宮城全労協ニュース/第329号(電子版)/2019年3月20日

沖縄県民投票が示した民意
日米両政府は計画断念を!




 沖縄県民投票の結果が2月24日、示された。賛成票(〇票)つまり「辺野古基地建設・反対」の勝利であった。

 3月1日、知事は投票条例の定めにより安倍首相に県民意思を伝え、計画断念を求めた。「結果を真摯に受けとめる」と投票直後に述べた首相であったが、その視線は沖縄県知事を見下すかのようであった。辺野古基地反対の県民意向は考慮しようがない、国の方針は変わらない。それでいて「県民に寄り添う」というのだ。

 首相発言に対して、自民党議員からの反応はなかった。惰性と無責任、政治や政策より政権維持に汲々とする政権党の姿に、保守を支持する人々からも失望の声があがっている。そのことが「世論調査」にも反映されている。

 共同通信社の全国電話世論調査(3月9、10日実施)では県民投票の結果を政府は「尊重すべき」が68.7%、「尊重する必要はない」が19.4%だった。また辺野古施設を進める政府の姿勢について「支持しない」が48.9%、「支持する」が37.2%だった。

(ちなみに安倍首相の下での憲法改正について、反対51.4%、賛成33.9%)



知事選を上回った「辺野古建設反対」への「賛成」票


 賛成/43万4273(得票率は72.15%)、投票資格者比で37.65%
 反対/11万4933(同じく19.10%)、9.96%
 どちらでもない/5万2682(8.75%)、4.57%

 合計(有効投票)60万1888(無効・不受理など3506)
 投票資格者総数 115万3591

 投票率 52.48% (*)毎日新聞報道


 示されたのは次の諸点だ。

 〇投票率は過半数をこえた。
 〇賛成票は県知事選の玉城デニー候補への票(39万6632)を上回っている。

 〇賛成は7割超で、しかも全県で賛成多数だった。名護市でも、宜野湾市でも。
  (投票総数の過半数では全41市町村のうち40市町村)

 〇出口調査(複数メディア)では、自民支持層でも辺野古基地反対が上回わっている。
 〇同じく自民支持層で「結果を政府は尊重すべき」が大多数だった、など。


 このような結果を受け、地元紙は「計画断念し代替策探れ」沖縄タイムス社説/25日)、「「辺野古唯一」を見直せ」(同26日)と政府に求めた(注)。



「県民投票」への攻撃


 「沖縄県民投票」は国家の安全保障議論とはなじまない。また投票率が低く、県民総意とは認められない。そのような主張がある。

 前者について。住民投票は、国あるいは議会多数派の政策と住民意見が衝突する場面で意味をもつ。まして日本の場合、国も自治体も、長期にわたる与党体制が継続しているのだから、異議申し立ての制度として尊重されねばならない。多数派は、議会選挙では十分に示されない住民意見を聞く場として活用すべきなのだ。

 後者、投票率について。批判は不誠実であり、結果を傷つけるための作為を感じる。第一に、一定の政治勢力が消極的であったり、投票を事実上、ボイコットした場合、投票率は下がるはずだ。実際、政権与党派は「自主投票」であった。第二に、結果には法的な強制力がないので、国政や地方選挙に比して投票率が低下することは不自然ではないだろう。

 投票総数が「52.48%」だったとか、〇票は全有権者の4割以下だったなどとして、県民投票の結果に否定的な論評がある。しかし、国政選挙と対比してみるべきだ。自民党が国政選挙で獲得した票や投票率を併記して議論すべきだ。



「三択」について


 関連して「三択」議論がある。「二択」では選択肢が限定されるという批判のなかで「三択」が登場した。県議会が「三択」とする条例改正を決め、そうして「不参加」の立場であった5自治体も含めた実施への流れとなった。歓迎の声がいろんな場で紹介されている。つまり「妥協」であり「知恵」でもあった。

 ところで「三択」の効果、投票率の上昇は示されたのだろうか。

「全県で投票できるようになったのは一歩前進だが、賛否の傾向がある程度はっきり出なければ、投票結果の解釈を巡って混乱する可能性もある」との指摘があった(毎日新聞[混乱招く?「どちらでもない」]2月6日)。このような「懸念」は、どうなったのだろうか。

「三択」は賛否の落差を少なくする効果があった可能性が指摘されるが、大勢をゆるがすものではなかった。「どちらでもない」票は8.75%にとどまった。しかも、これは当然「建設賛成」ではない。「どちらでもない」に投票しても「悩み」は解消できないだろう。そのうえで投じられた「どちらでもない」票の重みを論じるべきだ。

 基地建設派は、県民投票を牽制するために「三択」を持ち出したが、失敗した。投票直後、想定を超える結果だという政府関係者たちの声が報道されていた。これが実態であろう。


(参考)

 女川原発をめぐる「宮城県民投票」に関して、1月開催された集会で講師は、この「三択」問題について指摘している。住民投票は特定の政策をめぐるものであるから、賛否を問う選択(「二択」)になる。「二択」に参加できないと考える人たちには「棄権」という選択がある、と。(「宮城全労協ニュース」328)



「辺野古新基地建設」を断念させよう!

