宮城全労協ニュース/第273号(電子版)/2014年10月26日

被災地を利用した合同軍事演習
「オスプレイ」飛来に反対!



「みちのくアラート2014」が11月6日から実施されようとしている。訓練には米軍とオーストラリア軍が参加する。防災訓練と称しつつ、実態は合同軍事演習である。被災地住民に困惑と不安が広がっている。

 これは宮城県および被災市町が主催する防災訓練ではない。「みちのくアラート」は陸上自衛隊東北方面隊による「震災対処訓練」である(当初は、遠くない時期に確実に発生すると予測されていた宮城県沖地震を想定した)。県や自治体はどのように関わるのか、その判断には県民、住民に対する「説明責任」が要求される。

 しかし、県は演習への参加を既定の方針とし、県民に情報を公開し、内容を説明しようとはしてこなかった。しかも米軍の「オスプレイ」が沖縄から飛来して演習に参加する。県民不在、住民不在は明らかだ。

 10月19日、和歌山市が主催した「津波災害対応実践訓練」にオスプレイが参加し、市街地を飛行して住民たちからの抗議にあった。自治体主催の防災訓練にオスプレイが参加するのは初めてだという。宮城では、自治体主催ではない防災訓練に「オスプレイ」が参加しようとしている。防災訓練を口実として、オスプレイの全国化がなし崩し的に進められようとしている。

 演習開始日の前日、11月5日は東日本大震災を契機に定められた「津波防災の日」にあたる。この日、仙台市内で政府主催のシンポジウムが開催される。偶然だろうか。「みちのくアラート2014」は、一連の防災行事としてイメージされるように設定されたのではないか。宮城県は答える必要がある。


 直近の定例記者会見(10月20日)で「垂直離着陸輸送機オスプレイの防災訓練参加について」知事や県当局は次のように述べている(やりとりのすべては宮城県のホームページで確認していただきたい)。


■村井知事
 これはあくまでも大きな大規模災害があったときのための訓練でございまして、宮城県も自治体もこぞって喜んで参加させていただくという訓練でございます。オスプレイを人命救助等のために活用するという目的で訓練に参加をされるわけでございますので、有意義な訓練になればと思っております。

<安全性について不安視される声もあるが・・>

■村井知事
 物理の法則に反して空を飛んでいるわけですから、オスプレイに限らず空を飛んでいるものは、どんなものでも当然危険性というものはついてくると思います。最近、オスプレイに関する事故というものが報道されなくなりました。頻繁にフライトしているようでありますけれども、それだけ整備技術等も上がってきているのではないかと私は思っております。

<先週共産党議員が飛行ルートを尋ねた際に、まだ分からないということだったが、飛行ルートについては現時点では確認しているか>

■危機対策課
 明確には出てはいませんけれども、危険のないところで、ここ(霞目駐屯地)でしたら海側から来るのだとは思っています。ただ、明確には分かりません。


 知事の発言は8月の記者会見(下掲資料参照)に比しても大きく後退している。県民の疑問や不安に対応しようという姿勢は見られず、まさに県民不在、住民不在である(2014年10月25日)。




<資料/2014年10月22日/宮城全労協>


「防災訓練」に名を借りた合同軍事演習=「みちのくALERT」および「オスプレイ」参加に抗議し、中止を求める申し入れ



 自衛隊と米軍・オーストラリア軍による共同訓練(「みちのくALERT2014」)が「震災対処訓練」として実施されようとしています。訓練には「東北6県51市町村33機関」が参加すると告知されています(東北方面総監部広報室)が、自治体から住民への説明はまったく不十分です。「33機関」とは何か、これも県民は知らされていません。

 訓練は宮城県が主催する防災訓練ではありません。知事は「県も自治体もこぞって喜んで参加させていただく訓練」だと述べています(10月20日)が、防衛省の県に対する押し付けではないのか。県民不在の軍事訓練ではないのか。経緯はきわめて不透明です。

