新聞は「内閣支持65%」と報じたが、同社の小泉内閣(87%)以降の調査では、鳩山(75%)に大きく及ばず、野田(65%)、菅(64%)と同水準だった。06年秋の第一次安倍内閣は70%だ。また支持理由は「これまでの内閣よりよい」(41%)が突出し、「政策に期待できる」(20%)、「自民党中心の内閣だから」(12%)と続き、首相が信頼できる」は9%にすぎない。麻生元首相の起用については賛否が拮抗し「評価しない」が多数だった(12月28日付)。
民主党は完敗した。比例区で、前回票の3分の2にあたる、実に2千万票を減らした。3年間の政権運営への批判が、離党した諸グループを含めて集中し、結党以来の成果を失うこととなった。選挙前の野田民主党の思惑、たとえば100議席は確保できるだろうなどの期待は、この結果によって霧消し、崩壊的危機に直面している。
民主党はかろうじて野党第一党の位置にとどまったが、日本維新の会とみんなの党が迫った。橋下・大阪維新の会は石原派と合同したことによって当初の勢いを失ったといわれているが、それでも比例区は民主党を上回った。みんなの党を単純加算すれば、民主党をはるかに上回る。民主党の頼みは参議院第一党だという点だが、総選挙区投票結果を単純適用すれば、自公は参議院でも過半数を制すると報じられている。しかも、維新の会とみんなの党は、あつれきをかかえつつも、選挙協力の準備を公然化させている。
「日本の未来」は成功せず、分解した。社民党と共産党が伸長することもなかった。脱原発の要求が少数になったわけではないが、大きな右傾化の流れが進んでおり、抵抗・対抗する政治勢力が間に合っていないことが選挙結果に示されている。自公の過半数獲得に加えて、維新とみんなの党が民主党に拮抗あるいは抜けば、衆参議会勢力は右派と新自由主義派に占有されることになる。7月参議院選挙に向って、政治の再構築が問われている。
●安倍政権を倒そう!
安倍自民党と内閣は、これまでのところ、抑制的であろうとしている。参議院選挙での勝利、そこまでの緊急的な政策展開という「限定戦」だ。民主党が政権を獲得した当時と比べてみて、さらに鳩山・小沢のツートップが辞任した直後の菅民主党の対応と比べて対照的な「知恵」である。
しかし、外交、経済、原発、震災など、半年間の綱渡りのなかで、そのような政略が通用するだろうか。
中国は尖閣諸島問題について、バランスを崩したのは日本の側であり認められないと主張している。「前政権の国有化は支持する」と明言している安倍政権は、バランスの復元策を提示しうるか。また「歴史認識問題」に関して米韓メディアから、警戒と批判の報道が続いている。目前のロシアとの交渉では、自民党時代の論争の再整理が不可欠となる。
無制限の金融緩和論に対して、批判と警告が広がっている。金融緩和には負の側面もあるという消極論から、国債暴落・金利急上昇を招き、不況下のインフレという絶望的シナリオに道を開く危険性があるとの反対論まで、業界や学者から幅広い異論が出されている。「アベノミクス」をもてはやす経済学者や評論家たちは決して多数派ではない。
首相の経済政策(「三本の矢」)を支持する読売新聞でさえ、次のように苦言を呈している。「気がかりなのは、首相などが日銀法改正や総裁の後任人事と関連づけて、政策協定などを日銀に求める場面が目立つことだ。戦時中、政府が国債を日銀に引き受けさせ、国債暴落や超インフレを引き起こした歴史がある。日銀の独立性が揺らげば、国債の急落を招く恐れもある。日銀に政治圧力をかけていると誤解される言動は厳に慎しんでほしい。」(1月7日社説)
安倍政権は日本経済再生本部を設置し、経済財政諮問会議と規制改革会議を復活させ、内閣主導による緊急経済政策シフトを築こうとしている。民主党政権は「党と政府の一体化」が事実上の二元体制となって党内亀裂を深めた。内閣の要である「国家戦略会議」は最後まで機能しなかった。その民主党政権との対比を強調しようとしているわけだが、しかし、竹中元大臣の起用は自公政権がリスクを抱えることを意味する。安倍政権の経済再生政策が貧困・格差に対する「和解・修復」をめざすものではなく、ビジネスサイドに立った労働者民衆攻撃の道であることを象徴する人事となるからだ。
経団連はさらなる賃下げ攻撃に出ようとしている。賃金要求の拒否にとどまらず、高齢者雇用にともなう人件費を「働き盛りの現役世代」の賃金削減によってまかなうと主張している(NTT新方式)。かつての第一次安倍政権は経団連に対して労働者への待遇改善を要求した。新政権は、こんな賃金政策を認めておいて、消費拡大を議論するのか。
賃下げのなかでの物価上昇とともに、円安による輸入産品の価格上昇、とくにエネルギー関連料金の値上げが押し寄せ、社会保障の切り下げが強行される。安倍右派政権にとっては、社会保障削減は原理・原則上の要求だ。「デフレ脱却」は労働者民衆への攻撃としてなされ、さらに消費税増税が法人税率下げとセットで導入される。
安倍政権の誕生によって関連株価が上昇した。電力株は開票翌日の12月17日、軒並みストップ高となった。<脱原発票は分散して政治的な結集ができず、自民党の圧勝によって原発維持政策に転ずる>。そのように解説されている。しかし、原発維持・推進主張が総選挙で多数派になったのではない。自民党の得票は過半数に遠く及ばず、しかも、原発推進を主張したわけではない。2005年郵政選挙では民営化支持の票は半数にとどまっていたが、圧倒的議席差によって民営化政策が復活強行されていった。今回、原発支持・推進派の票は当時の郵政民営化票と比較にならないほど少ない。
宮城では津波被災地、とくに石巻市、仙台市若林区と宮城野区、南三陸町などで投票率が際立って低かった。
新政権は復旧・復興が最優先として、被災地との関係を築くために大臣の訪問や予算の拡充などの手を打っている。国土交通大臣には公明党有力議員が復活している。「蛮勇をふるう」政治家が数人いれば「槌音高き復興」は可能だ、という論が勢いを増している。しかし、それはどのような姿勢、思想によるのか。「震災便乗主義」か。「大型公共工事」主導か。事業展開の前提が、問われざるをえない。
被災地は微妙な立ち位置にある。復興庁本部の被災地設置には、宮城県知事や仙台市長から、すでに慎重意見が出されている。一方、自公政権に期待が寄せられていることも確かだ。村井知事は「好機到来」にかけて「興起到来、挑戦の年」と書いた。自公政権復活の高揚感がある。「被災者に『復旧が進んだ』と感じてもらえる一年にしたい」というが、どのような視点からの復旧・復興か、被災者とともに問いただしていくことが必要だ。
被災者・被災地が主人公の復旧・復興を!
経団連の賃下げ攻撃と対決し、13春闘を!
安倍政権を倒そう! 参議院選挙を準備しよう!
■以上/宮城全労協ニュース237号(2013年1月7日)