宮城全労協ニュース/第314号(電子版)/2017年10月27日
「市民・野党共闘」が奮闘
立憲民主、野党第一党へ!




 衆議院選挙は自民党が現有勢力を確保、公明党とあわせて与党は再び「3分の2」を超えた。都議選から一転、自公選挙ブロックの効果が発揮された。小選挙区制度によって大幅に水増しされた結果でもあった(注1)。

 投票率は前回を上回ったが、過去最低水準にとどまっている。「小池新党」がもたらした困惑が示されている。立憲民主党が結成されていなければ、おそらくもっと低投票率だった。

 「市民・野党共闘」を右から破壊しようとした「希望の党」の策略は成功しなかった。むしろ策略ゆえに「安倍一強打倒」への期待を失い、敗北した。「市民・野党共闘」の闘いは立憲民主党の決起と連動し、野党第一党に押し上げた。その立憲民主党への批判、攻撃がいま、体制側から強まっている。

 安倍首相は疑惑隠しのまま特別国会を乗り切ろうとしている。日米首脳会談に臨み、トランプ挑発外交の共演者であることを世界に発信する。おぞましいゴルフ饗宴を思いとどまらせようとする動きは政府与党になく、多くのマスコミからも批判の報道姿勢は見えない。

 11月3日、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が国会包囲大行動を呼びかけた。各地で連携し、これに続こう。



(以下はニュース前号の続報)


●宮城一区、二区で激戦


 「市民・野党共闘」は参議院選挙と仙台市長選挙で勝利した。総選挙は「宮城方式」の継続が前提だった。前原代表による「希望の党」への合流方針が事態を一変させた。

 一丸になって進むはずの民進党予定候補者たちは、それぞれの決断が迫られた。一区、二区、五区で事実上の「市民・野党共闘」が実現した。

 五区(無所属)で勝利、一区(立憲民主)と二区(無所属)は自民現職との大激戦となった。一区では民進党予定候補者に対立する形で「希望の党」が擁立するなか、立憲民主党候補として闘い、比例区で当選を果たした。

 二区は自民党候補との「一対一」対立となり、大注目の選挙区となった。自民党は安倍首相を先頭に、幹部たちを相次いで投入した。対抗して立憲民主の枝野代表、共産党の志位委員長らがかけつけた。市民運動も力を尽くした。無所属という制約のなかで自民党現職の壁に迫り、1,300票差での惜敗となった。当初の「宮城方式」であれば一区も二区も状況は変わっていたとの声が多い。次期参議院選挙を問う声も出ている。(民進党から「希望の党」に転進した3区、4区の候補者は大きく及ばなかった。)

 
 なお、宮城県知事選挙が同日に投開票された。市民運動の努力によって現職に挑んだ候補者は、告示直前の立候補表明だったにもかかわらず、原発ゼロ、人・食・環境を大切にする宮城など県政の転換を訴え、18万5千票(得票率18.3%)を獲得した。共産党が推薦、社民党が支援した。自主投票となった民進党も一部地方議会議員が支援したという。一区、二区では総選挙候補者と連携して訴えるシーンもあり、注目された。



●「市民・野党共闘」の奮闘



 市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)は10月10日、公示に際しての声明を発した。

 「多くの小選挙区において、立憲三党(日本共産党、立憲民主党、社会民主党)の候補もしくは志を同じくする無所属候補への一本化が実現した」。それぞれの努力や勇気がなければ「暴走する安倍政権に対峙する『意味のある選択肢』を示すことはできなかった」。

 「候補者調整が間に合わなかったところでも互いに切磋琢磨し、比例区においても、立憲三党それぞれが一票でも多く獲得することが、さらなる憲法破壊をくいとめ、尊厳ある暮らしを守るためには不可欠」だと「立憲共闘の健闘」を呼びかけた(全文はネット上に公開されている)。

 時間との競争のなか、各地で「市民・野党共闘」の継続や再生がはかられた。立憲民主党は期待を背負って躍進し、野党第一党の位置を獲得した。

 社民党は沖縄小選挙区を含む現有議席を確保した。共産党は比例区で苦戦したが、沖縄一区での「宝の議席」を守り抜いた。志位委員長は開票当夜、「捲土重来を期したい」と表明しつつ、「立憲民主党が躍進し、市民と野党の共闘勢力全体として議席を大きく増やしたことは、私たちにとっても大きな喜び」と述べた。
 
 地方・地域では「オール沖縄」、「市民・野党共闘」を貫いた新潟、民進党議員がこぞって立憲民主の旗で闘った北海道などが注目された。それらの地域では「共闘」が自民党の勝利をはばんだ。

 さらに、無所属立候補を選択した民進党系現職らの多くが、小選挙区で勝ち抜いた。


 選挙結果について「市民連合」声明は次のように指摘している。

 「立憲民主党が(中略)選択肢となったことで野党第一党となり、立憲主義を守る一応の拠点ができたことは一定の成果と言えるでしょう。この結果については、自党の利益を超えて大局的視野から野党協力を進めた日本共産党の努力を高く評価したいと考えます。社会民主党も野党協力の要としての役割を果たしました。

 そして何よりも、立憲野党の前進を実現するために奮闘してきた全国の市民の皆さんのエネルギーなくして、このような結果はあり得ませんでした。昨夏の参議院選挙につづいて、困難な状況のなかで立憲民主主義を守るための野党共闘の構築に粘り強く取り組んだ市民の皆さんに心からエールを送ります。」(10月23日)