 しかも訓練には米軍機「オスプレイ」が沖縄から飛来します。沖縄県民が反対する「オスプレイ」が被災地の訓練に参加する。そのような震災訓練を県民は了承していません。
 
 霞目飛行場周辺の市街地には学校をはじめ公共施設が密集しています。「県民は安全性に非常に疑問をもっている」と指摘した村井知事は、どのような責任と方針をもって「オスプレイ」を受けいれたのか。県民への「説明責任」は果たされていません。

 10月19日には和歌山県が主催した巨大地震と津波に対する防災訓練に「オスプレイ」が参加し、市街地を飛びました。和歌山に続く被災地・宮城でのオスプレイ参加は「オスプレイ」の全国展開に道を開くものではありませんか。


 私たちは訓練計画に抗議するとともに、宮城県の対応に疑義を表明し、中止を求めます。



1.県民不在の不透明な経緯


 県知事は定例記者会見(8月4日)で次のように答えました。

「防衛省から連絡があり私も承知しました。目的ははっきりしております。県民はオスプレイ自体の安全性に非常に疑問を感じておられますので、安全にはくれぐれも留意をし、また、飛行する際にはいざというときの対応ができるような飛行経路等を選定しながら、しっかりと目的を達成していただきたいと思っております。」

 知事は「反対するものではない」と答える一方で、「防衛省から知事に、参加する方向で調整を進めているという連絡」はいつごろだったかと問われ、「おぼろげな記憶しかない」と即答を避けました(「大要について内容を把握したのは7月22日」と文面で回答)。

「宮城でオスプレイ飛行か」と河北新報が報じたのは7月30日でした。翌日、陸上幕僚長は記者会見で「オスプレイ参加の方向で米軍と調整している」と述べ、それに呼応するように「米豪軍と自衛隊が共同で防災訓練に取り組むことは大変意義がある。オスプレイを使う場合は万全な安全確保対策に加え、十分な情報提供と説明が必要だ」との知事の談話が紹介されています(河北新報8月1日)。

 さらに8月2日、小野寺防衛大臣(当時)は仙台で講演、オスプレイ参加が検討されていることを明らかにしました。


 その後、詳細は県民に明らかにされないままの状況が続きました。「オスプレイ気仙沼・大島へ/11月、大規模災害訓練参加」と報じられたのは9月27日でした。

「オスプレイは11月8日、気仙沼市が大島を主会場に実施する津波総合防災訓練に参加し(中略)機体の特徴を生かし、患者搬送や救援物資の輸送訓練を行う。」訓練の内容について陸上自衛隊は「地元などと調整中なので現段階では内容を公表できない」とし、また気仙沼市長も「米軍が活躍した場所なので防衛省から訓練の候補地に入ったと聞いているが、正式な連絡はない」と述べています(河北新報)。

 東北方面総監部広報室が「概要」を公表したのは10月7日のことです。それ以降も今日まで、県民はわずかにマスコミ報道で知るのみです。こうして、きわめて不透明な経緯が続き、訓練は目前に迫っています。

 仙台ではオスプレイ飛来先とされる霞目飛行場周辺をはじめ、住民の不安が高まっています。気仙沼をはじめ関係自治体の困惑が広がっていることも明らかです。


 知事は10月20日の定例記者会見で「オスプレイ参加」について問われ、「物理の法則に反して空を飛んでいる」わけだから、オスプレイに限らず「当然危険性というものはついてくる」と述べています。また「最近、オスプレイに関する事故というものが報道されなく」なった、「それだけ整備技術等も上がってきているのではないか」とも述べています。

県の危機対策課はオスプレイの飛行ルートについて「明確には分からない」と答えています。県民、住民の疑問と不安に向き合う姿勢はどこにあるのか、きわめて問題です。



2.「災害訓練」に名を借りた日米豪の合同軍事演習


 東北方面総監部公報室は、訓練の目的は「東北方面隊の震災対処能力の向上を図るとともに、自衛隊と米軍及び豪州軍との連携要領確立の資を獲得する」ことにあると発表しています。「マグニチュード9級の大地震と大津波」つまり、3.11の再来を想定した「震災対処訓練」という設定ではあるが、合同軍事訓練だということは明らかです。

