(注)電通労組の仲間により8月に書かれたものです(電通労組機関紙「真紅の旗」8月8日号参照)。
被災地での石炭火力発電所建設と運転に地域住民の関心が高まり、各地で学習会や「考える会」などが広がってきました。操業停止を求める住民署名もすでに4万筆を超えています。住民たちの不安を反映して、仙台市をはじめ各議会でも大きな問題となっています。また、仙台港で試運転中の発電所に関して、住民たちが差し止めを求めて提訴することが表明されました。この発電所の経緯については宮城県知事が関与していると指摘されており、県としての責任も問われます。
<石炭火力発電所建設反対!
地球温暖化の元凶・二酸化炭素の削減を!>
全国各地で石炭火力発電所の建設計画が進んでいます。12年以降の建設計画は45基にのぼっており、東北では13基(宮城3基、秋田4基、福島6基)の石炭火力・バイオマス混焼、また2基のバイオマス発電(岩手1基、宮城2基)の計画が進んでいます。既に宮城県仙台では試運転が始まり、石巻では建設が進んでいます。
昨年末、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を世界の147ヶ国が批准し、温室効果ガス排出量削減にむけ取り組むことが「合意」されました。
「温室効果ガス」の元凶とも言える「二酸化炭素」排出量を削減すること。この様な流れに逆行するのが「石炭火力発電所建設」問題です。石炭火力は天然ガス火力に比べ二酸化炭素排出量は「約2倍」と言われており、ヨーロッパ各国では石炭火力を全廃する動きになっています。
日本は、昨年モロッコで開かれた国連気候変動枠組み条約の第22回締約国会議(COP22)で「地球温暖化対策の前進を妨げている国」として不名誉な「化石賞」が贈られました。
●許せない!東北・被災地を食い物にし「目先の利益を追う電力業界」
何故こんな事になっているのでしょうか?
福島第一原発事故以降、安倍内閣はベースロード電源として「高効率火力発電」を推進、2030年電源構成「石炭26%」を決定しました。一方「企業の電力小売り全面自由化」によって多くの企業が発電事業に参入、「コスト競争」のもとで「安価」な燃料として「石炭」を使う石炭火力発電所建設に拍車がかかっている状況です。
関西電力、四国電力、東電等の電力会社や新規参入企業がこぞって東北に石炭火力を建設する理由の第一は、被災地沿岸部の「地価」の安さです。津波危険区域に指定された沿岸地域は一般住宅の建設が「不可」となり、立ち退きを迫られました。その地域を「工業団地」として行政が整備し、様々な特典を付け格安で企業誘致をしています。
第二には、石炭輸送に必要な大型港が近くにある事です。
第三には大都市への送電網に空きがある事、その三点です。傷ついた被災地に石炭火力という「迷惑施設」進出が目白押しの状況になっており、「迷惑施設と環境・健康破壊は被災地」に、「電力の利便性は大都市」に、「利益は企業が懐の中」というとんでもない構図です。まさに震災便乗型ショックドクトリンでしかありません。
この様な国内の動きに対し山本前環境大臣は「(石炭火力から)撤退が相次ぐ世界の流れに逆行しており見識を疑う」と企業・経産省を批判していました。政府の「2030年までに13年度比で排出量を26%削減」の方針には、「この値を世界の目標にすれば今世紀に気温が3〜4度上昇する」と批判が起き、顰蹙をかっています。
●「STOP!石炭火力/脱炭素社会への道を!」
九州豪雨(7月)の要因として「東シナ海中部の海面水温が平年より1〜2度高い」点も注目されています。「1日200ミリ以上の大雨」や「1時間当たり50ミリ以上の強い雨」の年間発生数は最悪の場合、「今世紀末には2倍以上」と気象庁は報告しています。
世界では「化石燃料」事業から撤退する企業や、化石燃料事業を進める企業を「投資対象から除外」する動きも拡がっています。
石炭火力の稼働によって二酸化炭素を始め硫黄酸化物、窒素酸化物、PM2.5、煤塵など様々な物質が大気中に放出されます。大気汚染が拡がり、健康被害が拡大します。
世界中で「地球温暖化」の影響が拡がっています。異常気象、海水温上昇、豪雨、干ばつ、急速な氷河の縮小等など。いま、直面している地球温暖化問題は人類の生存を脅かす最大の問題と言われています。だからこそ急いで対処しなければなりません。
石炭火力は温暖化を加速し危機を深める役割でしかありません。「百害あって一利なし!」の石炭火力建設をストップさせよう!(2017年8月/電通労組・T)
■以上/宮城全労協ニュース312号(2017年9月18日)