「指定廃棄物最終処分場」〜
緊迫する県内候補地を訪れる
宮城全労協は11月1日、福島第一原発事故により発生した「指定廃棄物」の「最終処分場」に指定された3カ所のうち2カ所を訪れ、建設に反対する地元及び周辺住民の説明を受けた。
環境省は10月24日から三回にわたってボーリング調査を実施しようとしたが、加美町住民の抗議によって調査強行を断念した。現時点で、栗原市と大和町の二カ所の候補地をふくめて調査は実施されていない。環境省は加美町に対して「住民説明会」の開催を提案している。
この事態に対して宮城県知事は11月4日、加美町の抗議を「違法行為」だと批判する一方、「(住民説明会は方針変更であり、環境省から説明もなく)戸惑っている」「環境省は責任をもって調査を年内に終えてほしい」と述べた。
「指定廃棄物を保管している市町村からは、一日も早く最終処分場をつくってほしいという声も上がっている。反対も重要だが、処分が遅れることがあってはならない」(定例記者会見、NHK仙台報道)。
地元紙などは「反対派に苦言」と表現して報道しており、ここに県知事の立ち位置が示されている。住民はともに、原発推進の国策と事故の当事者である東京電力の被害者である。住民間の対立を作り出すのは電力資本であり環境省の側だ。宮城県知事は抗議する先が間違っている。
候補地訪問に参加した電通労組組合員の報告を掲載する。
●「指定廃棄物最終処分場」建設反対!
〜候補地の加美町と大和町を訪れて
11月1日、福島第一原発事故で発生した「指定廃棄物」の「最終処分場」候補地にされている県内3カ所のうち、加美町田代岳と大和町下原地区の現地視察会が宮城全労協の主催で行われました。「ふるかわ平和のつどい」のSさんの案内で総勢17名が参加しました。
<宮城県加美町「田代岳」現地を視る>
*写真
◇雨の中の現地視察
◇晴れた日の田代岳山頂部分(採石のために上部から掘り出され「中空」になっている)
◇付近に水源であることを示す表示板
あいにくの雨の中、加美町宮崎支所に集合。「現地は環境省の一方的なボーリング調査に対して町民、住民が調査阻止行動を展開しており、緊張していること」「環境省など調査強行派の動きもあること」など簡単な状況説明を受け、「指定廃棄物最終処分場建設絶対反対」と書かれたプラカード(Sさんいわく:田代岳への「通行証」)が配られ、反対であることを表明して現地に向かいました。
現地は、雨とガスでほとんど現場の状況が見えませんでした。田代岳(もともと箕輪岳と呼んでいたが、環境省が指定した時からこの一帯を田代岳と呼ぶようになったそうです。)は、加美町と鳴子町(大崎市)の分水嶺であり、ここに降った雨は、加美町の田川に流れ下り、二ツ石ダムに流入していき、鳴子側には岩堂沢ダム(*写真)があり、文字通りこの地域の水源に流れ込むそうです。
田代岳は、山形県最上町との分水嶺でもあり、宮城県に40%、最上町に60%が流れ出るそうです。その意味でも、ここへの建設は、加美町のみならず、最上町、大崎市鳴子地区の生活に大きな影響を及ぼすことは明らかですが、両地区とも見て見ぬふりという状況であるようです。
田代岳の山頂部分は、二ツ石ダム建設のために切り出され、四方を20m以上の法面状態に削られています。土質はもろく、候補予定地の「広場」になっている部分には崩れ落ちてきた岩石がごろごろしていました。また、風は強く、立ち木は一つもなく、わずかに生えている草木は一方向に押された形で立っていました。このようなところになぜ処分場を建設するのか、素人のわれわれでも無理だと感じる場所です。
一方、ダム建設の土石を運び出すために作られた山頂までの舗装道路、土石を切り出した跡地のスペースが廃棄物置場としてすぐ使えるなど「(環境省の側からの)利便性」が指摘されており、この間の環境省や宮城県の動きからは、田代岳が当初から第一候補で大和町と栗原市の候補地は「当て馬」であるかの印象を受けます。
10月8日、詳細調査のための事前調査が加美町への通知なしで実施され、さらには環境省は東京から20数名を動員して「建設は安全である」とした冊子を加美町全世帯8千戸に配布しました(これも加美町には通知なし)。加美町民は、住民の意向を尊重して進めるとした環境省の発言が詭弁であることに憤りを持ち、ボーリング調査阻止行動を展開しているのです。
加美町での阻止行動は、大和、栗原市での調査も実施させないでいます。環境省は加美町に対して「住民説明会」を開催して理解を求めるとしていますが、建設を前提とする説明会は糾弾の場になるでしょう。いずれにしても11月初旬が山場になると思います。全県の力で加美町の闘いを支えていくことが求められています。
*写真/10月25日(報告者提供)
◇調査に入ろうとする環境省職員たち
◇田代岳周辺から二ツ石ダムが見える(上方が仙台方面/ダムの背景は小野田町の薬莱山と船形山系)
<王城寺原実弾演習場に隣接する処分場候補地・大和町下原地区>
田代岳に続いて、雨に濡れる紅葉した樹海林を見ながら、大和町下原地区へ向かいました。この升沢、下原地区は、陸上自衛隊王城寺原演習場の拡大のため15年前50軒ほどあった住民が集団移転を強制された場所です。防衛施設局が買い取ったのは宅地と田んぼだけで、畑や山林は残されたままだそうです。いたるところに防衛施設局の土地であることを示す立て看板が立っていました(*写真下)。
この地区は、王城寺原演習場の誤射、誤弾事故があったところでもあり、このような危険と隣接する場所を候補地に指定すること自体、疑問を持たざるをえません。船形山へ向かう道路には「建設反対」の幟旗がたくさん立っていました。
下原地区視察後、吉田地区にある蕎麦屋さんで昼食をとりながら大和町の反対運動についてお話しを伺いました。この店は以前、升沢地区にあったのですが、集団移転でこの地に来たそうです。用地買収の対象にならなかった下原地区の自分所有の土地に作業小屋を建てて、仕事をしているそうですが、防衛施設局が来て「作業小屋をなんとかしてほしい」と言ってきており、「自分の土地に何を建てようが関係ない」と拒否したので、それを退けるために「処分場を下原に持ってこようとしているのではないか」と語っていました。
大和町は反対運動が他の二市町と比べると遅れていますが、旧升沢、下原地区に住んでいた人々を中心に、これから運動を拡げていこうとしています。
雪が降る前に詳細調査を終了したいとする環境省の動きもあり、今後の動きを注視して建設を許さない3候補地の住民の運動を支えることが求められていることを実感しました。
(電通労組H.M/11月3日)
■以上/宮城全労協ニュース274号(2014年11月6日)