福島第一原発・過労死裁判に判決
責任認め賠償命じる/地裁いわき支部
福島第一原発・猪狩さん過労死責任を追及する裁判は3月30日、福島地裁いわき支部で判決を迎えました。福島の地元紙にとどまらず全国紙も判決内容を報じました。
以下は判決の報告(「全労協新聞」掲載)とコメント(これまでの経過と過労死責任について)です。
福島第一原発・猪狩さん過労死責任追及裁判の判決下る
いわきオールと前社長夫妻の過労死責任認め、賠償命じる!
東電・元請け宇徳の不法行為認めず! 控訴審へ!
<いわきオールと前社長が、故忠昭さんと遺族に謝罪>
3月30日、福島地裁いわき支部は、過酷な長時間労働を課し続けたいわきオールの安全配慮義務違反、及び前社長夫妻の注意義務違反によって猪狩忠昭さんが死亡した事実を明確に認定した。そして忠昭さんに毎月百時間の残業を課して過労死させた被告三者が連帯して、原告(妻・長男・長女)に対し約二五〇〇万円の慰謝料を支払うよう命じた。
その一方裁判所は、元請け宇徳に対しては、責任なしと判示した。裁判所に対して元請けや親会社の不法行為責任を認定させることは全国の労働者の共通課題である。
判決を受けて被告三者が忠昭さんと遺族に率直に謝罪の意を表するとともに、慰謝料が支払われることとなった。遺族の闘いを支援してこられた全国の皆様方に感謝いたします。
<東電、元請け宇徳との闘いが続く! さらなるご支援を!>
裁判は、第二事案として「第一原発救急医療体制の不備」があり、東電と宇徳が十分な救急医療体制を講じていなかった責任を問うものである。また、第三事案として「東電記者会見における労災否定発言」があり、東電の責任逃れを問題にした。裁判所はこれら第二、第三事案については請求を退けた。
特に、第二事案においては事実認定に明確な誤りがあり、さらに判断理由を示さないで原告側の主張を排除した理由不備の箇所もいくつかある。遺族は第二事案について地裁判決の取り消しを求め仙台高裁に控訴した。
東電と宇徳に対する闘いを断固継続する!
これまでの経過といわきオール・元請け宇徳・東電の過労死責任について
「2017年10月26日、福島第一原発(イチエフ)の車両整備工場で働いていた猪狩忠昭さん(57歳)は、防護服・全面マスクのまま倒れ帰らぬ人となりました。死因は「致死性不整脈」でした。東京電力はその日の記者会見で猪狩さんの死を「業務との因果関係はない」と発表しました。ある記者は「連勤ではなかったのか?過労死ではないのか?そういったことも調べたのか?」と問いただしましたが、東電の答えは変わらぬものでした。しかし、猪狩さんは亡くなる直前の半年間で毎月100時間を超える残業を強いられ、その残業代もきちんと払われていなかったことが分かりました。月に100時間超の残業は過労死ライン(月80時間)を大きく超えるものです。
2018年10月いわき労働基準監督署は、猪狩さんの死を「長時間労働による過労が原因」として労災を認定しました。しかし、労災・過労死であるという認定が下されても、遺族に謝罪の言葉はどこからも寄せられていません。」
2019年2月13日、雇用者であったいわきオールや東京電力ホールディングスらを被告として損害賠償を求める訴訟が提起されました。
「損害賠償裁判では、いわきオールが有給を一度も取らせなかったことや、手術と入院で仕事を休んだ月の給料がマイナスにされていたことが明らかになりました。法廷では驚きと怒りの声が何度も上がりました。
猪狩さんは自らの権利を主張することなく、命を失いました。命と引き換えの権利拡大などあってはなりません。いわきオールは猪狩さんの死に対してなんの責任も問われないのでしょうか?早朝に部品の納入を命じた宇徳の責任は?
損害賠償裁判は、まさにその責任を問う裁判です。同時に、重大事故を引き起こし、その現場作業を下請けに求める東京電力の安全・救命体制と、労働者の命への向き合い方を問う裁判でもあります。」
(判決への注目を訴えたチラシ「被ばく労働者の安全と権利、名誉を守れ!」<連絡先:全国一般労働組合全国協議会/いわき自由労働組合>より抜粋・引用)
(*)なお、裁判をはじめ闘いの経過は「福島第一原発 過労死責任を追及する会」のブログに掲載されています(Blog https://investigation1026.blogspot.com/)。「追及する会」の名称で検索してください。
(東北全労協幹事 星野憲太郎)
■以上/宮城全労協ニュース356号(2021年5月2日)