 日米豪は東アジア・太平洋地域での軍事的な協力関係を強めています。オーストラリア軍は米国が主導する軍事作戦に参加し、イラクでの空爆を実行しました。 

 安倍政権は憲法解釈を変更し「集団的自衛権」行使を容認する閣議決定を行いました。国民的な反対の声が巻き起こっている中で、「震災対処」と称して合同軍事演習を展開するのは被災地の政治利用にほかなりません。

 そのような訓練を宮城県をはじめ被災地自治体が容認し、まして住民に対する説明責任を果たすことなく参加することは認められません。



3.「オスプレイ」に沖縄県民は反対している


 村井知事は記者会見のなかでオスプレイの「安全性」に言及しています。「県民はオスプレイ自体の安全性に非常に疑問を感じておられます」という知事が県民の立場に立つなら、オスプレイ参加は自治体として認められない、となるはずです。

 そもそも沖縄では2012年9月に「オスプレイ配備に反対する県民大会」が開催されました。日米両政府は10月、これに反して配備を強行しました。度重なる抗議を無視され続けた沖縄は2013年1月、「上京」して「建白書」を安倍総理大臣に突きつけました。県議会、市町村議会などの連名による文書には「オスプレイ配備計画の撤回、米軍普天間基地の閉鎖・撤去と県内移設の断念」が記されています。

 そのような「オスプレイ」の参加を「災害訓練」として宮城県が認めるのか。だとすれば、沖縄県民が東日本大震災に対して寄せた心情を裏切るものであり、被災自治体にあるまじき行為として沖縄県民の失望を買うに違いありません。



4.被災地から自然災害への国際的な救援・支援の活動を


 仙台市は来春、国連の国際防災会議を主催し、宮城県もそれを支援する立場にあります。そこで「オスプレイ参加」を災害訓練の成果だと報告するのでしょうか。まっとうな国際感覚があるなら、そうはならないはずです。東アジアからの観光客の誘致や地元産品の輸出をめざしている宮城県が、日米豪の共同軍事訓練に「参加」することはおかしな話です。

 東アジア・太平洋地域では人々が多様な暮らしを営んでいます。その広大な地帯で、大陸も海洋も、地震や津波や気象災害に直面しつづけています。東日本大震災は、日本はその一部であることを突き付けました。救援・支援と連帯の活動が、地域一帯の人々によって作り出されていかねばなりません。そこで日本は何をすべきかが問われています。

 日本政府が東日本大震災において行ったのは「トモダチ作戦」の強調でした。日米同盟を持ち上げたことにより、世界中からの支援・連帯の印象は薄められました。

 女川の水産加工場で実際に行われたことは皆が知っていることです。この行為は海外でも大きく支持され、震災数ヶ月後の中国と韓国の首脳訪問につながりました。同じような行為、人間としての行為は、被災地の様々な場で被災者たちが実感したことです。

 中国や韓国と日本との関係は現在、極度に悪化していますが、この不幸な現状を変えるために尽力することが宮城県に求められています。オスプレイ飛来の容認は「トモダチ作戦」の延長にすぎません。宮城県は被災県として、日米基軸による軍事同盟への同調を排し、大陸アジアと太平洋をつなぐ平和主義の外交立県をめざすべきです。そのことが福島をはじめ東北の未来に資すると考えます。


 宮城県に深慮を要請し、共同軍事訓練計画への抗議と中止を求める申し入れとします。


(付記)経済産業省・資源エネルギー庁は10月14日、「陸上自衛隊の「方面隊震災対処訓練」と「津波防災の日」訓練の一環として合同訓練を(11月7日に)実施」すると発表しました。「危機時の石油輸送協力体制を強化」するための今年二度目の合同訓練であり、参加する県内の民間石油輸送事業所が指定されています。しかし、この経産省文書には県も被災自治体も登場していません。(以上、宮城全労協/2014年10月22日)



■以上/宮城全労協ニュース273号(2014年10月26日)