宮城全労協ニュース/第76号(電子版)/2006年1月30日

大雪によって命を奪われた方々に深く追悼の意を表します。
被災地の住民の皆さん、
復興作業にあたっている労働者の仲間たちに敬意と連帯をこめて!


06けんり春闘がスタートする。

リストラをはねのけ、賃上げを勝ち取ろう!
社会保障の破壊と大増税に反対しよう!
市場化テスト=公務労働の「民営化」に反対しよう!
「靖国参拝」や「北朝鮮制裁」によるナショナリズム扇動を許さない!
小泉政治の打破、構造改革路線の転換を!


★行き詰まる小泉−竹中路線
小泉政府を追いつめる06春闘を!


●100名を超える「雪害犠牲者」!

年末から続く大雪によって、100人を超える人々が犠牲になった。多くは過疎地の高齢者たちであった。民衆の命を守ることのできない日本の現実がここにある。阪神・淡路大震災から11年。地震、台風、大雪などに対応する公的な「災害救助隊」は組織されていない。政府にはそのような意思も施策もない。町や村には十分な力がないばかりか、政府やメディアの「公務員攻撃」が公務労働をますます萎縮させている。

高齢者世帯、ましてや独居者家屋の雪降ろしは、人命にかかわる必要不可欠な公的労働だ。しかし、豪雪地帯であっても、自治体は必要な人員を置いていない(置けない)。市町村大合併や「郵政民営化」の悪影響も出ているだろう。冗談ではないが、政府は「災害救助」も市場化テストにかけ、「民営化=企業化」するのか。

小泉首相は、安心・安全を政策の柱に据えると言うが、「構造的対策」は出てこない。同じ時期、グループホームの火災による入居者たちの犠牲が報じられた。高齢者医療、高齢者福祉の改悪がもたらしたものだ。悲劇は何度も繰り返されているのだ。

小泉改革に終止符を打とう!


●小泉政府を追撃しよう!

小泉首相の力に陰りが見えている。小泉や武部幹事長、中川政調会長らは「改革続行」をかかげ、総裁選に向けた権力闘争を主導してきた。「国民参加の総裁選」や「小泉チルドレン」の活用など、「小泉劇場」の再燃がもくろまれた。しかし、相次ぐ不祥事や失態、疑惑によって、小泉政治は総選挙以降の勢いを失いつつある。自民党、連立与党、政府の各々で内部対立が拡大している。

政府・連立与党は昨年末、「耐震偽装」発覚で強引な幕引きをはかった。根拠のあいまいな「公的支援」を早々と打ち出し、与党政治家への疑惑を封じ、「検査行政の民営化」問題に発展することを回避しようとした。「耐震偽装」への対応に追われる政府・与党を、東京地検特捜部のライブドア捜査−逮捕が直撃した。さらにいま、米国産牛肉輸入問題や防衛施設庁幹部の逮捕が政府・与党をゆさぶっている。

そればかりではない。小泉−竹中による「構造改革路線」がいたるところで行き詰まりを見せており、小泉首相は「格差拡大の根拠はない」と答弁するなど、迷走を深めている。しかも、中国、韓国との外交関係は、首相に加えて、麻生外相らの挑発・暴言によって身動きがとれなくなっている。ブッシュ政権も日中関係を危惧し、日本政府に懸念を示している。小泉政府と連立与党をさらに追いつめよう!


●居直る小泉自民党(ライブドア事件)

ライブドア事件の捜査がどのように進展していくのか、捜査がライブドアに限定されるのか、政界にまで波及するのか、事態は定かではない。捜査情報は明らかにされていないし、報道も部分的、恣意的だ。小泉首相、武部幹事長、竹中大臣らは苦しい言い逃れに終始している。しかし、この3人がライブドア社長・堀江貴文を亀井静香への「刺客」に送り込んだことは、人々の記憶に鮮明に刻み込まれている。

堀江は総選挙の看板バッターの一人として起用された。知名度や人気のためだけではない。ヒルズ族と称される地位と富みを手にし、独特のライフスタイルとキャラクターで若者たちにアピールする。そのような「ホリエモン」が小泉構造改革を体現した成功者であるとみなされたからだ。さらに、関係は堀江の落選以降も深まっていった。自民党本部と堀江は協力関係を表明し、「財政面での相談」、「アイディアの提供」という説明が双方からなされていた。徹底した事実究明が必要だ。

日本政府は規制緩和に対応する監視行政の整備を怠ってきた。グローバリズムと「自由化」の震源地であるアメリカは、エンロンやワールドコムの歴史に残る大事件を引き起こしてきた。竹中大臣を先頭とする小泉政府の閣僚たち、そして経済財政会議や規制改革会議などの「民間委員」たちは、アメリカから何を学んで国政を動かしてきたのか。ここでも小泉政府と自民党の責任は明白だ。


