G7仙台会議に抗議
「勝手に決めるな!」
5月20日から21日、仙台市内でG7財務大臣・中央銀行総裁会議が開催された。26日から始まる「伊勢志摩サミット」の事前会合が全国各地で開かれたが、なかでも仙台会議は日本政府の経済政策が提起される場として注目された。
景気刺激のための財政出動をG7合意とする。そのような日本政府のもくろみは成功しなかった。(首脳会合で首相は「リーマン危機前」持ち出したが、統一見解とすることはできずに、その後、発言自体がうやむやになった。)
地元政財界は震災復興をアピールする場と位置づけて準備した。この点でも期待した成果は上がらなかった。「空振り」との報道もあった。たとえば、大臣らが英語でスピーチした記者会見の参加者は、日本人報道陣が大多数を占めていた。被災に関連付けた企画への海外参加者は少数だった。
そのようななかで抗議の声があげられた。
電通労組・組合員からの報告を掲載する(写真は街頭アピールの後に開催された講演会)。
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G7財務相・中央銀行総裁会議に抗議
仙台市長が会長となり「2016年G7財務相・中央銀行総裁会議推進協力委員会」が設立され、官民一体で歓迎ムードが演出されてきた。G7会合の受け入れは、仙台市のグレードアップにとって、また観光産業などへの波及効果においても重要だと説明された。
その一方で「テロ対策」として「大規模警備」が敷かれた。全国から警察官が最大2800人動員され、検問や交通規制を行い、駅内のコインロッカーやごみ箱は封鎖。JR仙台駅では伊勢志摩サミットが終了するまで、この状態を続けたという。
G7とは何か!
各国国内の民主主義的な手続きや合意、国際的な国境を越えた民衆相互の討議の機会も与えずに、七カ国だけのトップダウンで意思決定しようとするG7サミット。グローバル資本主義の危機に対応する利害調整の装置でしかないものを権威づけ、その決定を国際ルールかのように発展途上国に強制する。
このような重要なことに対して、七カ国首脳にフリーハンドを与えることに私たちは賛同できない。
こうして「民衆の声も聴かずに世界のことを勝手に決めるな!」と「G7サミット財務大臣・中央銀行総裁会議に異議あり!実行委員会」が立ち上がった。私たちは宮城全労協傘下の労働組合とともに、G7サミットに異議ありの声を上げてきた。
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何の解決策もないままに
<官民一体で歓迎し、震災における支援の感謝、東北の魅力を世界に発信して「投資促進」など東北のさらなる発展につなげていく>
それが「主催者」側の意図として強調されたことであった。
会議の合間には、震災からの復興状況を見てもらおうと被災地視察も計画された。それは5年を経過しても遅々として進まない復興の現状を、さらなる「惨事便乗型復興」として加速させるための宣伝に使われた。しかし、現実はどうであったか。
財務大臣・中央銀行総裁会議前日のレセプションで、高木復興相は福島第一原発事故に触れ、「福島の原発災害はコントロールされている。他の地域と変わらないところまで復興した」とあいさつしていた。
「財政出動の協調、見送り」「通貨安競争回避で一致」「(タックスヘイブンについては)各国が課税逃れに対して結束して監視」と各紙は報じていたが、何か解決したのか。初めから協調できないことを出し合っただけに過ぎず、なんの解決策にもならないまま閉幕したのだった。
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企業が一番活動しやすい国とは〜街頭でアピール
実行委員会は会議当日の20日夕方、仙台市内の街頭で、首都圏から参加したATTAC―japanの仲間たちとともにG7サミットに異議あり!とアピールした。
それぞれが思いを語り、市民に訴えた。いくつかを紹介する。
「1%の富裕層と99%の貧困」を日々作り出しているグローバル経済!
安倍政権はアベノミクスなる経済政策を掲げ、「世界で一番企業が活躍できる国」にすると発言してきたが、企業が一番活躍できる国とは「労働者や市民が一番生活しづらい国」である。
テロ対策として「大規模警備」が敷かれている。テロの要因にもG7サミット体制が作り出した不安定雇用と貧困の拡大がある。
財務相・中央銀行総裁会議では、安倍政権がすすめる金融緩和政策に対して、構造改革など「緊縮政策」を進めるドイツ、フランス、アメリカから安易な「通貨安競争」をしないようにけん制され、政策協調の同意はなされなかった。
「パナマ文書」に対しても、適正な対処が必要であり論議するとしているが、「タックス・ヘイブン」は新自由主義グローバル経済の中の一部の機能であり、グローバル経済を推進するG7サミット体制に組み込まれている。「タックスヘイブン」に対してG7で根本的な解決をうちだすことなどできるわけがない。
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講演会を開催〜国益に基づく覇権システムに抗して
街頭アピール後、G7サミットを考える講演会を開催した。講師は小倉利丸さん。
小倉さんは「何が起きているのか、世界の動きを考えてみよう」と講演を始めた。
サミットは、先進国の「国益」に基づく覇権システムだ。国連に影響力を行使し、第三世界と「社会主義圏」に対抗して主導権を確保することが目的だった。
国際経済的には、IMF、WB、WTOによる世界市場支配を通して、第三世界への経済支配を確立するためにあったが、冷戦終了後の中国やロシアの動向、反グローバリゼーション運動やオキュパイ運動、移民や難民たちの新しい流れと運動の台頭がG7の相対的な影響力低下を進めてきた。
2016年のG7サミット(日本開催)の「意義」について、「戦争法下の最初のサミットである」ことを強調。軍事安全保障における日本の役割の質的な転換がありうるサミットになると話した。
貧困と格差について。その対策としてG7は、分配の公正や所得の再分配については語るが、資本主義の搾取の構造に手を付けない。たとえば、労働市場の売れ残りが失業だが、失業者がいないと労働市場は成立しない。失業は資本主義経済のなかでは必然的問題だ(小倉さんは労働組合の役割が問われていると指摘した)。
勝手に決めて他国に強引に押し付けるG7サミット体制ではなく、国際機関で決め、実権を持たせるメカニズムが必要だ。各国の「議会制民主主義」を迂回して決めるサミット体制を認めてはいけない。日本の選択はサミットから離脱すること、サミットを解体することだ。このようにまとめ、講演を終えた。
(報告/電通労組;H)
■以上/宮城全労協ニュース298号(2016年7月8日)