宮城全労協ニュース/第239号(電子版)/2013年3月6日
名護漁協に埋め立て同意書〜
辺野古新基地建設を許すな!





 安倍首相は2月23日、「日米合意に沿って米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を早期に進める方針で一致」したと日米首脳会談の成果を誇示した。

 沖縄は首脳会談に先立ち、「建白書」をもって安倍政権に「県内移設の断念」を求めていた(注)。受け取った首相は、辺野古移設に関して発言することはなかった。日米会談での合意は、まさに沖縄不在、沖縄無視を見せつけた。

 防衛省は2月26日、名護漁協に埋め立て同意を求める要請書を提出したことを明らかにした。続いて県知事に対して埋め立て許可申請(公有水面埋め立て許可申請)を行う方針だという。

 政府は日米合意を盾に事実上の手続きに入った。そのことに対して国会は、賛否で緊迫するどころか、内政・外交の重要案件としてチェックするという姿勢すらなかった。

 さらに小野寺防衛大臣は28日、沖縄駐留オスプレイの「本土低空飛行訓練」実施を発表した(参照:宮城全労協ニュース233号「山城博治さんを迎えて〜沖縄と結ぶ集いを開催」12年10月23日)。

 また宮城県内の陸上自衛隊王城寺原演習場では、2月18日から沖縄駐留米軍による実弾砲撃演習が強行された。小野寺防衛大臣は衆院宮城六区(気仙沼市、南三陸町を含む)の選出であるが、被災県での演習は県民の不安を無視し、予定通り実施された。



(注)1月27日に開催された東京行動(日比谷野音集会)の報告・写真は、電通労組機関紙「真紅の旗」(357号、2月6日付、組合ホームページ掲載)の記事をご覧ください。また「建白書」全文は本ニュースの資料を参照してください。




 日米首脳会談での合意内容について、首相は強気一辺倒を演じているが、その評価には幅がある。合意の内容やスタンスについて、両首脳の思惑が一致していない、という見方があるからだ。とくにTPPについては、安倍首相の事情を優先させた結果、合意はあいまいであり、そのことが今後、波紋を呼ぶだろう。(米国通商代表部は1日、「13年度の課題と12年度の報告」を議会に提出した。TPPに関しては、米国の利害が強調されている。)

 安倍政権は「日米同盟完全復活」の成果を強調し、前政権との対比を際立たせようとしているが、その合意内容はどうか。

 首相は就任直後の昨年末、日本は東シナ海を中国に渡してはならないと書き、中国包囲の太平洋陣形を提唱した。「沖縄」は首相の安保・防衛構想のなかに位置づいている。

 米国は対中国外交で慎重な姿勢をとっている。尖閣諸島をめぐる日本と中国の対立が、米国にとって、事態をさらに複雑にしている。そのような日米が直面している問題は、今回の首脳会談では表に出さなかった。

 沖縄タイムス社説は次のように指摘している。

「日米首脳会談で浮かび上がったのは、尖閣諸島をめぐる国益の違い、安倍政権の外交姿勢に対する米国の懸念である。

 米議会調査局は最近、「米国が(日中の)軍事衝突に巻き込まれる可能性がある」との報告書をまとめた。米国で「巻き込まれ」を懸念する声が拡大している。

 訪米中、安倍首相が尖閣問題で「冷静な対処」を繰り返し強調したのは、米側の懸念を打ち消すためだ。

 米国は、領有権問題や歴史認識をめぐる日中、日韓のきしみを懸念し、日本の右傾化を警戒している。安倍政権はそのことにもっと敏感になったほうがいい。」

(沖縄タイムス社説[日米首脳会談]移設強行は最悪事態だ/2月24日)



 自民党は民主党の失敗を攻撃して政権を奪回した。外交問題は攻撃の大きなウエイトを占めた。だが、自民党は、沖縄県民の怒りが自分たちにも向いていることについては、意味のある発言を行っていない。沖縄自民党がこぞって「県内移設反対」を訴えたことについても、沈黙したままだ。

