福島に全国から5700名!
胸を打つ被災者たちとの再会
3月18日、郡山で「2017原発のない福島を!県民大集会」が開催され、全国から5700名が集まりました(写真)。電通労組組合員からの報告です。また「集会アピール」を資料として掲載します。
●
「困難の直視」こそが「福島の次」へつながる
「県民大集会」には今年も、全国各地から多くの仲間が駆けつけました。福島県郡山市の開成山陸上競技場は、市民団体や労働団体等の色とりどりの旗に包まれました。
福島原発事故から6年。何一つ問題は解決されていません。今もなお多数の避難者が厳しい生活を強いられています。「事故関連死」が増え続けています。「県民健康調査」による甲状腺検査でも、子供たちの甲状腺がんが増えています。「廃炉」への「行程」も疑問だらけです。
精神科医の香山リカさんが、特別ゲストとして発言しました。被災地から自治体労働者の相談が続いており、精神的な負担の大きさがうかがい知れる。「うつ病になる人も少なくない」。<復興は進んでいる、被曝の影響はそれほどでもない>などと、政府は宣伝しているが、困難な現状こそが明らかにされねばならない。そうでなければ、本当に必要なことが見えてこない、と指摘しました。
福島県内から様々な意見が表明されました。浪江の馬場町長は、町民の6年間の避難生活と思いを語り、原因究明もしないで再稼動を進める国・電力会社の姿勢を厳しく糾弾、「原発のない日本を目指そう」と訴えました。
行進は2コース。出発前、「県内参加者」コースには被害者の方々が「生業を返せ!」の手作りのプラカードを掲げていました。「遠くから来てもらって。どうも」「いつもありがとう」。あれから6年がたったのだと、胸にこみ上げるものがありました。
全労協、市民運動などの「県外参加者」コースを歩き、「原発いらない!」と大きな声で市民にアピールしました。
●
前橋地裁判決を支えよう!
福島県から群馬県に避難した原告などが提起した「損害賠償請求訴訟」で前橋地裁は3月17日、「国と東電に過失」と断罪しました。全面勝訴ではないものの、この国の事情のなかでは画期的な判決です。
判決は次のように指摘しています。
○<予見>国、東電は津波被災を予見できた。原発事故を防げた。
○<賠償>国と東電に、原告への支払いを求める。
○<責任>国は(そのような予見性のなかで)東電を規制しなかった。
○<東電>東電には、経済性を優先させるなど「非難に値する事実」がある。
しかし、裁判所のこの間の対応(逆転判決)を見れば、決して安堵はできません。被災者、福島県民と連帯して、国と東電を追いつめよう。「原発のない福島」という集会の訴え(*資料参照)と連携し、要求を広げていこう。
福島第二原発を廃炉とし、福島県では原子力発電は将来にわたり行わず、福島県を再生可能エネルギーの研究・開発及び自律的な実施拠点とせよ。
放射能によって奪われた福島県の安全・安心を回復し、県民の健康、とりわけ子ども達の健やかな成長を長期にわたって補償せよ。
原発事故に伴う被害への賠償、および被災者の生活再建支援を、国と東京電力の責任において完全に実施せよ。
■
<資料>2017原発のない福島を!/県民大集会アピール
東京電力福島第一原発の大事故から6年の歳月が流れました。全国的には「記憶の風化」が語られていますが、福島県民にとって原子力災害は、「忘れる」いとまもない目の前の日常です。
避難を続けている県民は、減ってきているとは言えまだまだ多く、県内避難が39608人、県外避難が39818人、合計79446人(避難先不明を含む:2月現在)にのぼっています。これほど膨大な長期避難者を生んだ産業公害は、この国に前例がありません。
この3月末を期して飯舘村、浪江町、富岡町、川俣町山木屋地区で帰還困難区域を除き避難指示解除が行われる予定です。ふるさと復興への一歩前進とは言えますが、すでに先行して避難指示が解除された楢葉町や南相馬市小高地区をみると、帰還した住民は高齢者を中心にわずか一割ほどです。将来希望を描こうにもあまりに条件が悪すぎるというのが、被災地域の覆いようもない現実です。
住民の帰還の足を鈍らせている大きな要因が、第一原発の事故現場への不安です。高線量の放射能のためメルトダウンした核燃料の状況把握もままならず、燃料デブリを取り出すことができるかどうか、見通しは立っていません。昨年12月には、驚くべき初歩的な人為ミスから、冷却水の注水と使用済み核燃料プールの冷却が一時ストップするトラブルが起きました。汚染水漏洩を防ぐ切り札ともいえる凍土遮断壁も、期待されただけの効果をあげていません。
