民意をつなぎ実現しよう!
女川原発「県民投票」
「県民投票」条例制定を求める運動が県内で進められてきた。推進してきた市民団体「みんなで決める会」は、法定数(約3万9千人)を大きく超える署名を知事に提出、県民投票の実現に向け条例制定を求めた。運動は全国的にも注目されてきた。
知事は署名の意義を重く受け止めるとしたうえで「(県民投票では)多様さが反映されない」「原発は国策だ」などを理由に、また行政の実務面での課題とあわせて「消極的見解」などと報じられている。
河北新報は各会派の勉強会など、県議会の動向を取材、報道してきた(記事はホームケージで公開されている)。2月16日には「県議全員アンケート」について15日時点の結果を掲載した(「賛成21人、反対12人、25人態度示さず」)。
女川原発2号機の再稼動が県民の重要関心事となるなか、この署名の重みをいかに受けとめるか。知事と県議会が問われる(県議会の今後の予定は投稿末尾を参照のこと)。
今号では「みんなで決める会」が開催した学習会(1月27日)の報告(<m>さんの投稿/1月31日付)を掲載する。
<投稿>
■吉野川から辺野古、女川へ−民意をつなぐ住民投票−
実現しよう!県民投票/1.27学習討論集会
女川原発再稼働の是非を問う県民投票条例を求める署名は、昨年10月2日から約2ヶ月間に県内有権者の5・9%にあたる11万4303筆が寄せられ、法定必要数(県内有権者の50分の1、3万8841人)の約3倍に達した。
署名簿は県内各市区長村選挙管理委員会へ提出され、選管による署名簿審査、縦覧が行われ、2月8日に県民投票条例の本請求(署名簿提出)が行われようとしている(*注)。
署名に込められた県民の力で県民投票を実現すべく、<第二ステージ>の開始として「女川原発再稼働の是非をみんなで決める県民投票を実現する会」(みんなで決める会)は1月27日、武田真一郎さん(成蹊大学法科大学院教授・法学博士)を招いての学習討論会を開催した。武田さんは全国の住民投票運動を理論的に支えてこられた。
(*注)最終的に提出された署名数は11万8796人で、そのうち7053人分が無効、有効署名数は11万1743人と県は発表(1月31日)。県内有権者194万2031人(1月19日時点)の5.75%に当たる。1週間の縦覧の後、有効署名数が確定へ。
●直接民主的な投票
武田さんは、「県民投票は、県民が賛否両論に耳を傾け、より積極的な意見に一票を投じて自らの意見を政治や行政に反映させる制度だ」として、住民の環境や財政への関心が高まっているのに、議会や行政の意識が追い付いていない(間接民主制の機能不全が発生している)ことへの直接民主制による是正の必要性として住民投票が求められていると指摘した。
辺野古新基地建設の是非を問う沖縄県民投票に引き付けて、「当事者である沖縄県民の理解と同意を得ることが不可欠だ。納得できるような説明責任を果たすことなく、土砂投入を強行した。沖縄県民は、これまで選挙を通して何度も辺野古新基地建設には納得してきていないことを示してきたが、その民意はことごとく無視されてきた。県民投票はこの問題に対する直接的な民意を示そうとしているのだ。」と。
県民投票への市長村の協力にも触れ、「県民投票条例は、地方自治法二五二条の十七の二に基づき、市町村は事務を実施する義務がある。議会が反対の議決をしても市町村は県民投票の実施を拒否することはできないし、県民投票条例は県内の全ての有権者に投票権を付与しているので拒否すれば有権者の投票権を侵害することになる」と、沖縄県内5自治体の投票実施拒否を批判した。
●吉野川住民投票で計画撤回
武田さんは吉野川可動堰建設に対する住民投票(徳島市、2000年)の経過について紹介した。
国(建設省・当時)が計画に着手したが、住民側は「吉野川シンポジウム」を結成して対案を示す。運動は「住民投票の会」に至り、署名は10万1535筆(実に当時の徳島市の有権者総数の49%)に達するも徳島市議会が否決した。
2ヵ月後の市議会選挙で住民投票賛成派が過半数を獲得して、住民投票条例案が再び市議会にかけられるが、公明党が反対し「公明党案」で可決。(実施期日は別条例、50%以上の投票率要件、戸別訪問に罰則などで)住民投票が実施され、投票率55%ながら可動堰建設に反対96.1%、賛成8.4%という結果になった。市長は住民投票を受けて反対に転じる。
こうして2010年、民主党政権の前原国交相が完全中止の表明をしたと経過を紹介しながら、「住民投票は、直接住民が決める最も民主的なもので、反対運動ではなかったため、市民の反対意見が高まったこと、専門家より市民の方が科学的、客観的であったこと、政党色を排除したため政治的パワーが発揮できた」と話された。
(注)「吉野川可動堰住民投票/市民はどう動いたのか」(武田真一郎)参照。
●県民投票の実現をめざそう!
「投票は二択ではなく時間軸も入れた選択肢が必要ではないのか」との質問が会場からあったが、武田さんは「アンケートとは違うので、賛成か反対かの選択が基本」と応えていた。
沖縄県民投票を三つの選択肢にしたことについて、講演のなかで武田さんは「住民投票は世論調査やアンケートではなく『政策の決定』なので、賛成か反対のいずれかの二択しかない。わからないのであれば、棄権すべきだ。」と話し、「反対が上回れば、知事はこの民意をもって再度埋め立てを撤回することになるだろうが、裁判所はそれを簡単には否定できず、埋め立ては白紙に戻るかもしれない。」と語った。
吉野川可動堰建設も徳島市の事業ではなく国の事業だったが、住民投票で中止に追い込んだ。沖縄でもその可能性は大きい。住民投票=民意の力はこのように大きいものなのだと語り講演を終えた。
参加した自民党県議からも「国策」について「建設や稼働の時だけ国策を語るが、出口(膨大な放射能廃棄物処理)では国策を言わない。だから原発には反対だ。」という発言があり、会場から拍手が起きた。
「みんなで決める会」から、宮城県議会での可決成立に向け、地元選出県議への働きかけ、2〜3月県議会の傍聴、県民投票実現の世論づくりを全県で展開していくなどが呼びかけられた。
宮城県議会がまもなく開会する(2月13日〜3月15日)。2月8日には条例制定への本請求がなされ、本会議・代表質問が行われる21日に知事が意見書を付して「県民投票条例案」を提案、委員会や本会議で審議されて3月中旬には採決される予定といわれる。
県民投票条例の実現に向けた第二ステージを全力で取り組むことにしたい。
(投稿・m/1月31日)
■以上/宮城全労協ニュース328号(2019年2月16日)