 歴史的事故に直面しても原発政策への検証を行うことなく、通り一遍の反省を口にするだけで再稼働に突き進もうとすることと同じではないか。

 首相は施政方針演説のなかで「沖縄に、世界一のイノベーション拠点」を創り上げると打ち出し、大きなスペースをさいた。総合科学技術会議を司令塔とし、大胆な規制改革により世界中の研究者を日本に集める、その「萌芽」と沖縄で出会ったというエピソードが添えられている。

 演説は次のように続く。「最新の研究設備に加え、沖縄の美ら海に面した素晴らしい雰囲気の中で、世界中から卓越した教授陣と優秀な学生が集まりつつあります」。これは沖縄県民への皮肉か、挑発か。安倍政権は沖縄に対して、再び、反省なき「アメとムチ」に乗り出している。


 1月28日、「オスプレイ配備に反対する県民大会実行委員会」の代表と沖縄県内市町村長らが首相官邸を訪れ「建白書」を安倍首相に渡した。首相は、その内容には触れることなく、「(自分には)考えることがある」と述べたという。首相は「沖縄」を日米同盟再構築の「持ち札」と考えているのか。

「沖縄の方々の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しながら、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の変換計画を早期に進めてまいります」(施政方針演説)。

 このような首相の見え透いた発言に、沖縄は怒り、糾弾している。

 沖縄民衆の声を「本土」へ、「国政」へ!




資料/建白書(全文)


 内閣総理大臣 安倍晋三殿

 2013年1月28日


 われわれは、2012年9月9日、日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの強行配備に対し、怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるため、10万余の県民が結集して「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」を開催した。

 にもかかわらず、日米両政府は、沖縄県民の総意を踏みにじり、県民大会からわずかひと月もたたない10月1日、オスプレイを強行配備した。

 沖縄は、米軍基地の存在ゆえに幾多の基地被害をこうむり、1972年の復帰後だけでも、米軍人等の刑法犯罪件数が6千件近くに上る。

 沖縄県民は、米軍による事件・事故、騒音被害が後を絶たない状況であることを機会あるごとに申し上げ、政府も熟知しているはずである。

 とくに米軍普天間飛行場は市街地の真ん中に居座り続け、県民の生命・財産を脅かしている世界一危険な飛行場であり、日米両政府もそのことを認識しているはずである。

 このような危険な飛行場に、開発段階から事故を繰り返し、多数にのぼる死者をだしている危険なオスプレイを配備することは、沖縄県民に対する「差別」以外なにものでもない。現に米本国やハワイにおいては、騒音に対する住民への考慮などにより訓練が中止されている。

 沖縄ではすでに、配備された10月から11月の2カ月間の県・市町村による監視において300件超の安全確保違反が目視されている。日米合意は早くも破綻していると言わざるを得ない。

 その上、普天間基地に今年7月までに米軍計画による残り12機の配備を行い、さらには2014年から2016年にかけて米空軍嘉手納基地に特殊作戦用離着陸輸送機CV22オスプレイの配備が明らかになった。言語道断である。

 オスプレイが沖縄に配備された昨年は、いみじくも祖国日本に復帰して40年目という節目の年であった。古来琉球から息づく歴史、文化を継承しつつも、また私たちは日本の一員としてこの国の発展を共に願ってもきた。

 この復帰40年目の沖縄で、米軍はいまだ占領地でもあるかのごとく傍若無人に振る舞っている。国民主権国家日本のあり方が問われている。


 安倍晋三内閣総理大臣殿。

 沖縄の実情をいま一度見つめていただきたい。沖縄県民総意の米軍基地からの「負担軽減」を実行していただきたい。

 以下、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委員会、沖縄県議会、沖縄県市町村関係4団体、市町村、市町村議会の連名において建白書を提出致します。


 1.オスプレイの配備を直ちに撤回すること。および今年7月までに配備されるとしている12機の配備を中止すること。また嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること。

 2.米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること。

 以上



■以上/宮城全労協ニュース239号(2013年3月6日)