「希望の党」の敗北


 小池代表は「完敗」を宣言し、自分の言動を悔いているとも述べた。結党の中心メンバーだった若狭勝候補は「民進党から希望の党に来る、ほぼすべての人を受け入れ、小池氏の立候補が実現すれば、政権交代が可能になると思っていたが、いずれも満たされなかった」と振り返った(23日)。

 小池代表の発言のたびに期待はしぼみ、<魅力>は一転して<私党>と批判されるはめになった。政策もその場しのぎが目立った。企業内部留保課税や原発政策も、体制側から批判されるたびに揺らいだ。「ユリノミクス」なる経済政策を訴えた候補者はどれほどいたのか。

 敗北した「希望の党」は安倍改憲の「補完勢力」としてからめとられようとしており、諸事情から合流を余儀なくされた民進党議員にとっては、その行動が支持者から厳しく問われることになる。

 一方、民進党側は前原代表も、先行離党した議員たちの弁明も要領を得ない。「想定内」(前原代表)の真意が明らかにされていない。

 小池、前原両代表にとっては皮肉なことに、その政略が「立憲民主党」を生み出す契機となった。「希望の党」は存立そのものが揺らいでいる。再々編が不可避の情勢だ。

 

立憲民主党への攻撃が強まっている

 
 改憲推進派に対抗する旗となった立憲民主党にいま、批判と攻撃が強まっている。

 すでに「過去の人たち」だ、社会党と同じで政権をとれない、などと類だ。そのような政治評論家たちの批判は、立憲民主党が安倍暴政に抗議した人たちの期待に応えたという現実を無視している。2014年以降、運動のなかから巻き起こった「野党は共闘」という要求は、<野党は政権と対峙せよ><そのために野党は選挙で共闘せよ>というものだった。抗議の闘いは人々を動かし、二度にわたって政権支持率を大きく下落させた。

 さらにいま、そのような政治評論家たちの議論をこえて、体制側の攻撃が強まっている。自民党の関心事は「希望」の動向にあったため、「立憲」への注目が遅れたという説も流布されている。

 立憲民主党は草の根の民主主義から生まれた、永田町の政治には染まらないと、枝野代表は強調した。投票した人たちの願いと期待がそこにあり、今後が注目される。



「安倍9条改憲」阻止! 安倍政権を倒そう!


 自民党は前回総選挙とならぶ議席を得た。開票当夜、首相はこんなに勝つとは思わなかったと周囲に述べたという。安倍首相らは抑制したトーンで、丁寧な政権運営を進めるなどと語った。政権幹部に喜びを爆発させる表情はなかった。後ろめたさのひとかけらもあったのか。

 大方の予想は数十議席を失うというものだった。リスクを抱えた「安倍解散」だった。自民党は「小池・前原騒動」を利用しながら争点をねじまげ、「国難突破選挙」に誘導して総力戦を展開した。

 中盤以降、自民党は49の注目区を指定、集中対策を実行したといわれる。(報道各社予測よりも議席が押し上げられたのは、これら小選挙区での接戦勝利が影響しているのだろう。)

 選挙戦直前、内閣府や日銀などの景況判断も好材料となった。経済団体は全面的に安倍政権を支持した。選挙期間中、株価が上昇し続けたことも自民党を後押しした。


 望外の勝利を得た安倍首相と自民党に対して、慎重な政権運営を求める論調が目立つ(*注2)。首相の政権基盤は議席差ほど強くはない。各種の世論調査でも、安倍首相の続投や「9条改憲」への支持が多数を占めてはいない。

 しかし、安倍首相は争点外しの選挙の後、集団的自衛権や安保法制などを強行してきた。今回も改憲は争点から外されたが、安倍首相は選挙後、早くも改憲への前のめり姿勢を見せている。

 自公政権合意(10月23日)でも、公明党代表が言い続けてきた「慎重姿勢」より後退し、「・・憲法改正に向けた国民的議論を深め、合意形成に努める」と踏み込んだ。

 参議院選挙まで国政選挙はない。安倍首相はそれまでに、発議と国民投票に持っていこうとしている。

 「安倍9条改憲」阻止! 安倍政権を倒そう! (10月26日)





(注1)日経新聞の集計(10月24日付)より。

「自民は得票率以上の議席を占有」

 ○小選挙区の絶対得票率 25%
 ○小選挙区の相対得票率 48%
 ○小選挙区の議席占有率 75%
 ○比例含む議席占有率  61%

 「小選挙区では得票率48%で全289議席の75%にあたる218議席を占有し、他党を圧倒。優勢な大政党の議席占有率が得票率に比べて高くなる小選挙区制度の特質が際立った」。小選挙区でのいわゆる「死票」は2656万票で、全体の48%。



(注2)日経新聞社説は「安倍政権を全面承認したのではない」と題し、結語で次のように述べた。『「安倍1強」と呼ばれる強大な権力を何に使うのか。経済を再生し、国民の暮らしを守る。それこそが政治の役割だ。「初の憲法改正」という宿願ばかり追い求め、肝心の原点を置き去りにしてはならない。』(10月23日)

 読売新聞社説は「信任踏まえて政策課題進めよ」と題し、<「驕り」拝して丁寧な政権運営を>がサブタイトルだった。日経新聞と同様、「(選挙結果は)首相全面支持ではない」と見出しをつけた。



■以上/宮城全労協ニュース314号(2017年10月27日)