宮城全労協ニュース/第270号(電子版)/2014年9月3日

全労協大会への報告



 全労協第26回定期大会が9月21、22日に開催されます。以下は大会に宛てた宮城全労協の報告です。

 報告が書かれた7月以降、ニュース前号では女川現地で開催されたつどいを紹介しました(続報予定)。「指定廃棄物最終処分場」をめぐっては、地元の総反発にもかかわらず、宮城県知事は環境省に歩み寄る姿勢を強めています。

 緊急雇用創出基金を利用してコールセンター事業を展開したDIOジャパンは、被災地をはじめ東北各地で撤退・閉鎖や雇い止めが相次いでいます。地域社会の雇用不安は深刻です。被災者たちを食い物にした経営側だけでなく、国の責任も問われています。「医学部新設」では、知事の主導した宮城県案(県立医学部案)が選考から退けられ、波紋を広げています。

 また宮城全労協は9月1日、宮城最低賃金審議会の答申(「目安」と同額)に対して異議を申し出ました(ニュース続報)。



一年間の活動の報告(全労協定期大会)


 大震災3周年を経て「復旧・復興の格差」が顕著となっています。本格的な復興期との位置づけにもかかわらず、事業は遅れ、被災者たちの苦境は深まっています。環境大臣から飛び出した「金目」発言は被災者を愚弄するものであり、被災地は憤っています。東京電力は福島第一原発への「場当たり」対応を繰り返し、一方、安倍首相を先頭に原発再稼動と輸出促進が進められています。政府・自民党への反撃が問われています。


<県も政府も認めた復旧・復興の遅れ>


 宮城県など太平洋側の東北四県知事は、政府に対して「集中復興期間(2015年まで)」の期限延長を求めました。自民党復興加速化本部も同様の見解であり、安倍首相は「さらなる財源確保の必要が生じた場合、15年度予算編成で適切に対処する」と答弁しています。3周年にあたって首相は自分に都合のよい数値を並べ立て、復興の前進を強調しましたが、政府・与党も「遅れ」を認めざるをえなくなっています。

 直接的な原因として宮城県知事は「人手と資材の不足」をあげていますが、自治体職員不足、入札不調や予算未執行などはこれまで幾度となく指摘されてきたことでした。その対策が思うように進んでいないだけではありません。安倍政府の「国土強靭化」政策や東京五輪の準備が復旧・復興をさらに悪化させるという被災地の危機感が現実になっています。もはや当初の計画を維持できないことは明らかです。


<置き去りにされる被災者・住民>


 今年1月、宮城県沿岸部の被災自治体が中央省庁への合同陳情団を送り出したときのこと。復興庁に東京五輪のポスターが貼り出されており、「被災地との意識のズレ」、大震災の「風化」を見せつけられた首長や議会議長らは愕然としたといいます。被災地にとっては「たかがポスター、されど・・」なのだ、復興庁は「一握りの想像力ぐらい、持てないか」と南三陸駐在の新聞記者が書いていました。

 被災自治体は住民とともに困難を克服していかねばなりません。しかし、「被災者が主人公」とされた復旧・復興は、現実には上からの行政主導、政治主導であり、住民との合意の過程を飛び越え、あるいは無視したことにより混迷してきました。その象徴が「長期化する仮設生活」や「巨大防潮堤」です。

 ツケは結局、事業の大幅な遅れとなってあらわれ、国に「期限延長」を求めたわけですが、関心事はもっぱら「予算確保」にあり、住民合意への打開策は示されていません。「指定廃棄物最終処分場」では、環境省が選定した県内三ヶ所の地元はこぞって反対しています。政府と県に政策転換をせまっていくことが必要です。


<被災者たちを追い込む政府の福島復興政策>


 政府・自民党が示した「福島復興政策」の中心は「早期帰還」であり、そのための除染等の「基準引き下げ」です。被災地は上から線引きをされ、被災者たちはふるいにかけられる。そのような理不尽を許してはなりません。

 政府は被災者たちが多様な境遇の中からしぼりだす選択、あるいは選択できない現実を認めなければなりません。そのなかから、たとえば「戻る権利」と「戻らない権利」を等しく認め、「住民票の二重登録」など被災者たちが求める行政措置を長期にわたって実施すべきです。

 宮城全労協は福島への視察ツアーを全国に呼びかけ、実施してきました。また、不当・違法な除染労働強要への抗議と改善要求を福島の労働組合の皆さんと連携して取り組んできました。東京五輪が近づくにつれ、労働実態のいっそうの悪化が懸念され、今後いっそうの闘いが求められます。

 東京五輪が大震災被災地を利用して進められています。それでなくても悲鳴を上げている多くの被災自治体が「受け入れ競争」に駆り立てられようとしています。とくに産業政策など「福島の復興」が東京五輪の宣伝材料となっています。「汚染水はコントロールされている」という首相発言は「国際公約」だとされていますが、その後、首相からまともな説明はありません。誘致した都知事は辞職し、新知事は「見直し」を表明するありさまです。イメージアップのために再び「復興」を持ち出すことは認められません。


<安倍政権と対決する労働運動をめざして>


 宮城全労協は大震災からの復旧・復興と同時に、労働法制改悪や「成長戦略」に反対して一年間の活動を進めてきました。

 労働相談の粘り強い活動が続けられています。宮城合同労組は、職場では団結どころか労働者の交流もない、多くの労働者が「うつ」に追い込まれているなど、震災以降の深刻な状況を指摘しています。

 安倍首相は連合や経団連が発表する賃上げなどの数値を好んで引用しますが、それらは決して「総労働」を意味しないし、労働者個々の現実をとらえているものでもありません。「好循環論」は労働者の要求とは異質のものです。その結果、二年目の安倍政権は「最低賃金の引き上げ」に関心を示していません。「最低賃金大幅引き上げ」の声をあげることが重要です。

 集団的自衛権見直しの閣議決定、「成長戦略」やTPP、社会保障制度の改悪など、安倍政権の反動政策が続いています。連合メーデーに安倍首相が登場して「アベノミクス」を誇り、原発再稼動と輸出を推進する労働組合が地域で大きな影響力を持つなど、労働運動は深刻な状況にあります。<いまこそ労働運動の役割が問われている>という声を受けとめ、安倍政権と対決する運動構築をめざしていきます(2014年7月13日・記)。


■以上/宮城全労協ニュース270号(2014年9月3日)