宮城全労協ニュース/第340号(電子版)/2020年4月11日

けんり春闘がアピール
(新型コロナウイルス)




 安倍首相は4月7日、「緊急事態」を宣言した。7都府県を対象に一ケ月間の期間限定だという説明だった。東京都をはじめ感染確認数はその後も増大し続けている。宣言の「効果」が数値で示されるのは週明けからとされるが、事態は深刻だ。政府からは無症状感染者の比率は示されていない(厚労省はSNSを利用した新型コロナウイルス調査の結果、「4日以上37.5度以上の発熱が続いている」との回答者が2400万人中、全国平均で0.11%などとする結果を発表し、10日報道された。厚労省の発表は何のためか、政府見解はない)。


 政府対応は遅れに遅れた。首相への批判が高まるや、閣僚さえ無視した独断の小中学校一斉休業要請を行い、現場を混乱に陥れた。一転して首相は「慎重な姿勢」を強調し始めた。専門家や現場からは「医療崩壊」の危機の可能性が警告されていた。東京五輪の扱いという「政治的要因」が、感染症拡大の深刻さを隠してきたのではないかという疑いがある。「安全神話」のための「汚染コントール」が五輪誘致の決定打とされたことを想起する。政治こそが事態を悪化させてきた。日本はトランプの米国と無縁ではない。

 三月下旬、東京での拡大が現実となってから、都知事が「国家」の決断を強調し、首相と並んで「緊急事態」を演出した。「緊急事態」には実効性についても問題点が指摘されてきた。民主党政権時代、前回のパンデミック危機に対応した法律で対策に出るべきだと批判されてきた。しかし、安倍政権はそれらの批判や要求を無視しつづけたばかりか、「緊急事態」を憲法改悪の呼び水にしようという意図を隠さなかった。

 政府は「リーマン危機を上回る経済対策」と宣言を連動させるために時間を費やした。108兆円という見せかけの数字が誇張されている。何のための経済対策なのか。アベノミクスの失敗を隠すためではないのか。安倍政権の「コロナ・リセット」ではないのか。

 政府と東京都をはじめ自治体との不一致が浮上しており、現場の不安は広がる一方だ。現金給付にしても、基準は曖昧であり、手続きが煩雑で時間がかかりすぎる。雇用調整助成金の不備、「悪用」さえ指摘されている。このような困難に対して、「災害便乗主義」まがいの「未来志向」の働き方改革が経済界や取り巻きたちから強調されている。

 雇用破壊の危機が現実となり、「自粛には補償を」の声が広がっている。労働者犠牲を許さず、雇用と生活と権利、地域の社会活動を守っていこう。感染拡大の最前線で闘う医療・衛生保健労働者、介護・福祉、教育など公共労働者への敬意と連帯を広げよう(4月11日)。




(注)労働組合の声明や労働相談の状況、労働弁護団の「新型コロナウイルスに関する労働問題Q&A」などをはじめ、各分野から多くの資料、声明などが出されてきました。

 以下は「2020けんり春闘」のアピール(4月3日付)です。参考にしてください。
 


「20けんり春闘中央総行動」アピール


 新型コロナウイルス感染症の拡大が続いている。労働者・市民の健康と安全を守るための諸施策は当然であり、明確なエビデンスの下で直ちに確実で堅実な施策とそれに伴う補償が求められている。一方で、感染拡大の防止を口実に、労働者・市民の生活に直結する「春闘」自粛が呼びかけられ、労働者や社会的弱者の悲痛な叫びが消し去られようとしている。


安倍政権の下で拡大・急増した非正規労働者や移住労働者、高齢者などの社会的弱者の生活は深刻さを増している。見せかけの株高と高い求人倍率は、労働の過密さと生活の質の低下によって支えられてきた。いま、新型コロナ問題によってその労働実態が露わとなっている。

 安倍政権による新自由主義・大企業優先の「利益第一主義」は、労働者市民には「自己責任」を迫るものとなっている。新型コロナ問題は安倍政権の非人間性を露わにした。新型コロナ罹患者へ十分な対応ができない検査や治療体制は、医療機関や保健所の統廃合、民営化を進めてきた結果であり、安倍政権によって感染症に対して極めて脆弱な体制となってきたことはもはや明らかだ。

 そして、感染拡大に伴う世界的規模での経済的混乱は、非正規労働者や移住労働者の生活を直撃している。既にこの混乱を背景にして就業機会を奪われて休業を余儀なくされるばかりか、解雇、雇い止めに直面する労働者の相談が全国で多くなっている。今後こうした雇用を巡る動向は深刻さを拡大していくことが予測される。


 20春闘での大企業労組の賃金引き上げ交渉は、残念ながら軒並み昨年に比して低額での妥結となった。中小・零細企業で働く労働者、非正規雇用労働者、移住労働者の生きるための闘いは今本番を迎えている。声を上げることなく闘いを放棄すれば直ちに生活が成り立たなくなってしまう。公務職場で働く非常勤労働者も同様だ。かろうじて最低賃金を少し上回る賃金で働く多くの労働者、ダブルワークによって身を粉にして家族を支える労働者には「8時間働けば生活できる賃金」は最低にして不可欠な要求である。


 私たち20けんり春闘は以下の要求を掲げて最後まで闘う。

 第一に、中小零細企業労働者、非正規労働者に生活できる大幅賃金引き上げを!

 第二に、休職・自宅待機等の労働者、フリーランスに賃金保障を100%実施すること。

 第三に、経団連は新型コロナ問題に便乗した解雇、雇い止め、内定取り消しを行わないこと。技能実習生・移住労働者の雇用と生活を保障すること。

 第四に、政府は医療関係の統廃合など合理化を中止し、早急にコロナウイルス罹患者のために、医療従事者に医療資材を確保し、十分な医療体制を再構築すること。
 
  第五に、イベントや営業自粛に伴う損失補填を直ちに行うこと。


<20けんり春闘全国実行委員会>2020年4月3日


■以上/宮城全労協ニュース340号(2020年4月11日)