宮城全労協ニュース/第297号(電子版)/2016年6月21日

「改憲隠し」許すな!
「3分の2」を阻止しよう!




 争点は経済だ、アベノミクスだと安倍政権は主張している。憲法改悪を争点から外し、論点を拡散させ「野党共闘」の集中力をそごうとしている。

 選挙が近づくにつれ、首相は改憲トーンを下げてきた。「(改憲は)自民党結党の精神だ。選挙で争点とすることは必ずしも必要がない」と説明してきた。

 しかし本心は隠しようがない。首相は6月19日、ネットでの党首討論の場で改憲への具体的な手続きに言及した。参院選の結果を踏まえ、秋から個別的な条文の議論を開始する、両院の憲法審査会を再開させると明言した。そこまで言いながら選挙の争点にはならないというのだ。

 マスコミは「建設的な議論」を求め、野党にも責任があると主張する。では「経済」論争はどうか。首相はアベノミクスの成功例として都合のよい数字をあげる。「恩恵は一部」「格差や貧困が拡大」という批判に対しては、アベノミクスをいっそう推進するという。これで議論する姿勢と言えるか。

 「一億総活躍」や「働き方改革」などのアドバルーンが揚げられる。6月2日、経済財政運営と改革の基本方針や規制改革など重要案件が閣議決定された。しかし、方針は秋以降になる。社会保障の切り捨てを求める財界などの声が強まっているが、政権側は具体的な内容には踏み込もうとしない。これも選挙後だ。

 安倍政権は沖縄県民の声に応えようとはしない。甘利大臣など「政治とカネ」や五輪疑惑なども議論しようとしない。「争点は国民がつくるものだ」と弁明しつつ、巧みな「争点誘導」が政権によってなされている。それこそ「安倍政治」だ。



前回総選挙に続いて「消費税率引き上げの再延期」


 安倍首相は通常国会閉会にあたって記者会見し、消費税率引き上げを30カ月、再延期すると表明した。

 「(再延期は)これまでの約束とは異なる新しい判断だ」「国政選挙である参院選を通して国民の信を問いたい」「目指すのは連立与党で改選議席の過半数の獲得である」(6月1日)

 国民多数は10%消費増税に反対している。この点で信を求めるというのだ。公約違反の首相は退陣すべきが筋だが、これを「政局」に変え、選挙へのアピールとした。前回2014年末と同じだ。

 麻生財務大臣と谷垣幹事長は再延長に反対したと報道された。財界からも公約どおり実施の意見が出ていた。さすがに再延期の理屈付けに腐心したのだろう。会見は長時間に及び、発言内容には繰り返しも多かった。

 「アベノミクスは順調に結果を出している」、しかし「世界経済は、この一年余りの間に想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増している」。「内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきであると判断した」。

 「アベノミクスのエンジンを最大限に吹かさなければならない」「もう一度、国民の皆様方の力が必要だ」と支持を訴えて首相の冒頭発言は終わった。その後の記者たちの質問は、同日選挙回避の説明をはじめ、首相に追加答弁の時間を与えるようなものだった。

 経済が第一と言いながら、選挙で勝利すれば集団的自衛権であり安保法制だった。今度は「安倍改憲」だ。それが安倍政権のねらいだ。



なりふりかまわぬ安倍首相、G7の「スタンドプレー」


 前回の延期に際して、条件なしの再引き上げが公約だった。やがて首相は前言を平然と変化させ、「東日本大震災かリーマン・ショック級の危機」が起きない限りという条件をつけた。それじたいがすでに公約違反だった。

 熊本地震に関しては相当しないと本人が認めた。「リーマン・ショック」カードが残された。首相は世界経済の危機をサミット首脳にアピールした。安倍首相の事情につきあわされた各国首脳はうんざりだっただろう。異論も出された。

 「G7のリーダーたちと伊勢志摩サミットで率直に話し合った。その結果、新たに危機に陥ることを回避するため、適宜にすべての政策対応を行うことで合意し、首脳宣言に明記された」(首相記者会見6月1日)。これは、何も有効な解決策は見出せなかったということだ。日本が主導しようとした景気対策のための財政出動は、合意されなかった。

 しかも国際会議に配布された資料は、財務省を無視して経産省が作成したものだという。内外の反響を前に、首相は党内会議で「リーマン」発言を否定したと報じられた。官房副長官も同調して火消しに走った。さながら「官邸スキャンダル」だ。

 そこまでしてこだわったのは、消費税率引上げの再延期を逆手にとって選挙に勝利するというシナリオのためだ。首相はなりふりかまわずサミットを利用した。



改憲派「3分の2」を阻止しよう!


 「大震災と原発」の困難に直面し続けている東北。「アベノミクスの恩恵は届かない」という声にあふれ、TPPは地域を崩壊させると反発が広がっている。

 安倍首相は記者会見後の2週間で6県を回った。異例の「公示前の東北行脚」だと話題になった。街頭に立った首相は「野党共闘」を激しく攻撃した。

 報道各社の調査は共通した傾向を示している。6・1記者会見など安倍首相の説明は納得できない。アベノミクスには期待できない。原発再稼動や安倍改憲には賛成できない。これらの意見が多数だ。しかし、内閣支持率は堅調であり、予定投票先では自民党が群を抜いている。

 焦点は「3分の2」だ。「安倍改憲」を推進する参議院議員が「3分の2」超か、「安倍改憲」を阻止しようとする参議院議員が3分の1超か。これが当面の日本政治の流れを大きく左右することになる。

 「安倍改憲」推進議員が両院で「3分の2」を超えるとき、どのような政治権力になるか。マスコミの一部を含め、これを歓迎する動きが社会にある。これが現実だ。「安倍政治」の横行は欧米で進行している事態と無縁ではない。

 「立憲主義」を求めて「野党は共闘!」の運動が登場した意味があらためて問われている。


 
 「改憲派3分の2」を阻止しよう!
 「安倍政治」を倒そう!
 連帯・連携を広げ、地域・職場で訴えよう!


■以上/宮城全労協ニュース297号(2016年6月21日)