名護市長選の残念な結果
沖縄県知事選の勝利へ!
名護市長選挙が2月4日、投開票された。自公維新が支援した新人候補が現職の稲嶺候補に勝利。その差は3400票だった(1万6931票/2万389票)。当日有権者は4万8781人。投票率は前回からわずかに上昇した(前回は76.71%、今回76.92%)。
2014年の市長選では逆に4千票の差で、稲嶺候補が勝利した(1万9839票/1万5684票)。
「辺野古の海を切りさくように次々と護岸が造られる中で迎えた選挙である。/「もう止められない」との諦めムードをつくり、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を争点から外し、経済振興を前面に押し出すのが渡具知陣営の一貫した戦術だった」(沖縄タイムス社説/2月5日)
今回、期日前投票が2万1660人と過去最多だった。投票総数の57.7%(有権者の44.4%)という数字は、政権勢力による企業や団体の「組織的動員」が徹底していたことをうかがわせる。
沖縄では今年、地方選挙が続く。緒戦の南城市長選挙(1月21日)では現職を振り切って、翁長県政を支持する候補が当選した。一連の選挙を通して、秋から年末、県知事選挙に至る。
石垣市長選(3月11日)、沖縄市長選(4月22日)/
名護、宜野湾、うるま市など、9月前後に30ほどの市町村議会議員選挙/
那覇市長選(11月15日任期満了)
最後が県知事選挙だ(任期満了は12月9日)。
辺野古新基地建設反対の闘いにとって、また「オール沖縄」と連帯して2019参院選に向かう全国の運動にとって、大きな節目だ。
●安倍政権の露骨な介入
菅官房長官が12月末、沖縄に入った。首相と官房長官が、東京で一時、同時に不在となった。政府が「北朝鮮」をめぐる軍事的危機を喧伝する中でのことだ。政権側にとって、それほどの意味が名護市長選挙にあった。
政権側の焦りがますます、なりふり構わぬ「アメとムチ」に走らせてきた。
18年度の沖縄関連予算(内閣府)の中で、交付金が前年から大きく削減された。露骨で直接的な締め付けだ。
自民、公明、維新によって、現市長を倒す総力戦が敷かれた。前回は支持を明確にしなかった公明党が、新人候補支持を明確にした。国政レベルの判断だと様々な憶測をよんだ。
沖縄の地元二紙に対して激しい攻撃が続いていた。基地反対運動に対してウソとゴマカシの「報道」も流された。安倍政権は、このような言動を批判しないことによって、「反沖縄キャンペーン」を黙認してきた。
安倍政権に対峙する野党は共闘を堅持。告示前日には立憲民主、民進、共産、自由、社民の5党と沖縄社会大衆党の党首らが名護市に結集、共闘をアピールしたが及ばなかった。
●「辺野古の『へ』の字も言わない」/施政方針に反した選挙戦
自民党は陣営に「辺野古の『へ』の字も言わない」ことを徹底させたという。応援に入った大人気の議員も「辺野古」を口にせず、「対立から協調へ」を訴え、若年層への浸透をはかったと報じられている。
安倍首相は1月22日、国会で施政方針を演説した。「外交・安全保障」の中の一項目、「日米同盟の抑止力」の大半は沖縄についての記述だ。「辺野古沖への移設工事を進める」と重ねて明言、「安倍内閣は、米国との信頼関係の下、沖縄の基地負担軽減に一つひとつ結果を出してまいります」と結んでいる。
施政方針は「地方創生」のなかの「観光立国」の項目でも沖縄を特筆している。「日米同盟の抑止力」と「観光」。その一方を象徴する「辺野古」を争点から外した選挙戦に文句も言わず、議員たちが動員される光景は異様だ。
「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」と首相は繰り返す。沖縄で安倍政権が勝利することは、はたして<沖縄に貢献する>ことなのか。自民党にとって、本当に喜ばしいことなのか。そのような疑問や自省が自民党や支持勢力の中から発せられない。これが「安倍一強」の姿だ。
●名護市民の多数が「新基地建設反対」
各社の「出口調査」によれば、勝敗と「辺野古」基地の賛否には大きなズレがある。多数が新基地建設に反対しているからだ。新市長に投票した人たちでさえ、相当数が辺野古基地建設に反対だ(共同通信調査では3割超)。新市長も、そのことを認めている。
「<移設容認の民意が示されたとは思っていない。私(新市長)の支持者にも反対の人がいて複雑な民意だ>。渡具知氏はこう言った。/正直な心情ではないか。選挙中、移設の賛否を明言しなかった渡具知氏の当選が、直ちに移設容認とはならないはずだ。」(毎日新聞社説/2月6日)
自公維新は勝利したが、人々の多数が「辺野古」新基地に反対している。市長が交替しても、この点は変っていない。
ところが安倍首相は喜びを隠さなかったという。「勝てば官軍」なのだ。
「菅義偉官房長官は8日の記者会見で、「選挙は結果がすべて」だと言ってのけた。/2014年に辺野古新基地建設に反対する稲嶺進氏が名護市長選に当選し、翁長雄志氏が県知事選に当選したとき、菅氏は「結果がすべて」などとは一切言わなかった。/そのころ会見のたびに口にしたのは「粛々と(工事を)進める」という対話を軽視した上から目線の言葉である。/市長選、知事選、国政選挙で立て続けに辺野古反対の民意が示されても一顧だにせず、逆に政権与党推薦の候補が勝つと「選挙は結果がすべて」だと言い切る。」(沖縄タイムス社説2月13日)
政権内部から沖縄への不当な発言が続発する。今回も「(事故で)何人死んだのか」などという暴言が飛び出した。米軍事故が相次ぎ、政府はその都度、米軍への申し入れを行ったが、何も改善していない。
さらに政府は、選挙の結果を受け、稲嶺前市長時代に支給されていなかった再編交付金を再開する方向で検討に入ったという。
●7年目の被災地と沖縄
名護市長選の敗北について、多くの意見が表明されている。「本土の闘いの弱さ」を問う指摘も多い。議論を進め、県知事選挙の勝利をめざして、出発しよう。
大震災被災地でも安倍首相は「寄り添う」と言い続けてきた。
首相は就任直後、福島を訪れ、そこで「原発再稼動」方針を明らかにした。安倍流政治の出発点だった。東京五輪誘致演説では、福島原発汚染水が「コントロール」されているとあえて持ち出した。首相にとって「寄り添う」ということは、被災地を「逆利用」することだった。県民が望み要求する福島第二原発の廃炉についても、曖昧な姿勢をとり続けている。
昨年夏、仙台から沖縄を訪れた仲間たちがいた。座り込み抗議する人々、威圧し排除する警備側。「本土」には知らされていない現実を前に「涙がとまらなかった」と語っていた。そのころ沖縄では東京都議選の自民党の大敗に続き、仙台市長選の野党共闘の勝利も話題になっており、座り込んでいた地元の人たちから「仙台はよくやった」と激励されたのだという。
その後、安倍首相による解散総選挙の強行をはさみ、政局は再び、大きく振れた。通常国会が開幕し、春闘の攻防が始まっている。「安倍改憲」阻止、2019年参議院選挙の勝利に向けて進もう。
7年目の被災地から、沖縄との民衆連帯を続けよう。
沖縄県知事選挙に勝利しよう!
■以上/宮城全労協ニュース316号(2018年2月18日)