●堀江を利用した自民党と経団連

ニッポン放送−フジテレビ問題と郵政攻防が背景にあった。自民党の反対派は、「民営化された郵政はアメリカ資本の餌食になる」と主張し、ライブドアによるフジテレビ攻撃を格好の材料としてとりあげ、マネーゲームだと批判した。森・前首相や財界からも批判の声が上がった。しかし、小泉や竹中は、当時、ライブドア批判に組しなかった。反対派の主張を勢いづかせたくなかったし、「外資積極導入派」(郵政特別委員会での小泉答弁)としてライブドアの手法を否定するわけにはいかなかった。小泉や武部たちはその後、「抵抗勢力との対決」を大々的にアピールするために、堀江を利用し、いわゆる「刺客」に起用するという「秘策」を練った。

小泉は、「新しい時代を感じる人物」だとコメントし、選挙に送り出した。竹中は選挙応援にかけつけ、「小泉と竹中と堀江の3人で構造改革、郵政民営化を実現する」と絶叫した。それは選挙対策用のリップサービスではない。ライブドアの軌跡が、一連の規制緩和政策や、アメリカ政府の対日自由化要求と重なっていることは、竹中たちにとっては周知の事実だったはずだ。竹中はライブドアの急成長を「構造改革路線の成果」だと強調したのだ。

経団連の奥田は「ミスった」と弁解した。奥田・経団連もまた堀江を利用しようとした。「生意気で、うさんくさい」が、それでも「功績」の方が大きかったからだ。「村上ファンド」などという言葉が子供たちの日常会話に飛び出すようになったのは、堀江たちの影響だ。小学生のインターネット株式売買や高校生起業など、もはや珍しくはない。それは「貯蓄から投資へ」と主張し、金融自由化や郵政民営化など、そのような誘導政策を推進してきた竹中や奥田たちが待望してきたことだった。「モラルハザード」を危惧するよりも、規制の撤廃、雇用の流動化、市場の活性化を実現するほうが優先であり、堀江たちの行動はそのために容認されてきたのだ。

堀江はNHKの労働・雇用の特集番組に、「勝ち組」の代表者の立場で登場したことがある。彼の主張、労働観や人生観は新自由主義の荒っぽい自己責任論そのものである。チャンスはどこにでもころがっている、活かすも殺すも本人次第だ。チャンスは平等だ。「フリーター」や「ニート」に甘んじているのは理解できない。敗北者は自分の責任だ、と。堀江の主張は、小泉や竹中が進めた雇用破壊、雇用流動化、成果主義、公的労働の市場化と同一線上にあった。

堀江は「旧体制への挑戦者」であり、だから「若者に支持された」と評されている。しかし、堀江が若者に語った「成功者の夢」は虚像でしかなかった。マネーゲームが横行する社会で、「額に汗して働く」ことがどうして尊ばれるか。小泉や竹中、武部らが、構造改革の成功者として、「ホリエモン現象」をふくらませた責任は明白だ。


●構造改革路線からの転換を!

小泉−竹中路線は行き詰まっている。小泉首相は身内(内閣府)の統計を根拠にして「格差拡大」を否定した。驚くべきことに、構造改革の成功を自画自賛する首相の発言である。「構造改革は痛みをともなう」と明言した小泉はどこにいったのか。構造改革は格差拡大をもたらすし、同時に、構造改革路線は格差拡大を正当化するものだ。しかも、この統計は1999年までの「古いデータ」を使用したものであり、研究者の多くから疑問の声があがっている。政策責任者である竹中大臣は、このような首相の「無節操」な発言に沈黙するばかりだ。

大雪から被災住民を救い出せず、グループホームで老人たちが焼け死んでいく現実。アスベスト被害を放置してきた企業と政府。JR事故や耐震偽装などの発覚が相次いでも責任をとらない北側大臣と国土交通省官僚。このままではつぶされてしまうという叫びが、社会のいたる所から発せられている。

国土交通省などは作年末、都市計画法を見直し、「郊外型大型店」の出店規制を打ち出した。これに対して、業界や経団連が反撃に出ている。政府の関係省庁連絡会は自殺者削減の数値目標を初めて設定した(今後10年間で5千人削減!)。国土交通省と厚労省は、規制緩和が破壊しているタクシー労働者の実態調査に乗り出す。いまさら何を言っているのかと怒りがわく。まったく遅すぎた対応であり、またアリバイ証明的でもある。たとえば、都市計画法の見直しには業界や経団連が反撃に出ており、先行きは疑問だ。

しかし、そうであっても、このような省庁の対応は、半年前だったら「抵抗勢力」として葬り去られたかもしれないものだ。シャッター通りが象徴する地方の崩壊・疲弊や、自殺者が年間3万人を超える現実を放置し続けるのか。行政の自己防衛やポーズであってはならない。問われているのは、小泉−竹中路線からの転換である。


2006年、小泉政治の打破、
日本の政治・政策の転換をめざして奮闘しよう!