 
 3月16日には県民投票以降、初めて県民大会が開かれた(資料)。知事は「民主主義の力を信じ、頑張っていこう」とメッセージを寄せた。

「会場には怒りが渦巻いていた」と地元新聞は報じている(琉球新報17日「選んだ未来、実現させて/世代超え、怒りの「ノー」)。なかでも「県民投票実施の原動力となった若い世代も積極的に発言し、賛同と共感が広がった」。

 この間の選挙戦のなかで「若者たちの出番だ」と遊説した自民党の著名若手議員がいた。「基地か経済か」の分断を克服するというが、「基地問題」を正面から取り上げず、けっきょく沖縄に押し付ける。

 沖縄は県知事選挙や県民投票を積み重ね、「日本」の次を先取りして議論を発展させている。東アジアの現実が日本に変化を求めているなかにあって、沖縄は歩み続けている。その重要な担い手として若者たちが登場してきていることを、地元紙の報道から感じとることができる。


 3月19日、玉城デニー知事は再度、安倍首相と会い、政府が進めようとしている新たな土砂投入工事の中止を要請、さらに工事の中断と協議の場の設定を求めた。

 安倍首相の姿勢からは、どんな手段を使っても沖縄を屈服させるということしか見えない。だが安倍政権には数々の難題が立ちふさがる。なかでも「軟弱地盤」について、もはや政府は否定することはできない。工法、工期、予算の見直しは必至だ。

 政府は、その間「普天間」の解決が遅れると主張する。その脅しは政権側の都合、失敗のごまかしであり、沖縄には通用しないことを県民投票は示したのだった。問われ続けているのは「本土」である(3月20日/UJ)



資料)「辺野古新基地建設断念を求める3.16県民大会/決議」


 政府は2月24日の県民投票で示された圧倒的な沖縄県民の民意を尊重し、埋め立て工事を中止し辺野古への新基地建設を即時、断念せよ。

 沖縄県知事が県民投票の結果を政府に通知した直後、政府は新たな護岸工事に着工し、さらに3月25日には新たな区域で埋め立てを行うとしている。県民の民意を無視して辺野古新基地建設を強行することは、民主国家として恥ずべき行為であり、断じて許すことはできない。日本が民主国家ならば国策の遂行が民意と無関係であってはならない。

 国土の約0・6%の沖縄県に米軍専用施設の約70%が集中していることは異常事態である。沖縄県民の負担軽減を行うならば、県民投票の結果を受けて、政府は米国政府と直接交渉し、辺野古新基地建設を断念し、オスプレイ配備撤回、世界一危険な普天間基地は即時運用停止を行い閉鎖返還すべきだ。

 私たちは、故翁長前知事が命をかけて守り抜いた県民の「誇りと尊厳」を引き継ぎ、誇りある豊かさを実現させるまでたたかう。「新時代沖縄」の実現へ向け、沖縄県民の命とくらし、沖縄の地方自治と日本の民主主義と平和を守るためこの不条理に全力で抗い続ける。

 今県民大会において、以下、決議し、日米両政府に対し、強く抗議し要求する。


1.県民投票で示された圧倒的な民意を尊重し、埋め立てを中止し辺野古への新基地建設を即時、断念すること。

2.大浦湾側には活断層があり、その付近の海底には、超軟弱地盤が存在する。米国の安全基準である高さ制限にも抵触している。環境を著しく破壊している赤土混じりの埋め立て土砂を全て撤去すること。

3.欠陥機オスプレイ配備を撤回し、米軍普天間基地を即時運用停止し、閉鎖・撤去すること。


2019年3月16日
辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議



(注)

 沖縄タイムスは26日、「本土紙の社説」を特集した。

 毎日(結果に真摯にむきあえ)
 朝日(沖縄県民投票/もはや埋め立てはやめよ)
 日経(辺野古打開へ国と沖縄は対話の糸口探れ)
 中日・東京(辺野古反対/沖縄の思い受け止めよ)
 産経(国は移設を粘り強く説け)

 各紙25日付け社説の全文が紹介されている。読売新聞が含まれていないが、読売は当日、県民投票に関する社説を掲載しなかった。

 また次の地方紙社説の見出しも紹介されている。

 北海道新聞(辺野古反対の民意重い)
 信濃毎日(辺野古「反対」/民意の黙殺は許されない)
 京都(「新基地ノー」が民意だ)」
 中国(民意は明確に示された)
 西日本(示された揺ぎない民意)
 宮崎日日(意識問われるのは「本土」だ)。

 なお、河北新報は26日「沖縄県民投票/深まる混迷 国が打開策示せ」と題する社説を掲載している。


■以上/宮城全労協ニュース329号(2019年3月20日)