地域の除染も困難をはらんでいます。里山の除染が試行的に始まっていますが、除染の範囲を広げれば広げるほど、汚染廃棄物の量はふえていきます。すでに県内には1200万個を超えるフレコンバックが積み上がっています。フレコンバッグの耐用年数は3年から5年です。まだ土地の買収も満足に進んでいない中間貯蔵施設に、一体いつになったら運び込めるというのでしょうか。
県産の食品の安全性をめぐる問題も、生産者や各種協同組合の努力にもかかわらずら、根本的な解決には至らないのが現状です。県産のコメは全量検査の結果、99・995パーセントが検出限界値未満になるところまでこぎ着けましたが、コメの値段は事故前に戻っていません。農林水産物だけではありません。「福島」に対する誤解や歪んだまなざしは、福島県民、そして避難している県民への差別や偏見につながっています。昨年11月以来、避難者家庭の子どもが学校でいじめにあっていた事案がいくつも表面化しました。これらが氷山の一角だという見方に、うなずかざるをえない県民の思いは痛切なものがあります。
子どもたちの将来にかかわって健康被害への心配も続いています。県民健康調査で子どもの甲状腺がんが多く見つかっていることについては、まだ確たる評価は下されていませんが、検査の結果として現に手術を受けた患者さんの体と心の傷は、簡単に癒えるものではないでしょう。また、慢性疾患の増加や「うつ」傾向の広がり、子どもたちの運動能力の低下など、心身の被害は現に広範囲に及んでいます。
第一原発の処理費用の負担問題も重要です。廃炉にかかる費用の試算額は当初の2兆円が8兆円にまで膨張し、除染と賠償を加えれば全体で21.5兆円に達すると予想されています。経済産業省は、その少なからぬ部分を託送料に上乗せして電気料金に転嫁することを提案しています。「償い」である賠償金まで国民に負担させようとは、なんと理不尽なやり方でしょうか。
さて、私たちが声を大にして要求してきた福島第二原発の廃止は実現するのでしょうか。昨年11月22日に発生したやや大きな地震にさいし、第二原発3号機の使用済み燃料プールの冷却機能が一時停止するという、肝の冷える事態が生じました。福島県議会は全会派が一致して意見書をまとめ、あらためて福島第二原発の全基廃炉を強く主張しています。意見書が言うとおり、福島県は「県民の総意として、国へ対して幾度となく廃炉の実現を強く求めて」きましたが、国は「一義的には電気事業者が判断する」ことだという逃げ口上を繰り返すばかりです。しかし東京電力ホールディングスの株式の過半数は、国の設置した「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が保有しています。政府さえその気になれば、廃炉を決めることはすぐにでもできるはずなのです。
第二原発全基廃炉を求める「オール福島」の声に背を向けながら、政府が何をしているかといえば、各地の再稼働の推進です。福島事故後、5基の原発が再稼働しました。もっともそのうち関西電力高浜3・4号機は、地方裁判所の仮処分命令で再停止になっていますが、原子力規制委員会の審査を通過したもの、および審査中のものは全国で20基以上にのぼっています。政府はあくまでも早期原発回帰への執着を捨てず、福島第二原発の廃止を断じて口にしないのも、そのことの表れにほかならないでしょう。第二原発の廃止は決して「自明のこと」ではないといわなければなりません。
福島原発事故と放射能災害は、いまなお継続中です。万単位の住民がふるさとを奪われたまま、公的支援や賠償責任は次第に縮小されようとしています。そうした中で多くの人々が、あるいは「被害者訴訟」に打って出、あるいは「脱原発訴訟」の原告となり、人としての権利を声高く主張しています。これらの裁判は近々、結審あるいは判決の日を迎えることと予想されます。また原発の立地県では、性急な再稼働をよしとない知事も生まれています。事態は決して政府の思い通りに進んでいるわけではありません。
私たち福島県民が全国民の未来のために果たすべき最大の使命は、福島第二原発の廃止です。それは県議会の言うように「県民の総意」であり、政府と東電がこれを受け入れないのは県民の総意を真っ向から踏みにじるものです。立場や利害の違いを乗り越え、力を合わせて、「原発のない福島を!」の声をさらに高くあげていきましょう。
2017年3月18日/2017原発のない福島を!県民大集会
■以上/宮城全労協ニュース307号(2017年4月24日)