宮城全労協ニュース/第324号(電子版)/2018年10月3日

玉城デニー候補大勝、県民の意志!
辺野古工事の中止、計画断念を!




 相次ぐ台風に直撃された沖縄での歴史的な県知事選挙戦だった。結果は8万余票の差、過去最多となる39万超の票を獲得した。「命を削って闘った翁長前知事の遺志」を継ぎ、「辺野古新基地建設反対」を貫いた玉城デニー候補の大勝であった。政権からの分断攻撃をはねかえした沖縄民衆の勝利であった。沖縄の勝利はまた、選挙戦に貢献した「野党共闘」に「再生」の命を吹き込むものでもあった。


(なお、ニュース前号「翁長知事を追悼する」を参照してください)


 
●玉城候補の大勝、沖縄県知事選挙で過去最多となる得票


 9月30日夜、南西諸島を通過した台風は加速しつつ「本土」を北上していた。報道が台風に集中する中、NHKが知事選の結果を報じた。開票が進んでいない段階での「当確」だった。

 夕方までの時点で、投票率は前回をかなり下回っていると報道されていた。一方、期日前投票は前回の2倍に達していた。出口調査によれば当日も期日前も玉城候補の優勢が明らかであり、したがって当確だとNHKは手短に伝え、玉城事務所の喜びのシーンを流した。玉城氏のしなやかに流れるカチャーシーの踊りが全国に映し出された。電子版で速報した新聞もあった。


 期日前投票に関しては、国政与党陣営は支持組織・団体などに徹底していると伝えられていた。政府・自民党は官房長官が先頭に立ち、小泉進次郎議員が告示後三回も現地入りするなど総力組織選を展開した。争点は隠された。今春の名護市長選に続いて、いわゆる「勝利の方程式」だったが、大量の議員が「本土」から押し寄せ、「政府が沖縄をつぶしに来ている」という声があがった。「携帯電話使用料の値下げ」をキャッチフレーズにしたり、唐突に小池都知事が応援に入るなど、その脱線ぶりに批判も強まっていったという。

 報道各社の出口調査からも状況がうかがえる。NHKの出口調査(当日分)では自民党支持が33%、支持政党なしが41%。このうち自民党支持の80%が佐喜真候補に投票、支持政党なしでは70%が玉城候補に投票。玉城候補の訴えが「無党派層に浸透し、支持を広げたことが、与党の強力な組織力を上回ったといえる」。<沖縄基地問題に対する政府の進め方>では、評価するが35%、評価しないが65%。<辺野古移設>については容認38%、反対62%。佐喜真候補は移設について「最後まで明らかにせず、とくに無党派層に争点隠しと受け取られたのではないかとの指摘がある」(「時論公論」10月2日)



再び示された沖縄の意志、民意


 地元紙社説は次のように述べている。

「政党の基礎票を単純に積み上げていけば、玉城氏が勝てる要素は乏しかった。組織票で圧倒的に不利だったにもかかわらず勝利したことは、安倍政権の基地政策に対する有権者の「ノー」の意思表示であり、新基地反対の民意が依然として強固なことを示すものだ。」

「現在、県の埋め立て承認撤回によって工事は止まっている。政府は法的な対抗措置を取るのではなく、これを受け入れ、新たな協議の場を設けるべきだ。これ以上、政府の都合で県民同士の分断と対立を深めてはならない。従来のような強硬策では何も解決しない」(沖縄タイムス10月1日社説「玉城氏が圧勝/沖縄から新しい政治を」)


 琉球新報社説(10月1日「新基地反対の民意示した」)は「玉城氏が当選したことで、新基地建設に反対する沖縄県民の強固な意志が改めて鮮明になった。政府は、前回、今回と2度の知事選で明確に示された民意を率直に受け止め、辺野古で進めている建設工事を直ちに中止すべきだ」。

 また選挙戦を通じて「政権の動きに呼応するように、ネット上では玉城氏に対する誹謗中傷やデマが拡散された」と指摘し、「沖縄県知事選で玉城氏ほど、いわれのない多くの罵詈雑言を浴びせられた候補者がかつていただろうか」と強い危惧を表明している。



「主席公選から50年」、地元両紙が言及


「今度の選挙は、1968年の主席公選から50年の節目の選挙である。新知事は在任中に復帰50年を迎える」(沖縄タイムス)。

「戦後米軍統治下にあった沖縄で直接選挙によって住民の代表を選ぶ主席公選が初めて認められたのは1968年のことだ。自治権拡大を求める沖縄住民が勝ち取った権利だった」(琉球新報)。その公選で自民党は「・・有力者を次々と送り込み、保守側の候補を強力に支援した。結果は、革新の屋良朝苗氏が当選している。あれから50年。政府与党は知事選に介入し敗れた」。

 両社説はこのように、奇しくも「50年」の因果に言及している。今回の知事選は沖縄にとって格別の意味がある。ひるがえって「本土」はどうか。何の痛痒も感じていないではないか。

 そのような「50年」の意味を重ねて、玉城候補に投票した人々が多くいたのであろう。それは政府の横暴に対する抗議であるとともに、歴史の重さに思いをはせて沖縄を理解せよという「本土」に対するメッセージであろう。社説は次のように続けている。

「究極の「アメとムチ」政策である米軍再編交付金だけでなく、沖縄関係予算まで基地維持の貢献度に応じてということになれば、沖縄の地方自治は成り立たない」(沖縄タイムス)。「振興策で思い通りになると考えていたとすれば、県民を軽んじた話ではないのか」・・知事選の結果は「政府の言いなりではなく、沖縄のことは沖縄で決める」という強い意志の表れだ(琉球新報)。

 
 両紙は翌日、次のようなタイトルの社説を掲載した。「[玉城氏への期待]持ち味生かし希望語れ」(沖縄タイムス)、「玉城新知事に望む/ノーサイドで課題解決を」(琉球新報)。

 政府への批判、注文とともに、「新時代沖縄」「新しいアプローチ」(沖縄タイムス)への期待が込められている。「民意」を直視して「希望」を共有しようとする謙虚さを、安倍政権は求められている。



次の局面を注視し、沖縄との連帯をさらに広げよう


 政府与党は工事を中止し、政策の見直しに踏み込まねばならない。それが選挙の結果であり、民意だ。しかし、安倍政権は頑迷だ。新しい党と閣僚の人事からは反省と変化は見られない。

「選挙は結果がすべて」と豪語(名護市長選)した官房長官は、大敗の責任に触れもせずに「方針に変わりはない」と素っ気なく応じた。安倍首相は「真摯に受け止め、沖縄の振興、そして基地負担の軽減に努めていく」といつものフレーズを述べただけだ。「沖縄に向き合う」という誠実さなど、どこにもない。

「対立から対話へ」が与党陣営のキャッチフレーズだった。対話を拒否してきたのは安倍政権の側だという事実にはふれない。選挙カーの上から演説する中央の面々は、総裁選で対立しても、沖縄に対しては一致して刃を向ける。与党議員たちから疑問も異論もでない。このような現状はいつまでもつか。

 安倍首相は「歴史の大きな転換点」だというが、沖縄とともに「明日を切り開く」という視点はない。政府与党は沖縄からの政治や経済社会のプラン(◇注1)に背を向け、あるいは対立づくりの材料とする。「地方自治」や「民主主義」を沖縄から学んでいるのだという自覚はない。「辺野古が唯一の解決策」という固定観念や思い込みが支配している。安倍政治にとって沖縄は、いまも変わらず屈服と分断の対象である。そこにあるのは、沖縄を縛り付けてきた時代遅れで一方的な「地政学」(◇注2)であり、安倍政治の根底にある「差別」にほかならない。旧態依然の硬直政治である。


 翁長前知事の埋め立て承認撤回にともなって、県と政府の関係は次の局面に入っている。辺野古基地に関する県民投票条例案の結論も待たれる。事態を注視し、新知事への支持・支援をさらに広めよう。

 知事選勝利には野党共闘の奮闘が大きく貢献した(玉城デニー氏は自由党にとって貴重な国会一議席であった)。実に沖縄の勝利が「本土」の野党勢力を勇気づけ、叱咤激励している。参院選勝利・安倍改憲阻止に向かって、市民・野党共闘の前進をともに実現しよう。



(注1)ニュース前号、投稿参照。


(注2)「沖縄の米軍縮小に向けて」(ニューヨーク・タイムズ社説)

 10月3日、共同通信、朝日新聞や日経新聞などが報道した。共同通信によれば社説(10月1日電子版)は玉城候補当選を受け、安倍首相と米軍司令官らは県民と共に「公正な解決策を探るべきだ」「日米両政府は妥協策を探る時だ」と主張した。

 沖縄県民は「既に過重な負担を抱えている」と感じている。県民にとって知事選は「米軍基地に対する住民投票」だ。安倍首相は法的手段に訴えるか、負担を軽減する代替案を探るか「選択を迫られている」。

 さらに、米軍の主張(沖縄米軍を日本の別の場所に分散した場合、東シナ海での即応能力が低下するなど)について、「日本や周辺地域のための安全保障体制が沖縄県民の犠牲によって実現されるべきではない」と主張している。米主要紙が沖縄の基地問題で再考を促すのは極めて異例だという。



■以上/宮城全労協ニュース324号(2018年10月3日)